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423番、吉田喜男③
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コンコンコン、というノックをし、返事を待たずに扉を開くと、困ったような、それでいて面白がっているような表情に出迎えられた。
「あらあら、せっちさんねぇ。まあいいわ。こちらにお座りなさいな」
無言で会釈をし、勧められるがままに腰を下ろす。
医者らしき人物がニコニコ笑顔で口を開こうとしたのを遮るかのように、喜男は言葉を紡いだ。
「カウンセリング、というお話でしたが、僕は別に病んだりしていません。いたって正常ですので、早く家に返してもらえませんか? 大事な彼が僕の帰りを待ってるんです」
「まあまあ、落ち着いて。そうね。カウンセリング、っていうのはただの口実。あなた自身に興味があったからお話してみたかったのよ」
「……どういう意味ですか?」
「ほら、あなた今も彼って言ったでしょ? 実はアタシも少し前までカレがいたのよ~。こういうデリケートな問題って人になかなか理解されないじゃない? 相談もおいそれとできないし。だから、恋人と上手くいっているあなたのお話を聞いてみたいなあ、と思って~。何か秘訣があったら教えてもらえないかしら~?」
「……ああ、そういう事でしたか。そうですね……惚気話になってもよければ」
「ええ、是非是非」
完全に、とはいかないだろうが、警戒が解けたのか、喜男のまとっていた雰囲気がほんの少し柔らかくなる。
恋人の話をする喜男は段々饒舌になり、嬉しそうに顔を紅潮させながら熱弁した。ᒍも始終笑顔で相槌を打ち、最終的には和やかな雰囲気で面談は終わりを告げることとなった。
「あらあら。もうこんな時間。楽しい時間はあっという間ね」
「そうですね。お話できて楽しかったです」
「それはよかったわ。もしよかったら、またお話しましょ? オニイサン、ちょっと私の好みなのよね。ああ、別にだからってあなたとカレのことを引き裂こうなんて思ってないから安心して?」
「へえ。僕のどんなところが好みなんですか?」
「そうねぇ。顔も好みなんだけど、優しそうな顔して実はドSでしょ? 私ドᎷなのよ~。お話聞いててなんだかゾクゾクしちゃってぇ」
「へえ。そうなんですね」
「ふふ。またいつでも遊びにいらっしゃいな」
「はい、ありがとうございました」
喜男は立ち上がって会釈をすると、静かに診察室を出て行った。
「まあ……初回はこんなもんかしらね」
ᒍは小さく呟くと、何やらPCに打ち込み始めた。
「あらあら、せっちさんねぇ。まあいいわ。こちらにお座りなさいな」
無言で会釈をし、勧められるがままに腰を下ろす。
医者らしき人物がニコニコ笑顔で口を開こうとしたのを遮るかのように、喜男は言葉を紡いだ。
「カウンセリング、というお話でしたが、僕は別に病んだりしていません。いたって正常ですので、早く家に返してもらえませんか? 大事な彼が僕の帰りを待ってるんです」
「まあまあ、落ち着いて。そうね。カウンセリング、っていうのはただの口実。あなた自身に興味があったからお話してみたかったのよ」
「……どういう意味ですか?」
「ほら、あなた今も彼って言ったでしょ? 実はアタシも少し前までカレがいたのよ~。こういうデリケートな問題って人になかなか理解されないじゃない? 相談もおいそれとできないし。だから、恋人と上手くいっているあなたのお話を聞いてみたいなあ、と思って~。何か秘訣があったら教えてもらえないかしら~?」
「……ああ、そういう事でしたか。そうですね……惚気話になってもよければ」
「ええ、是非是非」
完全に、とはいかないだろうが、警戒が解けたのか、喜男のまとっていた雰囲気がほんの少し柔らかくなる。
恋人の話をする喜男は段々饒舌になり、嬉しそうに顔を紅潮させながら熱弁した。ᒍも始終笑顔で相槌を打ち、最終的には和やかな雰囲気で面談は終わりを告げることとなった。
「あらあら。もうこんな時間。楽しい時間はあっという間ね」
「そうですね。お話できて楽しかったです」
「それはよかったわ。もしよかったら、またお話しましょ? オニイサン、ちょっと私の好みなのよね。ああ、別にだからってあなたとカレのことを引き裂こうなんて思ってないから安心して?」
「へえ。僕のどんなところが好みなんですか?」
「そうねぇ。顔も好みなんだけど、優しそうな顔して実はドSでしょ? 私ドᎷなのよ~。お話聞いててなんだかゾクゾクしちゃってぇ」
「へえ。そうなんですね」
「ふふ。またいつでも遊びにいらっしゃいな」
「はい、ありがとうございました」
喜男は立ち上がって会釈をすると、静かに診察室を出て行った。
「まあ……初回はこんなもんかしらね」
ᒍは小さく呟くと、何やらPCに打ち込み始めた。
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