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街の中のとみぃ
25話。二つ名
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アイリスの光属性魔法の練習のつもりがアイリス無双に変わり、西側の魔物を殲滅してから改めて国王と神官長に挨拶に向かうと、恐縮してしまうくらいに感謝と心配されてしまった。
昨日ぶっ倒れてから顔合わせて無かったならなぁ……
なのでこれ以上心配させないようにするために体調に異常はない事と、夢で受けた神託の話をしておいた。
「おお……女神エルリア様直々にそのような……」
「やはりトミー殿には『聖者』の称号が良くお似合いですな」
「あのぅ……割と本気で『聖者』はちょっと……」
聖者なんて呼ばれる生き方はしてないからね?
どっちかと言うと『ヨゴレ』とかの方がしっくりきちゃうからね?
「またまたご謙遜を、我々女神教は全力で聖者様と姫騎士様をお支えしますよ! もちろん他の国の教会にもすぐに連絡しますのでご安心ください!」
何をだよ。何一つ安心できねぇよ。
「うむうむ。我が国も全力でバックアップしようぞ! 我が国は大森林と国家郡を隔てる砦の役割をになっておりますからな、他の国にも顔が利く故紹介状を用意しよう」
あ、紹介状はありがたいかも……
悪魔の出現地域に向かう際にいちいち止められていたら最悪間に合わなくなるかもだし。
めちゃくちゃ目立つだろうけど、それは諦めよう。
チーム名まで決めたんだ、アイリスは目立つ気満々ぽいしね。
ただ、聖者の称号だけはどうにかして欲しい。
それ以外なら受け入れるから。
◇◆
「というわけでトミーの二つ名を考えますわ!」
「うむ。トミー殿の希望とあらば是非も無し」
「私はやはり『聖者』がピッタリだと思うのですが……」
ピッタリじゃないよ。
「ではわたくしから……『デモンキラー』がいいと思いますわ!」
おおぅ……初っ端からキツいの来たな……
「ふむ、悪くは無いと思うが、ここは聖属性を使えることから世界唯一聖属性を操った聖騎士ロソンから取って『聖騎士』はどうだろうか?」
「悪くありませんわね……」
「だろう?」
何故か国王様がドヤ顔をし、これまた何故かアイリスが悔しそうに歯噛みする。
一体何を争っているの?
「私からは女神様が世界を救うために遣わした者という意味を込めて『救世者』がよろしいかと」
「ふむ……」
「神官長もやりますわね……」
なんだろう。ついていけないこのテンション。
酒でも飲めばついていけるようになるのかな?
その名前で呼ばれることを想像したら背中ゾワゾワしたよ。
それからしばらくの間三人であーでもないこーでもないと議論が続き、最終的にいくつかの候補の中から俺が選ぶこととなった。
その間俺は窓から外を見ていたよ。
「ではトミー、この中から選んでくださいまし」
アイリスがメモを差し出してきたので受け取り、書かれた文字を見る。
「聖者」「救世者」「光の騎士」「聖騎士」「聖拳」「デモンキラー」「デモンバスター」「聖・トミー」「女神の使徒」
……なんだこれは。
「トミー、早く決めてくださいまし」
「トミー殿、『光の騎士』は自信作だ、どうだろう?」
「トミー様、私はやはり『聖者』が一番かと」
俺がメモを見て固まっていると、提案者である三人が瞳を輝かせながら身を乗り出してきた。
「えっと……」
まず「聖・トミー」ってなんだよ。
二つ名でも称号でもなんでもないじゃん。
なんか死後に教会とかに祀られそうな感じだから除外。
次に「デモン」系は除外しよう。
アイリスには悪いけど、チーム名と被っちゃってるしね。
「聖者」は柄じゃないし、「聖騎士」や「光の騎士」は……
騎士って剣を使うものじゃない?
偏見かもしれないけど、俺の戦い方ってまかり間違っても騎士っぽくないと思うんだ。
ということで残ったのは「聖拳」と「女神の使徒」か。
この二つなら「聖拳」かな?
「秘技、聖拳突き」は俺の代表的な技だし、「聖拳のトミー」ってアリじゃない?
……うん、ありよりのありだな。
「決まりましたの?」
考えていると、アイリスから声を掛けられた。
ふむ、一応聞いてみようかな?
「えっと……『聖拳』と『女神の使徒』で悩んでる」
「……デモンは?」
「チーム名と被るから省いたよ」
俺がそう答えると、アイリスは目を見開いて固まってしまった。
俺はチーム名と被るから省いたけど、もしかしたらアイリスはチーム名を意識しての命名だったのかもしれない。
「『聖拳』はワシだな」
「『女神の使徒』は私ですね」
なるほど、「聖拳」は国王様で「女神の使徒」は神官長さんか。
ならやっぱ「聖拳」かな?
「『聖拳』はトミーの技と被ってますの! わたくしの『デモン』が被っているから却下と言うのなら『聖拳』も却下なはずですわ!」
「えー……」
そう言われてみればそう……なのか?
「デーモンバスターズのデモンバスタートミー」と「聖拳突きを繰り出す聖拳のトミー」なら違うような……
「というわけでトミーの二つ名は『女神の使徒』で決まりですわ!」
「なんと……」
今度は国王様が固まってしまった。
対して神官長さんは嬉しそうに微笑んでいる。
これ、いいの?
「決まりですわ! デーモンバスターズリーダー、女神の使徒トミーですわ!」
「ああ、うん。はい……」
決まってしまったっぽい。
俺の意思は……一応反映されてるな。なら文句言えないや。
「でも『女神の使徒』はちょっと長いし仰々しいから……普段は『使徒トミー』でいいかな?」
「仕方ありませんわね。それでいいですわ」
よし、アイリスの許可も出たことだし「使徒トミー」で行こう。
これ以上ゴネるともっとアレな二つ名になりそうだし、ここで話を終わらせるべきだ。
昨日ぶっ倒れてから顔合わせて無かったならなぁ……
なのでこれ以上心配させないようにするために体調に異常はない事と、夢で受けた神託の話をしておいた。
「おお……女神エルリア様直々にそのような……」
「やはりトミー殿には『聖者』の称号が良くお似合いですな」
「あのぅ……割と本気で『聖者』はちょっと……」
聖者なんて呼ばれる生き方はしてないからね?
どっちかと言うと『ヨゴレ』とかの方がしっくりきちゃうからね?
「またまたご謙遜を、我々女神教は全力で聖者様と姫騎士様をお支えしますよ! もちろん他の国の教会にもすぐに連絡しますのでご安心ください!」
何をだよ。何一つ安心できねぇよ。
「うむうむ。我が国も全力でバックアップしようぞ! 我が国は大森林と国家郡を隔てる砦の役割をになっておりますからな、他の国にも顔が利く故紹介状を用意しよう」
あ、紹介状はありがたいかも……
悪魔の出現地域に向かう際にいちいち止められていたら最悪間に合わなくなるかもだし。
めちゃくちゃ目立つだろうけど、それは諦めよう。
チーム名まで決めたんだ、アイリスは目立つ気満々ぽいしね。
ただ、聖者の称号だけはどうにかして欲しい。
それ以外なら受け入れるから。
◇◆
「というわけでトミーの二つ名を考えますわ!」
「うむ。トミー殿の希望とあらば是非も無し」
「私はやはり『聖者』がピッタリだと思うのですが……」
ピッタリじゃないよ。
「ではわたくしから……『デモンキラー』がいいと思いますわ!」
おおぅ……初っ端からキツいの来たな……
「ふむ、悪くは無いと思うが、ここは聖属性を使えることから世界唯一聖属性を操った聖騎士ロソンから取って『聖騎士』はどうだろうか?」
「悪くありませんわね……」
「だろう?」
何故か国王様がドヤ顔をし、これまた何故かアイリスが悔しそうに歯噛みする。
一体何を争っているの?
「私からは女神様が世界を救うために遣わした者という意味を込めて『救世者』がよろしいかと」
「ふむ……」
「神官長もやりますわね……」
なんだろう。ついていけないこのテンション。
酒でも飲めばついていけるようになるのかな?
その名前で呼ばれることを想像したら背中ゾワゾワしたよ。
それからしばらくの間三人であーでもないこーでもないと議論が続き、最終的にいくつかの候補の中から俺が選ぶこととなった。
その間俺は窓から外を見ていたよ。
「ではトミー、この中から選んでくださいまし」
アイリスがメモを差し出してきたので受け取り、書かれた文字を見る。
「聖者」「救世者」「光の騎士」「聖騎士」「聖拳」「デモンキラー」「デモンバスター」「聖・トミー」「女神の使徒」
……なんだこれは。
「トミー、早く決めてくださいまし」
「トミー殿、『光の騎士』は自信作だ、どうだろう?」
「トミー様、私はやはり『聖者』が一番かと」
俺がメモを見て固まっていると、提案者である三人が瞳を輝かせながら身を乗り出してきた。
「えっと……」
まず「聖・トミー」ってなんだよ。
二つ名でも称号でもなんでもないじゃん。
なんか死後に教会とかに祀られそうな感じだから除外。
次に「デモン」系は除外しよう。
アイリスには悪いけど、チーム名と被っちゃってるしね。
「聖者」は柄じゃないし、「聖騎士」や「光の騎士」は……
騎士って剣を使うものじゃない?
偏見かもしれないけど、俺の戦い方ってまかり間違っても騎士っぽくないと思うんだ。
ということで残ったのは「聖拳」と「女神の使徒」か。
この二つなら「聖拳」かな?
「秘技、聖拳突き」は俺の代表的な技だし、「聖拳のトミー」ってアリじゃない?
……うん、ありよりのありだな。
「決まりましたの?」
考えていると、アイリスから声を掛けられた。
ふむ、一応聞いてみようかな?
「えっと……『聖拳』と『女神の使徒』で悩んでる」
「……デモンは?」
「チーム名と被るから省いたよ」
俺がそう答えると、アイリスは目を見開いて固まってしまった。
俺はチーム名と被るから省いたけど、もしかしたらアイリスはチーム名を意識しての命名だったのかもしれない。
「『聖拳』はワシだな」
「『女神の使徒』は私ですね」
なるほど、「聖拳」は国王様で「女神の使徒」は神官長さんか。
ならやっぱ「聖拳」かな?
「『聖拳』はトミーの技と被ってますの! わたくしの『デモン』が被っているから却下と言うのなら『聖拳』も却下なはずですわ!」
「えー……」
そう言われてみればそう……なのか?
「デーモンバスターズのデモンバスタートミー」と「聖拳突きを繰り出す聖拳のトミー」なら違うような……
「というわけでトミーの二つ名は『女神の使徒』で決まりですわ!」
「なんと……」
今度は国王様が固まってしまった。
対して神官長さんは嬉しそうに微笑んでいる。
これ、いいの?
「決まりですわ! デーモンバスターズリーダー、女神の使徒トミーですわ!」
「ああ、うん。はい……」
決まってしまったっぽい。
俺の意思は……一応反映されてるな。なら文句言えないや。
「でも『女神の使徒』はちょっと長いし仰々しいから……普段は『使徒トミー』でいいかな?」
「仕方ありませんわね。それでいいですわ」
よし、アイリスの許可も出たことだし「使徒トミー」で行こう。
これ以上ゴネるともっとアレな二つ名になりそうだし、ここで話を終わらせるべきだ。
応援ありがとうございます!
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