親友の彼氏と、一つ屋根の下。

みららぐ

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第5章「認めたくない」

公ちゃんとの時間。①

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…………

「真希、」
「…」
「おい、真希!」
「!」

昼休み、いつものように学校の庭でお弁当を食べていると、ぼーっとするあたしに公ちゃんがそう呼びかけた。
あたしがその声にビックリして公ちゃんを見ると、公ちゃんは、

「どした?お前さっきからずっと上の空じゃん」

と、心配そうにあたしを見る。
…公ちゃん…
でもあたしはへらっと笑うと、「何でもないよ」ってごまかした。

「ただ、追試が待ってるから憂鬱なだけ」
「…そう、なん?」

そのあたしの言葉に公ちゃんは首を傾げて、あたしが作ったお弁当をいつものようにおいしそうに食べてくれる。
…そういえば、今頃水野くんも食べてくれてるだろうか。
最近は公ちゃんだけにじゃなくて水野くんにも作ってあげているから、あたしは思わずふとそんなことを考えた。
ちゃんと食べてくれてると…いいな。
そう思うと、思わずまたぼーっとしてしまう。
すると、そんなあたしに公ちゃんが…

「要らないなら俺にくれ!」
「!」

あたしのお弁当に入っている唐揚げを、そう言って奪っていった。

「あ、それあたしのっ…!」
「ぼーっとしてるからだろ、」

公ちゃんはそう言って悪戯な笑みを浮かべると、その唐揚げを頬張る。
ひっどーい!

「あ、もうお弁当作ってやんないからね」
「え、それは困る」
「じゃあその残り1個のから揚げあたしにちょーだい」
「…」

あたしがそう言うと、公ちゃんは少し黙り込んで…

「…しょーがねぇなぁ」

そう呟いて、お弁当の中に入っている唐揚げを箸でつまんだ。
そしてそれをあたしに向けると、キョトン、としているあたしに言う。

「ほら、口開けろ」
「え、いいよ恥ずかしいから!」
「お前がいつもやりたがってることだろ。何を今更、」
「…」

公ちゃんのその言葉に、あたしは恥ずかしいながらも口を開けてそれを待つ。
すると、やがてその唐揚げが公ちゃんによってあたしの口の中にコロン、と転がり込んできた。
普段のあたしだったら、喜ぶのに…何で今は…、

「…ど?」
「我ながらサイコーにウマイ」

全然、嬉しさがないんだろう……。

…………

しばらくお弁当を食べて教室に戻ろうとしたら、そんなあたしを引き留めるようにして公ちゃんが言った。

「真希、」
「…うん?」
「今日俺部活ないから、一緒に帰るぞ」

そう言って、あたしの好きな笑顔でニッコリ笑う。

「…公ちゃんが誘ってくれるの、珍しいね」

あたしが少しびっくりしながらそう言うと、公ちゃんは、

「帰りにゲーセン寄って、ホッケー対決すんべ」

って、今度は悪戯な笑顔で笑った。
…あー、なるほどね。公ちゃん、ホッケー好きだもんね。
あたしはその言葉に「いいよ」って頷きかけたけど、すぐに首を横に振って言った。

「っ…いやいやいや!公ちゃんダメだよ、あたし追試が待ってるもん!さっきもそう言ったじゃん!
公ちゃんは追試ないの!?」
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