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第14話 普通に倒すか
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ダンジョン内に足を踏み入れる。
「……な、なんだか少し、ひんやりとしてますね……」
外よりも気温が低いのか、あるいは不安のせいか、コルットがぶるりと身体を震わせた。
「あれ?」
ルイスが首を傾げる。
「どうしたっすか?」
「いや、なんか空気が違うなって……地面も……」
「そうっすね。確かになんか、嫌な感じがするっすね」
「ダンジョン内は外よりも魔力濃度が高いんだ。そのせいかもしれないね」
「うーん、そういうことじゃない気がするんだが……」
洞窟タイプのダンジョンらしく、ごつごつした岩肌に囲まれた空間がずっと奥まで続いていた。
しばらく進んでいくと、いきなり道が三つに分かれていた。
「分かれ道っすね」
「とりあえず左に進もう」
ルイスたちは左側のルートを選んだ。
「……ち、地図は任せてください」
支給された白紙に、コルットがペンで簡易的な地図を描いていく。
ダンジョン内では常に地図を作成しながら進むのが基本で、見習い期間中に行われた授業で、その一般的な記載方法を学んだのだ。
「っ、何かいるぞ」
前方に複数の影を発見し、先頭を進んでいたジークが足を止める。
「「「グギャギャギャッ!!」」」
その影もまたこちらに気づいたらしく、不気味な鳴き声とともに襲い掛かってきた。
醜悪な顔に、人間の子供ほどの大きさ。
二足歩行で、手には石や棒のようなものを持っている。
「ゴブリンだ」
「な~んだ、ゴブリンっすか」
リオが拍子抜けしたように言う。
というのも、ゴブリンは言わずと知れた最弱の魔物。
その危険度はEとされ、天職を持たない人間でも、それなりの訓練を積んでいれば倒すことができる魔物なのだ。
「でも油断は禁物だよ。数が多い」
「そうっすね。群れのゴブリンは危険っすから」
数は六匹。
人数だけならこちらを上回っている。
「僕が奴らを引きつけるから、リオとルイスは遠距離攻撃でサポートを頼む!」
「分かった」
「了解っす!」
押し寄せてくるゴブリンたちを、ジークは盾を構えて迎え撃とうとする。
だがそのときだった。
「「「グギャギャギャッ!!」」」
「う、後ろからも来てます……っ!」
「「えっ!?」」
コルットの悲鳴で、慌てて後ろを振り返るジークとリオ。
すると後方には計七匹ものゴブリンの姿があった。
挟み撃ちである。
「マジっすか!?」
「これがダンジョン……でも、焦る必要はないよ。ルイス、土で壁のようなものを作って、後ろのゴブリンの進行を邪魔してくれないかな?」
「なるほど! そういう手があるっすか! さすがジーク、賢いっすね!」
ジークの判断を、リオが思わず手を叩いて称賛する。
「……何も考えてないリオさんとは大違いですね……」
「ボソッと酷いこと言わないでほしいっす!」
そうこうしている間にも、ゴブリンたちは前後からパーティに迫っていた。
なお、自分は手を出さないと宣言していた試験官のエリザは一人、氷で作り出した結界内に身を隠している。
ルイスは土の壁を作り出そうと、意識を集中させた。
だがいつまで経っても、壁が出現する気配がない。
「ルイス? どうしたんだい?」
「うーん……それが、上手く土を動かせないんだ」
「え?」
いつものように地面を操作しようとしても、わずかに盛り上がるだけ。
少し硬めの土ではあるが、別に岩ほど硬いわけではなく、このくらいなら普通に操作できるはずだった。
原因不明の事態に、ルイスは難しい顔で唸るしかない。
「と、特技が使えないなんて……やっぱり、何の役にも立たないじゃないですか……っ!」
まるで力を封じられてしまったかのように、特技が使えなくなってしまったルイスをコルットが盛大に罵倒した、そのときである。
「まぁ、普通に倒すか」
襲いくる後方の群れに突っ込んでいったルイスは、先頭のゴブリンを蹴り飛ばした。
ドオオオオオオオオオオオンッ!!
凄まじい速度で吹き飛んでいくゴブリン。
「「「グゲ?」」」
「「「は?」」」
予想外の展開に、ゴブリンも仲間たちもそろって変な声を出してしまう。
「隙だらけだぞ」
仲間が異様なやられ方をして戸惑うゴブリンたちへ、ルイスは容赦なく襲い掛かった。
次の一体を殴ると壁に叩きつけられてぐしゃりと潰れ、また別の一体は手刀で首を刎ね、さらに別の一体を蹴り上げると天井で跳ね返って地面に激突した。
「「「グギャギャッ!?」」」
「逃がさないぞ」
慌てて逃走を試みたゴブリンたちに一瞬で追いつくと、後ろ首を掴んで信じられない握力で軽く潰していく。
あっという間にゴブリンを全滅させていた。
「「「いや、特技なしでも普通に戦えるんか~~~~いっ!!」」」
「……な、なんだか少し、ひんやりとしてますね……」
外よりも気温が低いのか、あるいは不安のせいか、コルットがぶるりと身体を震わせた。
「あれ?」
ルイスが首を傾げる。
「どうしたっすか?」
「いや、なんか空気が違うなって……地面も……」
「そうっすね。確かになんか、嫌な感じがするっすね」
「ダンジョン内は外よりも魔力濃度が高いんだ。そのせいかもしれないね」
「うーん、そういうことじゃない気がするんだが……」
洞窟タイプのダンジョンらしく、ごつごつした岩肌に囲まれた空間がずっと奥まで続いていた。
しばらく進んでいくと、いきなり道が三つに分かれていた。
「分かれ道っすね」
「とりあえず左に進もう」
ルイスたちは左側のルートを選んだ。
「……ち、地図は任せてください」
支給された白紙に、コルットがペンで簡易的な地図を描いていく。
ダンジョン内では常に地図を作成しながら進むのが基本で、見習い期間中に行われた授業で、その一般的な記載方法を学んだのだ。
「っ、何かいるぞ」
前方に複数の影を発見し、先頭を進んでいたジークが足を止める。
「「「グギャギャギャッ!!」」」
その影もまたこちらに気づいたらしく、不気味な鳴き声とともに襲い掛かってきた。
醜悪な顔に、人間の子供ほどの大きさ。
二足歩行で、手には石や棒のようなものを持っている。
「ゴブリンだ」
「な~んだ、ゴブリンっすか」
リオが拍子抜けしたように言う。
というのも、ゴブリンは言わずと知れた最弱の魔物。
その危険度はEとされ、天職を持たない人間でも、それなりの訓練を積んでいれば倒すことができる魔物なのだ。
「でも油断は禁物だよ。数が多い」
「そうっすね。群れのゴブリンは危険っすから」
数は六匹。
人数だけならこちらを上回っている。
「僕が奴らを引きつけるから、リオとルイスは遠距離攻撃でサポートを頼む!」
「分かった」
「了解っす!」
押し寄せてくるゴブリンたちを、ジークは盾を構えて迎え撃とうとする。
だがそのときだった。
「「「グギャギャギャッ!!」」」
「う、後ろからも来てます……っ!」
「「えっ!?」」
コルットの悲鳴で、慌てて後ろを振り返るジークとリオ。
すると後方には計七匹ものゴブリンの姿があった。
挟み撃ちである。
「マジっすか!?」
「これがダンジョン……でも、焦る必要はないよ。ルイス、土で壁のようなものを作って、後ろのゴブリンの進行を邪魔してくれないかな?」
「なるほど! そういう手があるっすか! さすがジーク、賢いっすね!」
ジークの判断を、リオが思わず手を叩いて称賛する。
「……何も考えてないリオさんとは大違いですね……」
「ボソッと酷いこと言わないでほしいっす!」
そうこうしている間にも、ゴブリンたちは前後からパーティに迫っていた。
なお、自分は手を出さないと宣言していた試験官のエリザは一人、氷で作り出した結界内に身を隠している。
ルイスは土の壁を作り出そうと、意識を集中させた。
だがいつまで経っても、壁が出現する気配がない。
「ルイス? どうしたんだい?」
「うーん……それが、上手く土を動かせないんだ」
「え?」
いつものように地面を操作しようとしても、わずかに盛り上がるだけ。
少し硬めの土ではあるが、別に岩ほど硬いわけではなく、このくらいなら普通に操作できるはずだった。
原因不明の事態に、ルイスは難しい顔で唸るしかない。
「と、特技が使えないなんて……やっぱり、何の役にも立たないじゃないですか……っ!」
まるで力を封じられてしまったかのように、特技が使えなくなってしまったルイスをコルットが盛大に罵倒した、そのときである。
「まぁ、普通に倒すか」
襲いくる後方の群れに突っ込んでいったルイスは、先頭のゴブリンを蹴り飛ばした。
ドオオオオオオオオオオオンッ!!
凄まじい速度で吹き飛んでいくゴブリン。
「「「グゲ?」」」
「「「は?」」」
予想外の展開に、ゴブリンも仲間たちもそろって変な声を出してしまう。
「隙だらけだぞ」
仲間が異様なやられ方をして戸惑うゴブリンたちへ、ルイスは容赦なく襲い掛かった。
次の一体を殴ると壁に叩きつけられてぐしゃりと潰れ、また別の一体は手刀で首を刎ね、さらに別の一体を蹴り上げると天井で跳ね返って地面に激突した。
「「「グギャギャッ!?」」」
「逃がさないぞ」
慌てて逃走を試みたゴブリンたちに一瞬で追いつくと、後ろ首を掴んで信じられない握力で軽く潰していく。
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「「「いや、特技なしでも普通に戦えるんか~~~~いっ!!」」」
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