おとぎ話の結末

咲房

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旅の終わり

〈 side.藤代 〉 From the Sky─空から闇に撃ち落とされて※

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 晶馬くんはまだ半分眠りの淵をたゆたっている。汗と涙で張り付いていた顔まわりの髪を拭ったら、目を閉じている晶馬くんはうう、と唸って眉間に皺を寄せた。開けたいのに眠くて目が開かない、といった様子だ。
 僕は巣の中にあった部屋着に着替え、彼の服も整えてベッドの中心で布団を被った。
 おでこと目元にキスを落とすと、意識は殆ど眠りの中なのに口を少し開いて唇へのキスを待っている。
 クス……可愛いおねだり。
 僕が唇から覗く内側の皮膚を舐めると、晶馬くんはびく、と肩を揺らした。さくらんぼのようにぷっくりと弾力のある唇に舌で二、三度触れて、唇どうしをぴたりと合わせて舌を差し込む。柔らかな口内をくすぐると

「ん……」

 と甘い声が上がった。舌先に触れて上顎を撫でると眉間が切なげに寄り、ビク、ビクと仰け反る。
 下半身も緩く兆してきて、僕の体に足を絡め、腰を押し付けて小さく揺らした。普段では見せてくれない可愛らしい痴態にクラクラする。
 やり過ぎた。
 軽いおやすみのキスで終わらせる筈が、あまりの可愛さに夢中になってしまった。

「ごめん、勃っちゃったね。そのまま寝てて。気持ちいいことだけしてあげる」

 僕は晶馬くんの耳に触れるか触れないかの位置で囁いた。
 晶馬くんの体は眠っていても敏感で、素直に反応を返してくれる。
 囁いただけでもびくりとなり、耳に舌を入れて舐ると、くすぐったそうに首を縮めて全身をびく、びくっと痙攣させる。服を脱がせて素肌の胸をべろりと舐めると、仰け反ってあぁ、と気持ちよさそうに大きく息を吐いた。
 晶馬くんが反応するたびに手の中の彼の分身も硬くなり、頭をもたげていく。
 このまま咥えて僕の口で出させてもいいけど、初めては晶馬くんの反応が見たいな……
 そう思い、咥えずに手で擦りあげることにした。
 肉付きの薄い部分をあちこち舐めると気持ち良さそうに体から力が抜けてぐったりとなり、吸い上げるたびに薄く開いた唇から甘い吐息が零れる。飲み込めなかった唾液が火照ほてった頬を伝って垂れ落ちていく。
 なんて淫靡な光景……僕の口にも唾液が溜まり、ゴクリと飲み込んだ。
 開発されていなかった胸もしっかり快感を拾うようになり、中心で果実が紅く熟している。僕の唇は誘われる蝶のようにフラフラと引き寄せられ、舌が甘い蜜を舐めとろうと蠢く。
 同時に反対側も指で捏ねると晶馬くんはああ、と感極まった表情で顎を反らせ、腰を震わせた。つま先に力が篭る。
 握っている手の親指で先を弄ると先走りが溢れて伝い落ち、ダラダラと僕の手を濡らしていく。絞るように上下に擦ると体に力が入り、ガクガクと震えて頂点が近いことを教えてくれた。

「イって。可愛い顔を見せて」

 僕が耳を甘噛みしながら囁いた瞬間、晶馬くんは大きく仰け反ってビュクリ、ビュクリと吐精した。
 ハア、ハア、ハア……
 いつの間にか晶馬くんの目は開かれ、快感でぼんやりした瞳がどこを見るともなく空中を彷徨っていた。

「入れて……ください……」

 晶馬くんは力の抜けた体をうつ伏せにして腰を高く上げ、膝を割った。
 後孔を差し出し、肩と頭をベッドに付けて振り返って懇願した。
 こんな痴態も初めてだ。

「まだしたいの?もちろん、喜んで」

 そこにはさっきまでの幼い仕草とはうって変わって、妖艶に僕の体を欲しがるつがいがいる。
 さんざん煽られて我慢していた体が鎖を解かれて歓喜している。
 僕は飛びかかりたくなる本能を抑えて、性急にならないよう晶馬くんの秘蕾にそっと触れた。
 晶馬くんの下の口は、早く早くと急かすように伸縮を繰り返している。指を一本慎重に入れると中はぬかるんでいて、抜くと糸を引いて粘液が垂れた。これはヒートと同じ状態だ。
 そんなに感じてくれたんだ……
 これならすぐに入れても問題がなさそうだ。

「いやあ、抜かないで。入れて、お願いします」
「分かった、待ってね」

 僕は晶馬くんの蜜壷にいきり立った屹立をピタリと当てた。

「早く……早く……」

 クチュッ、ズッ

「ああ……」

 先端を入れると内部の肉襞が奥へ取り込もうと大きくうねる。誘われて一気に奥まで貫いた。

 ズズズ……ズンッ
 バチュッ!

「あああ!」
「くっ」

 今までに感じたことのない快楽だった。内部は熱くドロドロとぬかるんでいて、待ち侘びた屹立に吸い付いて精子を搾り取ろうと弛緩と締め付けを繰り返す。

「動いて……出して……いっぱい出して……」

 僕は晶馬くんの腰を掴み、大きく引いてまた奥まで押し当てた。グチュ、バチュッと響く大きな水音が耳も刺激する。

「ああ!気持ちいい!動いて!いっぱい動いて!」

 前に手を回すと晶馬くんはダラダラと絶え間なく汁を零していた。ずっと頂点にいるようだ。

「ひい、気持ちいいよう、もっと!もっと!」
「くっ」

 うねる内部と強烈な締め付けでぐんぐん頂点に昇らされる。

「出して!いっぱい掛けて!お願いします、淫乱なあなたの雌豚にお恵みをください!」
「!」

 僕が驚いて腰を止めると、晶馬くんは恐慌をきたしたように悲鳴を上げた。

「いやあ!やめないで!お願いします、なんでもします。イかせて!お願い、中に出してぇ」
「君は……」
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
「大丈夫、やめないよ」

 僕は抽挿を再開した。

「ああ……気持ちいい……っく、気持ちいいよう……」

 晶馬くんは泣いていた。

「ひい。気持ちいい……ごめんなさい……」

 晶馬くんは快感に翻弄されて泣きながら、伸び上がって枕元に手を伸ばした。その指先は赤く濡れている。
 僕はその手を上から包み、もう一方の手も前に回して胸に置いていた左手も握った。濡れてぬるりとしている胸元は、皮膚に立てた爪で引っ掻いて血まみれだろう。
 後ろから抱きしめて覆い被さり、腰の動きを大きくして頂点へと追い上げる。

「あ!あ!あ!」
「っ、」

 内部がぎゅうぎゅうと収縮して締め付ける。

「あー!!!」

 僕が奥深くで逐情すると、晶馬くんも大きく仰け反り、ガクガクと体を震わせて吐精した。

「ごめんなさい……」

 泣いて謝りながらイき続ける晶馬くん。
 固く握りこんで開かなくなった指を一本ずつ解いていくと、コロリと何かが転がった。
 魔法の子馬だった。

「お願い……幸せになって……」
「もういいんだよ」

 僕は彼の体をきつく抱きしめた。

「深くお眠り」

 おやすみ、と呟くと晶馬くんから徐々に力が抜け、意識がなくなっていった。

 彼は泡沫うたかたのファントム。
 その消えゆく前の最期の一閃。

 彼が再び現れることは、もう二度と、ない。
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