【完結】どうやらこの世界は乙女ゲームのようですね。ああ、そうだな。

【完結】大団円ですわ。 ああ、そうだな。

この場の雰囲気をどうするの、シャンパーニュ。お祝いムードが、一気にお葬式のように沈んでしまったわ。

どうするのだシャンパーニュ、お前がサプライズ婚姻なんか言い出すからだぞ。こう言うことは順序立てて用意することであって、サプライズすることでは無いのだぞ。

可哀想なロゼッタ、こんな公の場で振られるなんて。これもこれも総てシャンパーニュの所為よ。公のサプライズなど、恥ずかしいだけなのよ。お店の誕生日サプライズ（花火付きのケーキでさらし者）やみんなの前でのプロポーズ（断れない圧力）など、男一人が勝手に盛り上がってるんじゃありませんわよ。

「ロゼッタ。まだ国の為に婚姻をする気があるか？　」

何を言っておるシャンパーニュ、まさか今すぐに別の婚姻を勧めるつもりなか？　鬼か鬼なのか、シャンパーニュ。

「ええ、私は王女としてのつとめを果たします。」　

ああ、駄目よロゼッタ。自暴自棄にならないで。カベルネ殿以外なら誰でも同じだと思っているのね。
　
「ならば、メルロー公爵の後添いとして下賜する。」

「「「なっ！！　」」」

待て、シャンパーニュ！！　メルロー公爵は儂より年上ではないか！！　

なにを言ってるの、シャンパーニュ。それはあまりにも酷いわ、メルロー公爵だなんてカベルネ殿のお父上ではありませんか。

「はい、わかりました。」

待ちなさい、ロゼッタ。なんなの少し嬉しそうなのは、カベルネ殿の義母親になれば傍にいられると思ったの？　

何と言う事だロゼッタ。健気だ、色気はないが健気だ。

「お待ち下さい、父は私より年上で！！　」
「それが？　」
「せめて弟を。」
「カベルネ殿の弟君には既に婚約者がおられるであろう。」
「それは……。」

「国内を安定させる為にも、メルロー公爵家との結び付きは必死。カベルネ殿が嫌なら、公爵しか空いている者はいないであろう。」

「しかし！！　」
「しかしも、案山子もない！！　カベルネ殿。」

シャンパーニュ、いくら何でも公爵は無いだろ。儂より年上だぞ、ロゼッタはまだ婚約もしたことのない娘だぞ。

ロゼッタほどの素晴らしい娘なら、まだまだ良い縁談があるはずはずよ。

「ロゼッタは既に公の場で、二度も婚約に行く前に破断になっている。」

いや、お前のせいだろ！！　

「そのような不吉な娘に良い縁談など来るはずはない。」

そ、それはそうかもしれませんが。政略結婚にしてもあまりにも……｡

「どこぞの則妃になるか、修道院に入るか……。公爵は紳士な方だ、無下にはしないであろう。」

確かに紳士な方ですが、ロゼッタの幸せは？　えっ、なんですのシャンパーニュ。なんの目配せですの？　

「それならば、公爵の後添いの方がマシであろう。」

そう言うことですの、ふふふっ。

「ああ、なんて可哀想なロゼッタ！！　どこぞの暴君の則妃なって虐められるのね。」

「虐められる！？　」

どうした、王妃よ。

「修道院に入れば、女の幸せはもう望めないのでしょう。よよよよ……。」

王妃よ、どうしたのだ！！

「メルロー公爵なら、きっと紳士にあっかってもらえますね。」

賛成するのか、王妃よ！！

「ああ、ロゼッタ！！　母が代わってあげたい。」

代わっては困るぞ、王妃よ。

「もう決まった事だカベルネ殿。ロゼッタは公爵に下賜する。」
「父に下賜するなら、私が諦めた意味がない！！　それならば私が、ロゼッタ様を幸せにします！！　」

まあ、言ったわねカベルネ殿。

言いよったなカベルネ。これを狙っておったのか王妃よ。

「カベルネ殿、言葉に二言はないか！？　」
「ありません！！　」
「カベルネ様……｡」

「妹を、この国を、宜しく頼む。」

よく言ったシャンパーニュ、鬼と思って悪かった。だがそれは儂の台詞ではないのか？

良かったですわ、ロゼッタ。シャンパーニュ、あなたは出来る変態よ。でも、クリスタル嬢と二人きりにはさせませんけどね。

「「「今度こそ、おめでとうございますカベルネ団長。」」」
「「「宜しゅうございましたわ、ロゼッタ様。」」」
「「「お幸せに！！　」」」

ああ、なんて喜ばしいこと。大団円ですわ。

ああ、そうだな。


　　　　　　　　　　　　【完】


後一回、おまけがあります。