それもまた人生

ぽよ

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五話

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「疲れたー」

 強行された北海道旅行。何度もキャンセルするか悩んだが、どうせいくことになるのならこのタイミングで行くのが幸せな選択肢かと思った。東京の一人暮らしの家に帰ってきて、寝る準備まで整えた。後はもう寝るだけだ。
 今回の北海道旅行は、相手からの強引な提案のもとで始まり、断ると面倒な事態になると踏んでの了承だったが、それも良くなかったのかもしれない。旅行そのものは100点満点だったのだが、同行者がいなければ150点になっていただろうことは間違いない。今更後悔しても遅いのだが、連絡先をブロックすることで精神の安定を図る。

「次は一人旅だな」

 布団に寝転がりながら今回の旅を振り返る。同行者を除けば不満な点は一つもなかった。次の旅行に彼は呼ばれない。それだけで安心できるほどの要素だった。勉強だったと思えば安いものだ。
 1人でのんびり布団に包まれながら今回のことを思い出してポツリと呟く。

「これもまた人生」

 人は経験し、考えることで前に進むことができる。そして、一つ賢くなって、その連続の中で変わっていくのである。
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