農民レベル99 天候と大地を操り世界最強

九頭七尾

文字の大きさ
22 / 60

第22話 野菜が万能すぎないっすか

しおりを挟む
「ブモッ!?」

 人間相手に力負けし、困惑するボス、ブラッディミノタウロス。

 しかしボスにはもう片方の斧があった。
 すかさず逆の手で持つ斧を、勢いよくルイスへと振り下ろす。

「っと!」

 ガキイイイイイイインッ!!

 だがルイスは目にも留まらぬ速さで鍬を構え直し、すぐにそれに対応した。
 またしてもボスの斧が跳ね上げられてしまう。

「な、なんて腕力ですのっ……」
「あっ、でも、ルイスの鍬が……」

 二度もボスの斧を弾き返したことで、ルイスの持つ鍬の刃が折れてしまったのだ。

「また折れてしまったか。やっぱり金属部分は脆いな」

 暢気に呟きながら、ルイスはその鍬を捨て、亜空間の中から別の鍬を取り出す。

「よかった、替えの鍬があったっす!」
「ていうか、何であの柄の部分は大丈夫なんですかね……真っ先に折れそうですけど……」

 コルットの疑問に、ルイスが答えた。

「柄の部分は畑で作ったゴボウを使ってるからな」
「「「ゴボウ!?」」」

 あまり都会では食されないが、貧しい農村地帯などではよく食べられている野菜である。

「特別に硬く作ったゴボウで、そこらの木材なんかより、ずっと硬いんだよ」
「なんか、野菜が万能すぎないっすか……」
「う、うん……他にどんなのがあるんだろう……」

 と、そのときである。




「ブモオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」




 激怒したボスモンスターが突如として響かせたのは、ダンジョン全体が揺れるほどの、圧倒的な大咆哮。

「「「~~~~~~~~~~~~ッ!?」」」

 離れた場所で土の要塞に護られているエリザたちですら、思わずその場で尻餅をつき、呼吸が止まりそうになるほどの威圧感だった。

「か、身体がっ……恐怖で……動かなっ……いっす……」
「まずいですわっ……こんなのをっ……至近距離で受けたらっ……」

 それを真正面から浴びたルイスは。

「ん? ちょっと身体が動かしにくいな?」
「「「その程度!?」」」

 それでも身体が少し言うことを聞かなくなってしまったようである。

「ブモモォォッ!!」

 強烈な咆哮によりルイスの動きを鈍らせたその隙をついて、ボスが渾身の斧撃を繰り出す。

 ドオオオオンッ!!

「「「ルイスうううううううううっ!?」」」

 ブラッディミノタウロスの斧をまともに喰らい、ルイスは猛スピードで吹き飛ばされてしまう。
 数十メートルほど宙を舞い、ボス部屋の壁に叩きつけられた。

「ひぇぇぇぇっ!? ルイスさんが、殺されてしまいました……っ!? これはもう、あたしたちも終わりです……っ! ルイスさんがいなくちゃ、あたしたちなんて嬲り殺されるだけですよぉぉぉっ!」

 コルットが頭を抱え、絶望の表情で叫ぶ。

「いててて……さすがに今のは危なかったな」
「って、生きますうううううううううっ!?」

 より大きな声で絶叫するコルット。

「ルイスが……お、起き上がった!?」
「あれを受けて生きてるっす!? しかも、そんなに怪我してない感じっす!?」
「ああ。ギリギリのところでこいつを取り出し、斧と身体の間に挟んだんだ」

 ルイスが驚くジークたちに見せたのは、落とし穴の底に激突する際にも活躍した、あの巨大なシイタケだった。

「そのシイタケ、盾みたいにも使えるんですの……」
「持ち手もあるし、むしろ普通の盾よりも強力かもしれないっす……ジーク、どうっすか?」
「さすがにあれを盾として使うのは恥ずかしいかな……」
「ぶふっ……あ、すいません……想像したら、つい……」

【パラディン】がシイタケを手にして戦っている姿を思い浮かべたようで、コルットが思わず吹き出している。

「ブモオオオ……」

 会心の一撃を防がれてしまったことで、ボスも大いに困惑していた。

「今度はこっちから行くぞ」

 地面を蹴り、一気にボスとの距離を詰めるルイス。
 ボスは再び大きく息を吸った。

「またさっきの咆哮をするつもりですわ!」
「同じ手を二度も喰らうかよ」

 ミノタウロスが口を開いた瞬間、ルイスは巨大な塊を投擲した。

「ブモオオオオオオオオオ――オゴッ!?」

 それがボスの開けた口に見事に収まり、咆哮が中断される。
 ブラッディミノタウロスの口を塞いだのは、真っ赤な巨大トウガラシだった。

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!?」
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~

名無し
ファンタジー
 突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

処理中です...