対ソ戦、準備せよ!

湖灯

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★TOKYO 1940★

【Tokyo 1940②】

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 留守番をしていた部隊のうち北の千葉側から現れたのは、旗艦「陸奥」を先頭に戦艦「日向」そして第四戦隊の重巡洋艦「高雄」「愛宕」「鳥海」「摩耶」が続く。

 南側の神奈川からは、陛下のお召艦として人気の高い戦艦「比叡」を旗艦として同じ第三戦隊の「霧島」、そして第七戦隊の重巡洋艦「最上」「三隈」「鈴谷」「熊野」が続き、空砲による派手な祝砲を放ち、これに呼応してお台場からも陸軍が祝砲を上げた。



「凄いね! こんなの初めて見た‼ あっ!お台場から陸軍も祝砲を撃ったわ‼」

 羽田でこの光景を見ていた薫さんが、まるで子供のように目をまん丸く輝かせて言った。

 薫さんだけでなく、ここに集まった人たちはみな薫さんと同じような目をして威風堂々たる自国の艦隊を誇らしげに見ていた。

 もちろん私も、その一人。



 誰もが武器に同じ感情を抱くわけではない。

 人殺しの道具として利用しようとたくらむ者も居れば、逆にその存在を忌まわしく思い蔑む者も居る。

 革新的な最先端技術として憧れる者や、その抑止力に期待する者や、戦争になることを心配する者も居る。

 武器や兵器は私たちの生活には全くと言っていいほど関係のない物だが、この様に戦争のある時代には他国による侵略から国民を守るためには必要になる。

 旧式の装備で戦うことは例えば日露戦争の時の日本陸軍や、ナチスドイツとソビエトの侵略に屈したポーランドのように幾ら士気が高く勇猛果敢な兵士が居ても、多くの兵士を死なせてしまう。

 兵士だって国民であり彼らには家族が居る。



 敵を攻撃するためだけではなく、国民である兵士を守るためにも軍を持つ以上その装備の質と量は必要不可欠なアイテムになるのは当然だがその数のバランスは非常に難しい。

 多くの数を持てば侵略に対して大きな抑止力になるが、侵略を心配する周辺諸国にとっては大きな脅威となる。

 また多くの数を持つと言う事は、調達や運用に掛かる費用もそのぶん余計に必要となり、国の予算を圧迫してしまう。

 国の予算というのは私たち国民生活に直結する重要な問題。

 河川の氾濫や台風や地震などの自然災害に対する備えや修復、飢饉や有事に備えた食料や石油などの備蓄、産業の振興のための各種補助金、国民の健康や福祉、道路の整備……。

 どれをとっても決して打ち切ることは出来ない。



「こういった装備を無駄にしないのは、使い方の問題ね」

 無邪気に艦隊の行進を見ていると思っていた薫さんが不意に言った。

「それは?」

「前史の日本軍は、勇ましさを強調していたでしょう? でも目の前に見えるこの光景は、勇ましさとは違うと思わない?」

 たしかにコレは勇ましさとは違う。

 でも、胸の熱くなるようなこの思いを、いったい何と表現すれば良いのだろう?

 私が考えていること、そしてなかなか答えを見出せずにいることを知って薫さんは「誇り」だと言った。



 戦うためでなく日本を守るための武装。

 国としては、ちっぽけな日本の割には、その装備は今や世界で5本の指に数えられるという。

 急激に発展する日本の経済と軍事力を見れば、いつ戦争をしてもおかしくはないと疑うのは当然だ。

 しかし日本は他国を侵略することも威圧することもなく、その軍事力を大切なアジアの友人たちのために使用した。

 “専守防衛!”

 世界有数、そしてアジア最強の軍事力をこの五輪に合わせて平和のために使用する姿勢を見せたのだ。

 これを誇りと言わずに何と言う!

 私は薫さんが言った、たった二文字の言葉に胸を熱くした。



 未来の日本は軍を持たずに、その称号を自衛隊としてその名の通り国土防衛の任務に就いているという。

 自衛隊は国内で起きた大きな災害時には、災害救助や災害によって破壊された生活用水の運搬や補給、更に被災地での生存者救助や復興に貢献するだけでなく、他国の災害にも対応し活躍した。

 1990年に起きたイラクのクウェート侵攻後には、海上自衛隊が派遣した掃海艇がペルシャ湾全域にイラク軍により敷設された約1,200個の機雷を除去し船舶の安全な航行に貢献した。

 2003年のイラク戦争後には戦場となり荒れ果てたイラクに陸上自衛隊が赴き人道復興支援活動と安全確保支援活動に努め、2013年には台風30号で被害を受けたフィリピンに対し空母型護衛艦「いせ」と輸送艦「おおすみ」、補給艦「とわだ」がフィリピン国際緊急援助統合任務部隊として救助活動及び救援物資の輸送等を行った。

 その他にも後方支援・復興支援、国際連合平和維持活動、難民の救援、国際緊急援助、災害派遣などで50にも及ぶ海外の国や地域に行き活躍した。



 戦争を前提としない自衛隊を持つ未来の日本国民は、さぞこの組織を誇りに思っている事だろう。

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