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第4章「怪しくない?」

汚された教科書。

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あー、テストとか、マジで憂鬱だ。
そう思うと、自然とため息が出る。

自分の部屋に入ると、勉強用机の上に数学の教科書やノートを広げた。
テストの一発目は、数学らしい。
しばらくは黙々とやっていたけれど、途中でどうしてもわからない問題に遭遇して頭を抱えた。

「…?」

……わけわからん。
あまりに解けないから、授業中にメモったノートを読み返してみるけれど、それらしき問題の解説は書いてない。
仕方ないから飛ばそうかと思ったけど…

………あっ、良いこと思いついた!

……………

「失礼しまーす…」

その後、あたしは自分の部屋を抜け出すと、そのまま水野くんの部屋に侵入した。
水野くんの部屋に入るのは初めてで、よくわからないけれど難しそうな本がたくさん並んでいる。
…けど、そんなことはどーだっていい。
とにかく今は、水野くんの数学のノートを探しだして、さっきの問題の答えを探したい。
水野くんはクラスが違うから、もしかしたら解き方くらい書いてあるかも。
あたしはそう思うと、教科書が並んでいる棚の前に足を運ばせた。

…ここだ!
そう思って、そこに手を伸ばしたら…

「…?」

あたしはその瞬間、教科書やノートが並んでいる棚で、他に“あるモノ”を見つけた。

?……何これ、
見た感じ教科書っぽいけど、なんせ見つかるとマズイから電気を点けていないせいでそれが何なのかよく見えない。
けど…これ、たぶん中学の時の教科書だ。
懐かしい。ちょっとだけ見ても平気かな?
あたしはそう思うと、それに手を伸ばした。

しかし…

「!!」

その教科書を手にとった瞬間、あたしは思わずびっくりして固まった。
だってその教科書には…

“ウザイ”“死ね”“消えろ”

等、残酷な言葉がたくさん書かれてあったから。

は…何コレ。

その文字は全て黒い油性ペンで書かれてあって、教科書が無残な姿になっている。
…水野くん、中学の時いじめに遭ってたの?
そう思って、教科書の隅の方に目を遣ってみるけど…そこには、

「…“瀬川真希”…?」

何故か、あたしの名前が書かれてあった。

???
ん?何で…
そう思って独り首を傾げていると…

「!」

廊下の階段から、水野くんがこの部屋に向かってくるような足音が聞こえて来た。
あたしはその音を聞くと、慌ててその教科書をもとにあった場所に戻し、部屋を後にしようとする。

ヤバイ!!

でも水野くんはもうすぐそこにいるだろうし、今この部屋を出れば鉢合わせになるに決まってる。
ここを出るわけにいかなくなって、あたしはすぐ近くのウォークインクローゼットの中に隠れた。

…ここなら安心。…か?
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