のような

汐夜

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第2話 色なしの少女

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 「エレナと‥‥」


 団長が言いかけた時、後ろから音の小さいノックが聞こえた。


 「はい。どちら様ですか」

 「エレナ」


 その返事に団長と副団長は顔を見合わせて頷く。


 「どうぞ入ってください」


 皆が扉の方を見ているのでつられて振り返った。開いた扉から姿を見せたのは、輝くような白い髪をした少女だった。

 エレナ隊の隊長、エレナといえば騎士団内で唯一の色なし隊員だ。更に色なしでありながらギフトを持っているという世界で唯一の存在でもある。ただ、エレナ隊の隊員以外は彼女のギフトを見たことがないので本当はギフトないのではとよく噂されている。

 今まで入団式や朝礼で見かけた事は何度もあったが、こんなに間近で姿を見たのは初めてだ。
 俺の肩ぐらいまでしかない背丈に透き通るような白い肌、大きな瞳は左右で色が違う。

 こちらを見た彼女が一瞬固まった後、入ってきた扉から出ていこうとしたのを団長が慌てて止め、俺の横に来るように促す。渋々隣に来た彼女に団長が笑いかける。


 「エレナ、こちらミカエル・トレント。イーサ隊にいたんだけど、事情があって今日からそっちの隊に入ってもらう事にしたから急で悪いけどよろしくね」

 「よ、よろしくお願いします!」


 彼女に向かって深々と頭を下げた。エレナ隊への異動は不本意だが。


 「ん、わかった。貴方もよろしく」


 幼い見た目とは裏腹に落ち着いた雰囲気の彼女は大人のように感じさせる。‥‥もしかして幼く見えるだけで実は結構大人だったりするのかな。


 「任務の方は大丈夫だった?」

 「何も問題はない」


 団長相手に友人のように話している。こういう時に真っ先に注意しそうな副団長を見た。視線を感じとったのかこちらを見た副団長と目が合ったが、おもむろに逸らされた。

 ‥‥何も気にしないでおこう。そう心に決めた。


 「その、レイモンドはどうだ?」

 「今の所問題ない。そんなに気になるなら会いに行けばいい。レイモンドもそれを望んでいる」


 その言葉に団長は表情を曇らせて呟くようにそうだなと返事をした。

 雰囲気が一気に重くなった。いつ会っても笑顔で明るい印象の団長がこんなに沈んでいる所を初めて見た。レイモンドっていう人と何かあったんだろうな。まあ、一介の騎士である俺には関係ない話だろうけど。


 「エレナ、連日で申し訳ありませんが、明日も任務へ行ってもらえませんか?」


 雰囲気を変えようと思ったのか副団長がエレナに話をふった。


 「わかった」

 「詳細は明日説明しますので、本日はゆっくり休んでください。お疲れ様でした」


 お疲れと言うとエレナは足早に部屋を出て行った。俺は副団長に促され、彼女の後を追いかけた。
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