【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて

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鬨の声。

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リフターは静かに動いた。辺境の者も動き出す。馬をゆっくりと歩かせ、警戒もなく開いている外壁の門へと数人単位で散らばっていく。
帝都の者は気づいていない。

辺境の者たちは旅人ように、帝都に入り込んで行く。彼らはまだ何もしない、馬に乗りゆっくりと街の中に散らばっていく。

鬨の声を待って。

数万の住む帝都の民たちは、数千の黒髪の騎士たちに気づかない。何時ものように行き来する数千の人たちの一部として見ているだけだ。ただ、今日は黒髪の旅人が多いくらいにしか思わなかった。

彼らは慢心していた、帝国は何処より強いと。帝国に、この帝都に戦を仕掛けてくるものはいないと確信していた。だからこそ、戦を避けようとする前皇太子の廃嫡を喜び、強い第二皇子の立太子を歓迎した。

春の温かい日差しが帝都を照らしている。彼らは今を生きていた、彼らを素通りしてリフターはゆっくりと皇帝のいる城へと近づいていった。 

「うおおおおおおぉぉぉ!! 」
昼過ぎ頃、リフターは鬨の声をあげた。その声は帝都じゅうに響き渡った。


「「「「「うおおおおおぉぉぉぉ!! 」」」」」
帝都の所々で、その鬨の声に応えるように辺境の者の雄叫びがあがる。帝都の民たちは驚き、雄叫びをあげる黒髪の騎士たちを見上げていた。

ゴロンと、騎士たちを見上げていた民の頭が転がり、首から血を吹き出した体が倒れた。

「「「ぎゃぁぁぁぁ!! 」」」
「「「うわあぁァァ!! 」」」

突然、殺勠が始まった。

驚き逃げ惑う人々、とにかく距離を取ろうとする者、家へと隠れる者、しかし何処に逃げても辺境の死神たちが追ってくる。

帝都から逃げ出そうとする者は外壁の門へと向かう。既に門は固く閉められ、黒い髪の死神たちが琥珀色の目を光らせて待っている。

「「「うわァァァ!! 助けてくれ!! 」」」
「「「助けてください、お願いします!! 」」」
懇願する人々、だが辺境の者たちは躊躇なく命を刈っていく。それが当たり前のように、自然に使命のように。

「「「うわあ~~ん!! 」」」
「「「パパ、ママ!! 」」」
「「「お父さん、お母さん!! 」」」

例え子供であろうと赤子であろうと、次から次えと命が刈られていく。命を刈る辺境の者たちに感情はない、目の前の命ある者を刈っていくだけだ。

ただ、苦しむことなく気がつく前に命が刈られていくだけ幸せであった。


城内ではリフターが、命を刈っていた。数人の辺境の者を連れて、ゆっくりと命を刈り歩いていた。

「クソッ、援軍はまだか!! 」
「きゃああぁぁ、助けて!! 」
「うわあぁアァ、助けてくれ!! 」
逃げ惑う者たちを部下の者に任せリフターは皇帝のいる場所へと進む。開かれていた城門は閉められ、そこから逃げることは出来ない。逃げた処で外にも辺境の者たちが命を刈っている。

既に何処にも逃げ場はない。


「陛下、お逃げください!! 」
「敵襲です!! 」
「既に城内に!! 」
「ええいぃ!! 何が起こったのだ!? 」
謁見の間で、砦から逃げて来たエセ司令官たちと合っていた場所に近衛騎士が飛び込んできた。

「黒髪の者たちが!! 」
それはソルトルアー国の辺境の者たちの特徴であった。黒髪に琥珀色の瞳、呪われた血を持つ野獣。

「どう言うことだ!! 」
目の前にいる貴族たちに、問い掛ける。必ず勝利すると、前元帥を退けて指揮官として砦に向かった筈だった。その者たちが、謁見を求めてきたことに『勝利』してきたと皇帝は思っていた。だからこそ昨日の深夜の謁見を断り、今朝もゆったりと過ごし勝利の味を噛み締めていた。

「勝ったのではなかったのか!! 」
「そ、それが……」
青ざめた顔で、項垂れる貴族たち。その後ろから逃げ惑う者たちの悲鳴が、謁見の間まで響いてきていた。


「ああ……リフィル。もうすぐ邪魔者もいなくなる。」
リフターは微笑みながら、ゆったりと皇帝のいる場所に近づいて来ていた。










    
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