親友の彼氏と、一つ屋根の下。

みららぐ

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第5章「認めたくない」

公ちゃんとの時間。②

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あたしはそう言うと、眉間にシワを寄せて公ちゃんを見遣る。
けど公ちゃんはたまに裏切り者で、実はごく稀に奇跡を起こす男だ。

「あ、俺今回は無事に免れたから、平気」
「は…」
「っつか、真希が追試なのは珍しいな!」

公ちゃんはそう言うと、憎たらしいくらい可笑しそうに笑った。

「…だって、勉強に集中出来なかったんだもん。………水野くんのせいで」
「…ん?水野?」

すると、そんなあたしの言葉に公ちゃんがそう反応してしまう。
呟くような小さな声で言ったつもりが、どうやらはっきりと聞こえていたらしい。

「水野に勉強の邪魔でもされたか?」

公ちゃんはそう言ってキョトン、とした顔をするけれど、あたしは「な、何でもないよ!」と誤魔化した。
…何でだろう。
ちょっと、顔が熱い。
そしてあたしが、

「それより、ゲーセンは寄らないけど一緒には帰ろうよ!」

そう言ってさりげなく話を逸らしたら、公ちゃんは「おぉ、じゃあ教室まで迎えに来いや」ってへらっと笑った。
……あたしが迎えに行くんかい。
まぁいいけどね。

「ん、じゃあまた放課後ね」

だけど公ちゃんを迎えに行くことなんてもうすっかり慣れているあたしは、その言葉に頷いて教室に戻ろうとする。

でも…

「なぁ真希」
「!」

その一歩を踏み出した瞬間、公ちゃんが突如あたしに問いかけてきた。

「お前さ…水野のこと、ほんとはどう思ってんの?」

そう言って、いつになく真剣な顔をする。

「…どうって?」

そんな公ちゃんにあたしがそう言って首を傾げると、公ちゃんは心なしか少し聞きづらそうに言った。

「いや、ほら…何かあるだろ。苦手、とか…嫌いとか、好き、とか」
「!!」
「ほんとは、どうなんだよ」

そう言って、あたしの目を真っ直ぐにじっと見つめる。
でも一方のあたしは、そんな公ちゃんの言葉に思わず公ちゃんから目を逸らした。
あたしは、水野くんのことなんて……好きなわけない!

だから、

「や、やだなー!好きとか、そんなわけないじゃん!あたし水野くんはどっちかっていうと苦手だよ、」
「…そっ、か」
「そうだよ。もー、突然何言い出すのかと思ったじゃん」

あたしはいつもの感じでそう言うと、公ちゃんを見れずに下手くそに笑う。
……けど。

「……ね、公ちゃん」
「ん?」
「もし、もしもだよ。もしもあたしが……水野くんのこと、好きって言ったら…寂しい?」
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