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幼なじみが泊まりに来た件②
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「…実は、世奈…」
「…」
「今日の放課後に、三年の男達に襲われた」
世奈には内緒だと言われたけど。
勇斗くんに気づかれてしまったからには、これ以上秘密にしておくわけにもいかない。
そう思って意を決して俺が勇斗くんに言うと、勇斗くんは当たり前だけど驚いた顔をした。
「っ…はぁ!?何やねんそれ!」
「ちょ、勇斗くん声が大きいっ…!」
「そら声も大きなるやろ!世奈襲われたってどういうことやねん!」
…まあ、言ったあとの勇斗くんのリアクションはだいたい想像できてはいたけど。
いくら世奈がイヤホンをしているとはいえ、本当は勇斗くんに言わない約束だからこれはマズイ。
だから俺は勇斗くんを落ち着かせるべく、すぐに話を続けた。
「や、けど、すぐに助けが入ったから、そこまで……まあ大丈夫ではあったんだけど」
「大丈夫て、けど襲われたんは事実やろ?」
「…まぁ、正しくは“襲われかけた”かな。でも実際世奈がそいつらにどこまでされたか正直知らないんだよね、俺」
俺はそう言うと、なんとなく勇斗くんの顔を見れなくて、勇斗くんから目を逸らす。
するとそんな俺に、勇斗くんが言った。
「何や、助けたんお前ちゃうんかい」
「……違う。俺は、途中で抜けてきたらしい三年の先輩から、世奈が襲われてるって聞いただけだし」
まぁそれも少し謎だったんだけど、たまに勇斗くんってイケメンという噂よりも、すげー怖いっていう噂も一緒に広まってるから、今回は先輩がたまたまその噂を知っていたんだと思う。
で、何かのキッカケで気づいて慌てて抜けてきた…と。
っつか、そういうことじゃなくて。
「ほな誰やねん、世奈助けたそいつ」
俺がどうでもいいことを考えていたら、ふいにそんなことを聞いてくる勇斗くん。
そんな問いかけに、俺は呟くように勇斗くんに言った。
「世奈と同じクラスの…早月翔太」
「さつき、しょうた…?」
「うん。俺一年の時同じクラスだったから知ってるんだけど、入学初日から大半の女子生徒達にチヤホヤされてて、かと思えば自分に惚れてる女達をシモベにしてるいけ好かない男」
うん、マジで、いま思い出しただけでもムカつく。
正直アイツのことを嫌いじゃない男子生徒なんていないと思う。なんて。
俺がそう思っていると、勇斗くんが言った。
「…男に嫌われるタイプやな」
「でしょ?」
「けど、まぁええ奴やん。そいつが助けてくれたんやったら…」
「まぁ、早月も世奈に惚れてるからね」
「!」
俺が何気なくそう言うと、そんな俺の言葉に一瞬にして顔色が変わる勇斗くん。
まるで「はぁ?」とでも言いたげな顔してる。
けど、そりゃそうか。勇斗くんにとって世奈は大事な義妹だから。
「また彼氏にフラれたと思ったら早速かい。っつか負けとるやんけ、お前」
「…負けてるとか言わないでよ」
「いや、負けてるやろ。世奈がピンチの時にすぐ助けに入ったっちゅうことやろ?その…早月って奴は。それやったら世奈にとったらめっちゃ信頼できるええ男やん」
「!」
勇斗くんはそう言うと、「俺が女やったら惚れてるな」なんて容赦なく言うから、俺は更に落ち込んでしまう。
だって俺は…早月みたいに優しい言葉とか、世奈にかけられなかったし。
むしろ、「なんで助けを呼ばねぇんだよ」とか何とか言って…。
いや、俺だってわかってたよ!
実際あの時世奈を責めるのは間違ってたって!
早月に言われなくても、わかってはいたけど…。
俺がそんなことを考えている間、隣で一足先にゲームを始める勇斗くん。
そんな勇斗くんの隣で、頭を悩ませる俺。
「…いや違う。世奈は騙されてる」
「ほぉ」
「世奈はっ…早月がどういう男か知らないんだよ!一年の時の早月なんて、校内の色んな場所に女連れ込んで、あっちでイチャイチャこっちでイチャイチャ…」
「…」
「……そんな奴に比べたら、いやそもそも比べてほしくないけど、ぜったい俺が一番世奈のこと好きだよ」
…早月の名前が出てくると、つい、俺は自分の中で溜まっていた気持ちをその場で吐き出す。
チャンスなんて今までいくらでもあった。
素直になろうと思えば、なれるチャンスなんていくらでもあった。
けど、今までそのチャンスを自分で踏みにじって世奈を傷つけてきた。
俺が、傷つきたくないから。
だけど、俺の今だけの素直な言葉を聞くと、隣で勇斗くんが言った。
「…せやけどな、健」
「…」
「いくら腹ん中で思とっても、世奈に伝えな意味ないで」
「…」
「今のままやったら、お前は確実に早月って奴に負けるやろな」
「!」
「お前それでええんか?」
そう問いかけながら、勇斗くんは目はテレビ画面に向けたまま。
俺はその言葉を聞くと、最初は凄く躊躇っていたけれど……やがて静かに意を決した。
「……よくない」
「せやろ?」
今夜、遅れた分だけ取り戻そう。
…………
ゲームが終わったあとの、真っ暗な深夜。
勇斗くんもすっかり寝静まった頃に、部屋から抜け出す俺。
今日みたいに泊まりに来た時は、だいたい俺は勇斗くんの部屋で寝ている。
部屋を抜けると、向かう先は世奈の部屋。
ドアの前に立つと、小さめの音でノックをして、そのドアをゆっくり開いた。
「…世奈…?」
…この行動も、実はついさっきギリギリまで迷っていた。
だけど、行動に移さないと、早月に負けてしまうから。
俺は静かに中に入ると、就寝中の世奈にゆっくり近づいた…。
「…」
「今日の放課後に、三年の男達に襲われた」
世奈には内緒だと言われたけど。
勇斗くんに気づかれてしまったからには、これ以上秘密にしておくわけにもいかない。
そう思って意を決して俺が勇斗くんに言うと、勇斗くんは当たり前だけど驚いた顔をした。
「っ…はぁ!?何やねんそれ!」
「ちょ、勇斗くん声が大きいっ…!」
「そら声も大きなるやろ!世奈襲われたってどういうことやねん!」
…まあ、言ったあとの勇斗くんのリアクションはだいたい想像できてはいたけど。
いくら世奈がイヤホンをしているとはいえ、本当は勇斗くんに言わない約束だからこれはマズイ。
だから俺は勇斗くんを落ち着かせるべく、すぐに話を続けた。
「や、けど、すぐに助けが入ったから、そこまで……まあ大丈夫ではあったんだけど」
「大丈夫て、けど襲われたんは事実やろ?」
「…まぁ、正しくは“襲われかけた”かな。でも実際世奈がそいつらにどこまでされたか正直知らないんだよね、俺」
俺はそう言うと、なんとなく勇斗くんの顔を見れなくて、勇斗くんから目を逸らす。
するとそんな俺に、勇斗くんが言った。
「何や、助けたんお前ちゃうんかい」
「……違う。俺は、途中で抜けてきたらしい三年の先輩から、世奈が襲われてるって聞いただけだし」
まぁそれも少し謎だったんだけど、たまに勇斗くんってイケメンという噂よりも、すげー怖いっていう噂も一緒に広まってるから、今回は先輩がたまたまその噂を知っていたんだと思う。
で、何かのキッカケで気づいて慌てて抜けてきた…と。
っつか、そういうことじゃなくて。
「ほな誰やねん、世奈助けたそいつ」
俺がどうでもいいことを考えていたら、ふいにそんなことを聞いてくる勇斗くん。
そんな問いかけに、俺は呟くように勇斗くんに言った。
「世奈と同じクラスの…早月翔太」
「さつき、しょうた…?」
「うん。俺一年の時同じクラスだったから知ってるんだけど、入学初日から大半の女子生徒達にチヤホヤされてて、かと思えば自分に惚れてる女達をシモベにしてるいけ好かない男」
うん、マジで、いま思い出しただけでもムカつく。
正直アイツのことを嫌いじゃない男子生徒なんていないと思う。なんて。
俺がそう思っていると、勇斗くんが言った。
「…男に嫌われるタイプやな」
「でしょ?」
「けど、まぁええ奴やん。そいつが助けてくれたんやったら…」
「まぁ、早月も世奈に惚れてるからね」
「!」
俺が何気なくそう言うと、そんな俺の言葉に一瞬にして顔色が変わる勇斗くん。
まるで「はぁ?」とでも言いたげな顔してる。
けど、そりゃそうか。勇斗くんにとって世奈は大事な義妹だから。
「また彼氏にフラれたと思ったら早速かい。っつか負けとるやんけ、お前」
「…負けてるとか言わないでよ」
「いや、負けてるやろ。世奈がピンチの時にすぐ助けに入ったっちゅうことやろ?その…早月って奴は。それやったら世奈にとったらめっちゃ信頼できるええ男やん」
「!」
勇斗くんはそう言うと、「俺が女やったら惚れてるな」なんて容赦なく言うから、俺は更に落ち込んでしまう。
だって俺は…早月みたいに優しい言葉とか、世奈にかけられなかったし。
むしろ、「なんで助けを呼ばねぇんだよ」とか何とか言って…。
いや、俺だってわかってたよ!
実際あの時世奈を責めるのは間違ってたって!
早月に言われなくても、わかってはいたけど…。
俺がそんなことを考えている間、隣で一足先にゲームを始める勇斗くん。
そんな勇斗くんの隣で、頭を悩ませる俺。
「…いや違う。世奈は騙されてる」
「ほぉ」
「世奈はっ…早月がどういう男か知らないんだよ!一年の時の早月なんて、校内の色んな場所に女連れ込んで、あっちでイチャイチャこっちでイチャイチャ…」
「…」
「……そんな奴に比べたら、いやそもそも比べてほしくないけど、ぜったい俺が一番世奈のこと好きだよ」
…早月の名前が出てくると、つい、俺は自分の中で溜まっていた気持ちをその場で吐き出す。
チャンスなんて今までいくらでもあった。
素直になろうと思えば、なれるチャンスなんていくらでもあった。
けど、今までそのチャンスを自分で踏みにじって世奈を傷つけてきた。
俺が、傷つきたくないから。
だけど、俺の今だけの素直な言葉を聞くと、隣で勇斗くんが言った。
「…せやけどな、健」
「…」
「いくら腹ん中で思とっても、世奈に伝えな意味ないで」
「…」
「今のままやったら、お前は確実に早月って奴に負けるやろな」
「!」
「お前それでええんか?」
そう問いかけながら、勇斗くんは目はテレビ画面に向けたまま。
俺はその言葉を聞くと、最初は凄く躊躇っていたけれど……やがて静かに意を決した。
「……よくない」
「せやろ?」
今夜、遅れた分だけ取り戻そう。
…………
ゲームが終わったあとの、真っ暗な深夜。
勇斗くんもすっかり寝静まった頃に、部屋から抜け出す俺。
今日みたいに泊まりに来た時は、だいたい俺は勇斗くんの部屋で寝ている。
部屋を抜けると、向かう先は世奈の部屋。
ドアの前に立つと、小さめの音でノックをして、そのドアをゆっくり開いた。
「…世奈…?」
…この行動も、実はついさっきギリギリまで迷っていた。
だけど、行動に移さないと、早月に負けてしまうから。
俺は静かに中に入ると、就寝中の世奈にゆっくり近づいた…。
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