53 / 60
第53話 できる限り深くて大きな穴を掘って
しおりを挟む
「この池だな」
領都から南に二十キロほど。
普通の冒険者なら少なくとも二、三時間くらいはかかる距離だったが、ルイスは僅か十分程度で辿り着いていた。
ほとんど作業着だけの身軽な格好なので、いつも移動のときは走っていた。
風を操ってその流れに乗ってしまえば、二十キロなどあっという間である。
体力に自信のあるルイスは、息もまったく切らしていない。
休息を取ることもなく、早速目的を果たそうと池を観察するルイスは、そこであることに気が付いた。
「……思っていたより広い上に、水中にいるからどこにいるか分からないぞ? しかも水棲の魔物相手に、水中で戦うのは明らかに不利だ」
と、そのとき水面の奥から影が浮かび上がってきたかと思うと、半魚人の魔物が水中から顔を出してきた。
サハギンだ。
「「「ギョギョギョッ!!」」」
そんな鳴き声をあげながら、池から上がってくるサハギンたち。
ぺちぺちというちょっと可愛らしい足音を鳴らし、襲い掛かってきた。
「おら」
「「「ッ!?」」」
大根を収納から取り出したルイスは、それでサハギンたちを殴り飛ばす。
サハギン自体は弱い魔物ではないと聞いていたが、数メートルほど吹き飛んで地面や水面に叩きつけられると、一撃で動かなくなった。
「「「ギョギョッ!?」」」
思いのほかルイスが強かったからか、慌てて池に逃げ込むサハギンたち。
そして水中から顔と出だけを出した状態で、
ビュワッ!!
「っと」
撃ち出してきたのは水のレーザーだ。
ルイスはそれを咄嗟に回避。
「「「ギョギョギョッ!!」」」
ビュビュビュビュビュワッ!!
サハギンたちが連続で水を飛ばしてくる。
ルイスはそれをカボチャの盾で弾きながら、
「槍ニンジンでも喰らえ」
槍ニンジンを投擲し、それが一体のサハギンの顔面に突き刺さった。
「「「ギョギョッ!?」」」
そんな遠距離攻撃もあるのかと驚いたサハギンたちは、怯えたように鳴くと、池の中に潜りって見えなくなってしまった。
「……逃げたぞ。ううむ、どうやって倒したものか……そうだ!」
ある方法を思いついたルイスは、早速それを実行してみることに。
まずは池から500メートルほど離れた場所に移動する。
「ここにできる限り深くて大きな穴を掘って、と」
取り出したミスリル製の鍬で、どんどん穴を掘っていくルイス。
「……この鍬、まさか最初に穴掘りに利用することになるとは。だが、めちゃくちゃ掘りやすいぞ」
得意の土操作も利用しつつ、やがて完成したのは、なんと先ほどの池と遜色のない大きさの巨大な穴だった。
「後は、さっきの池とこの穴を繋いで、と」
間の土を掘って、水路を作っていく。
先ほどの池と繋がった瞬間、一気に水が流れ始めた。
ぐんぐん下がっていく池の水位。
すると水中に潜んでいたサハギンたちがわらわらと姿を現す。
「「「ギョギョギョッ!?」」」
いきなり池の水が少なくなるという事態に、慌てふためくサハギンたち。
全部で百体近くはいるだろう彼らが、少ない水のところに殺到してしまったせいか、サハギンたちがイモ洗いのようになっている。
そんな中に、さらにひと際体格のいいサハギンの姿があった。
「ギョオオオオッ!!」
身の丈は三メートルを超え、でっぷりと太った巨漢のサハギンだ。
恐らくこいつがサハギンロードだろう。
周りのサハギンたちを強引に押し退け、サハギンロードが襲い掛かってきた。
手にした三又の槍を突き出してくる。
ザクィンッ!
それをルイスはミスリルの鍬で掘り弾く。
「ギョッ!?」
槍の先端部分がボロボロと崩れていき、巨大サハギンが驚きの声をあげた。
その隙にルイスはサハギンたちの身体を踏みつけて足場にすると、鍬を振りかぶりながらサハギンロードに接近する。
「おらっ!」
ザグシャッ!!
サハギンロードの肩から脇腹にかけて、鍬が斜めに掘り抉った。
「ギョギョオオオオオオオオッ!?」
領都から南に二十キロほど。
普通の冒険者なら少なくとも二、三時間くらいはかかる距離だったが、ルイスは僅か十分程度で辿り着いていた。
ほとんど作業着だけの身軽な格好なので、いつも移動のときは走っていた。
風を操ってその流れに乗ってしまえば、二十キロなどあっという間である。
体力に自信のあるルイスは、息もまったく切らしていない。
休息を取ることもなく、早速目的を果たそうと池を観察するルイスは、そこであることに気が付いた。
「……思っていたより広い上に、水中にいるからどこにいるか分からないぞ? しかも水棲の魔物相手に、水中で戦うのは明らかに不利だ」
と、そのとき水面の奥から影が浮かび上がってきたかと思うと、半魚人の魔物が水中から顔を出してきた。
サハギンだ。
「「「ギョギョギョッ!!」」」
そんな鳴き声をあげながら、池から上がってくるサハギンたち。
ぺちぺちというちょっと可愛らしい足音を鳴らし、襲い掛かってきた。
「おら」
「「「ッ!?」」」
大根を収納から取り出したルイスは、それでサハギンたちを殴り飛ばす。
サハギン自体は弱い魔物ではないと聞いていたが、数メートルほど吹き飛んで地面や水面に叩きつけられると、一撃で動かなくなった。
「「「ギョギョッ!?」」」
思いのほかルイスが強かったからか、慌てて池に逃げ込むサハギンたち。
そして水中から顔と出だけを出した状態で、
ビュワッ!!
「っと」
撃ち出してきたのは水のレーザーだ。
ルイスはそれを咄嗟に回避。
「「「ギョギョギョッ!!」」」
ビュビュビュビュビュワッ!!
サハギンたちが連続で水を飛ばしてくる。
ルイスはそれをカボチャの盾で弾きながら、
「槍ニンジンでも喰らえ」
槍ニンジンを投擲し、それが一体のサハギンの顔面に突き刺さった。
「「「ギョギョッ!?」」」
そんな遠距離攻撃もあるのかと驚いたサハギンたちは、怯えたように鳴くと、池の中に潜りって見えなくなってしまった。
「……逃げたぞ。ううむ、どうやって倒したものか……そうだ!」
ある方法を思いついたルイスは、早速それを実行してみることに。
まずは池から500メートルほど離れた場所に移動する。
「ここにできる限り深くて大きな穴を掘って、と」
取り出したミスリル製の鍬で、どんどん穴を掘っていくルイス。
「……この鍬、まさか最初に穴掘りに利用することになるとは。だが、めちゃくちゃ掘りやすいぞ」
得意の土操作も利用しつつ、やがて完成したのは、なんと先ほどの池と遜色のない大きさの巨大な穴だった。
「後は、さっきの池とこの穴を繋いで、と」
間の土を掘って、水路を作っていく。
先ほどの池と繋がった瞬間、一気に水が流れ始めた。
ぐんぐん下がっていく池の水位。
すると水中に潜んでいたサハギンたちがわらわらと姿を現す。
「「「ギョギョギョッ!?」」」
いきなり池の水が少なくなるという事態に、慌てふためくサハギンたち。
全部で百体近くはいるだろう彼らが、少ない水のところに殺到してしまったせいか、サハギンたちがイモ洗いのようになっている。
そんな中に、さらにひと際体格のいいサハギンの姿があった。
「ギョオオオオッ!!」
身の丈は三メートルを超え、でっぷりと太った巨漢のサハギンだ。
恐らくこいつがサハギンロードだろう。
周りのサハギンたちを強引に押し退け、サハギンロードが襲い掛かってきた。
手にした三又の槍を突き出してくる。
ザクィンッ!
それをルイスはミスリルの鍬で掘り弾く。
「ギョッ!?」
槍の先端部分がボロボロと崩れていき、巨大サハギンが驚きの声をあげた。
その隙にルイスはサハギンたちの身体を踏みつけて足場にすると、鍬を振りかぶりながらサハギンロードに接近する。
「おらっ!」
ザグシャッ!!
サハギンロードの肩から脇腹にかけて、鍬が斜めに掘り抉った。
「ギョギョオオオオオオオオッ!?」
1
あなたにおすすめの小説
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~
名無し
ファンタジー
突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる