兄貴がイケメンすぎる件

みららぐ

文字の大きさ
11 / 58

幼なじみが泊まりに来た件①

しおりを挟む


早月くんと別れたあと、あたしは結局独りでマンションに帰った。
本当は健と一緒に帰る予定だったけど、健の部活が終わるのが遅い時間だったから、待てなくて。
本当はあれからそれを知った早月くんが、「家まで送るよ」と言って聞かなかったけど、あたしは早月くんに家を知られるのが嫌で断ったのだ。
何より、今日と明日のカフェのシフトが休みになっている兄貴と鉢合わせになってしまえば元も子もない。
万が一、ということで。

あたしがマンションに帰ると、兄貴は晩ごはんの支度をしている最中だった。

「ただいまー」
「おぉ、おかえり。遅かったやん、もうちょいで電話するとこやったで」
「ごめんごめん、」

兄貴は何を作っているのか、野菜を慣れた手つきで包丁を使って切っている。
…ニンジン、ピーマン、玉ねぎ…わ、あたしの嫌いな野菜ばっかりだ。

「…何作ってるの?」

お昼のお弁当箱を出しながら兄貴の傍でそう聞くと、兄貴はニンジンを切りながら、

「中華風野菜炒め」

と言った。
野菜炒め……あたし嫌いなんだよー。

「えぇ~…」

そう言ってあからさまに嫌な顔をして見せると、兄貴が「まぁそう嫌な顔すんなや」と話を続ける。

「今日のメインディッシュは、唐揚げやで」
「!」

唐揚げ!?

「え、嬉しい!」

兄貴が作る唐揚げ、超美味いんだよね。
そう思って、バンザイしながらキッチンを離れると、そんなあたしの背中に、兄貴が思い出したようにしてあたしに言った。

「…あっ、世奈」
「?」
「今日、健泊まりに来んねん」

そう言って、一旦手を止めてあたしを見るから。
だけどその情報をとっくに知っているあたしは、兄貴に言う。

「知ってるよー。健が言ってたの聞いた」
「あ、何や、それなら話早いやんけ」
「ねぇ、何で健が泊まりにくるの?」
「明日土曜日やからな。健も部活昼からみたいやし」
「…夜遅くまで2人でゲームってわけね」

あたしが全てを察してそう言うと、兄貴が「世奈もやる?」と聞いてくる。
だけど、残念。
あたしはそういうゲームとか、しないから。
その言葉に首を横に振ると、兄貴がまた不意に顔を上げてあたしを呼んだ。

「世奈、ちょお、こっち来い」
「?」

そんな兄貴に、あたしは疑問を抱きながらキッチンにいる兄貴に近づく。
何?と問いかけたら、兄貴が出来上がったばかりの唐揚げを箸で持って…

「味見。食う?」

珍しく、そう言った。

「食べる!」

あたしのそんな言葉を聞くと、兄貴が「口開け、」とあたしの目の前に唐揚げを持ってくる。
「熱いで」とか言われたけど、そんなこと気にしない。
兄貴が作った唐揚げ、大好きだし。
そして兄貴にあーんしてもらってそれを口に含むと、やがて兄貴が聞いてきた。

「めっちゃウマイやろ?」
「絶品!」
「よっし!」

…だけど、ほんとに珍しいな。
いつもは味見なんて、させてくれないのに。
あたしはそんな兄貴にそう思いながらも、それ以上は特に気にすることもなくキッチンから離れた。

…………

それから数時間後。
あれからあたしがお風呂に入っている間に健が部活から帰ってきて、兄貴が作ってくれた晩ご飯を3人で食べた。
健が泊まりにくるのは実は珍しいことじゃなくて、健は兄貴と今日みたいにゲームをするためだけにたまに泊まりに来たりしている。

…だから、何もない夜はリビングを独占されるから。
あたしは、別にまだ寝ないけど、いつもより少し早い時間に自分の部屋に行った。

「じゃあおやすみ~」
「いや、早すぎやろ。絶対まだ寝ぇへんやん」
「…音楽聴いてたらそのうち眠れるでしょ」
「…」

あたしはそう言って、兄貴に手を振って部屋の中に入る。
……健は、なんとなくまだ、避けられるんじゃないかっていう不安があるから、素直に手を振れない。
あたしはベッドの枕元にある音楽を聴こうと、やがてイヤホンで耳を塞いだ。

…………

「ほな健、手加減とかせぇへんからな」
「いやもうガチで来て。絶対負けない」

世奈が部屋に入ったあと、ゲームを起動させながら俺は勇斗くんにそう言った。
実はこのゲーム、俺がこうやって泊まりに来た時に必ずと言っていいほどやるゲームで、長い間ずっとハマっているゲームだったりする。

そしていつものようにもう見慣れたゲームのオープニング画面を眺めていると、そのうちに勇斗くんが俺に言った。

「……なぁ」
「うん?」
「多分、お前やったら何か知ってるんちゃうかと思てるから聞くけど、」
「…?」

勇斗くんはそう言いながら、テレビ画面を見つめたまま。
一方の俺はその画面から視線を外すと、勇斗くんを見遣る。
すると、見遣った瞬間に勇斗くんが言った。

「…世奈、今日何かあったやろ」
「!!」

そう言って、びっくりする俺に、やっと視線を合わせる勇斗くん。
…まさか、いきなり、そんなことを言われるとか。
俺は、予想すらしていなかったから。
余計に怪しくなるとわかっていても、つい勇斗くんから目を逸らしてしまう。

…内緒だって、言われたのに。
何ですぐわかるのかな。
やっぱり勇斗くんって凄い。

「今日、世奈の様子が何かオカシイねん。晩ご飯唐揚げや言うても、口では喜んでるけど表情はそこまで喜んでへん。
気のせいかと思って試しに味見させても一緒やった。笑った顔がいつもとちゃう」
「!」
「…や、嘘やろ?って思ったけど、その後からもおんなじやん。俺は普段から世奈の隣におるからすぐわかんねん、そういうの」
「…」
「世奈に直接聞いても、多分あの感じやとはぐらかされるだけや。なぁ健、お前何か原因知ってるんちゃうの、」

勇斗くんはそう言うと、本当に心配そうに俺を見つめる。
…本当は、何かあったって、モンじゃない。

“兄貴に言うと凄い心配しちゃうから。お願い”

世奈は、ああ言ってたけど。
俺はゲームのコントローラーをテーブルの上に置くと、やがて勇斗くんに言った。

「…実は、世奈…」
「…」
「今日の放課後に………」







しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

ポンコツ気味の学園のかぐや姫が僕へのラブコールにご熱心な件

鉄人じゅす
恋愛
平凡な男子高校生【山田太陽】にとっての日常は極めて容姿端麗で女性にモテる親友の恋模様を観察することだ。 ある時、太陽はその親友の妹からこんな言葉を隠れて聞くことになる。 「私ね……太陽さんのこと好きになったかもしれない」 親友の妹【神凪月夜】は千回告白されてもYESと言わない学園のかぐや姫と噂される笑顔がとても愛らしい美少女だった。 月夜を親友の妹としか見ていなかった太陽だったがその言葉から始まる月夜の熱烈なラブコールに日常は急変化する。 恋に対して空回り気味でポンコツを露呈する月夜に苦笑いしつつも、柔和で優しい笑顔に太陽はどんどん魅せられていく。 恋に不慣れな2人が互いに最も大切な人になるまでの話。 7月14日 本編完結です。 小説化になろう、カクヨム、マグネット、ノベルアップ+で掲載中。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ

桜庭かなめ
恋愛
 高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。  あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。  3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。  出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2026.1.21)  ※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

サクラブストーリー

桜庭かなめ
恋愛
 高校1年生の速水大輝には、桜井文香という同い年の幼馴染の女の子がいる。美人でクールなので、高校では人気のある生徒だ。幼稚園のときからよく遊んだり、お互いの家に泊まったりする仲。大輝は小学生のときからずっと文香に好意を抱いている。  しかし、中学2年生のときに友人からかわれた際に放った言葉で文香を傷つけ、彼女とは疎遠になってしまう。高校生になった今、挨拶したり、軽く話したりするようになったが、かつてのような関係には戻れていなかった。  桜も咲く1年生の修了式の日、大輝は文香が親の転勤を理由に、翌日に自分の家に引っ越してくることを知る。そのことに驚く大輝だが、同居をきっかけに文香と仲直りし、恋人として付き合えるように頑張ろうと決意する。大好物を作ってくれたり、バイトから帰るとおかえりと言ってくれたりと、同居生活を送る中で文香との距離を少しずつ縮めていく。甘くて温かな春の同居&学園青春ラブストーリー。  ※特別編8-お泊まり女子会編-が完結しました!(2025.6.17)  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

高嶺の花の高嶺さんに好かれまして。

桜庭かなめ
恋愛
 高校1年生の低田悠真のクラスには『高嶺の花』と呼ばれるほどの人気がある高嶺結衣という女子生徒がいる。容姿端麗、頭脳明晰、品行方正な高嶺さんは男女問わずに告白されているが全て振っていた。彼女には好きな人がいるらしい。  ゴールデンウィーク明け。放課後にハンカチを落としたことに気付いた悠真は教室に戻ると、自分のハンカチの匂いを嗅いで悶える高嶺さんを見つける。その場で、悠真は高嶺さんに好きだと告白されるが、付き合いたいと思うほど好きではないという理由で振る。  しかし、高嶺さんも諦めない。悠真に恋人も好きな人もいないと知り、 「絶対、私に惚れさせてみせるからね!」  と高らかに宣言したのだ。この告白をきっかけに、悠真は高嶺さんと友達になり、高校生活が変化し始めていく。  大好きなおかずを作ってきてくれたり、バイト先に来てくれたり、放課後デートをしたり、朝起きたら笑顔で見つめられていたり。高嶺の花の高嶺さんとの甘くてドキドキな青春学園ラブコメディ!  ※2学期編4が完結しました!(2025.8.4)  ※お気に入り登録や感想、いいねなどお待ちしております。

明日のために、昨日にサヨナラ(goodbye,hello)

松田丹子(まつだにこ)
恋愛
スパダリな父、優しい長兄、愛想のいい次兄、チャラい従兄に囲まれて、男に抱く理想が高くなってしまった女子高生、橘礼奈。 平凡な自分に見合うフツーな高校生活をエンジョイしようと…思っているはずなのに、幼い頃から抱いていた淡い想いを自覚せざるを得なくなり…… 恋愛、家族愛、友情、部活に進路…… 緩やかでほんのり甘い青春模様。 *関連作品は下記の通りです。単体でお読みいただけるようにしているつもりです(が、ひたすらキャラクターが多いのであまりオススメできません…) ★展開の都合上、礼奈の誕生日は親世代の作品と齟齬があります。一種のパラレルワールドとしてご了承いただければ幸いです。 *関連作品 『神崎くんは残念なイケメン』(香子視点) 『モテ男とデキ女の奥手な恋』(政人視点)  上記二作を読めばキャラクターは押さえられると思います。 (以降、時系列順『物狂ほしや色と情』、『期待ハズレな吉田さん、自由人な前田くん』、『さくやこの』、『爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい』、『色ハくれなゐ 情ハ愛』、『初恋旅行に出かけます』)

処理中です...