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第8部 晴れた空の下手を繋いで…

第3幕 第14話 《名も無き島》へ

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「俺の勝ちだな」
「あー負けた、もう一度!」
「ああ、どうぞ」
カジノで制服を優雅に着こなし微笑む本日ディーラー側の龍皇国皇帝ニジェルガ、次は勝たせようかと思考しつつカードを配る、トラングが飲みまくった酒の補填として、ニジェルガとゴーシュがディーラーとしてライガルとティスとティータが船内の手伝いとして働く事になった。
当の本人は神経衰弱でモギと他の客達を相手に笑って楽しんでいる、神々も2名で訪れメダルゲームを楽しんでいる。
「お、おいこの追加された景品て」
「ああ、このカウン酒って」
「ん、味見」
「良いのか?」
「?どうぞ」
ガラスケースの最上段に飾られた、カウン酒はコイン400枚、カリノ酒は200枚とある、客達がざわめき隣にいたグローリーが小さなグラスにカリノ酒とカウン酒の試飲を配る。
「うま!」
「はーこれヤバい」
「ん、何だなんだ?」
「そんなうまいのか」
ざわざわと周囲の客達が騒がしくグローリーの周りに集まり酒を配り、酒の美味さに客達が悦に入る。
「っしゃ!ジャックポット!!収納ショルダーバッグゲットオ!!」
メダルゲームのジャックポットを引き当て大いに盛り上がりを見せる、若い赤銅色の髪の青年が雄叫びを上げ出てきたメダルを集める。
周囲からも拍手が贈られガッツポーズでアピールをする、早速受付でメダル300枚と交換で赤色の時間停止収納ショルダーバッグを受け取った。
「行くぞ!野郎ども!明日からダンジョン遠征だ!」
『オオー!』
赤銅色の青年の連れ達も大いに雄叫びを上げ指揮を高める、その有り様を見てニジェルガ、ゴーシュ、トラングは薄く笑った…。

「ゲーム面白かった!風早ちゃん!ありがと」
『喜んで頂けて光栄です』
「風早、またお願いします」
『承知しましたマスター綴』
ゲームが終わり各々の部屋に戻り風呂も済ませ、後は寝るだけとなり舵が風早に天井に向けて礼を伝えると優しい響きの声が返ってくる。
「ふあ、おやすみ」
「千歳さん達はまだ戻らないんだ?」
『まだ少し掛かるようです』
「大分客も増えたみたいだし…」
晴海と詠斗、率がまだ戻らない大河達を気にしつつベッドに潜り込む、布団はヒュール達が占領しているので皆ベッドで寝る事にした。
「千眼さん千華さん!ゲームしよ」
「ああ…」
「乗り物に乗ってダイスを振りお金を稼いで失ったり奪われたりするゲームをしましょう」
「オッケ」
いそいそ舵がゲームを始める、夜は長いお菓子と飲み物を用意して過ごした…。

「おはよう」
「おはよう」
「おはよ…」
「おはようございます、昨夜は盛り上がりましたか?今日は船の整備点検という事にしたので、《名も無き島》へ行くメンバーと船僕ら馴染みのメンバーだけですから、出発までゆっくりして下さい?」
『…………』
大食堂でにこやかに、午前が終わるであろう時間まで寝ていた大河、千歳、チグリスに綴が嫌味を少しだけ込めた声色を出す、まさか予定があるというのに大分夜も更けて戻ってくるとは…しかも酒まで飲んで…、ラージュも綴の隣で呆れながらラジカとミルクティーを飲んでいた。
「おはよ、昨日のお好み焼きで良い?」
「うん…」
「ああ」
「ありがとう」
他にも酒を浴びるように飲んでいた、ニジェルガやグローリーとゴーシュ、ティータは他人の振りをして食後のお茶を飲んでいる。
「うー飲んだ飲んだ~おはよ」
「最後はトラングか」
「ご飯ごはん~」
トラングも大河達と同じ席に着きお好み焼きを食べる、朝から食べるお好み焼きも美味しい、キノコソテーと魚介のスープを食べて食後のお茶を楽しんだ。

「では、《名も無き島》へ行く面子と船の警護の面々の確認を行った後移動しましょう」
「まち、グリっちも行きたいって」
「行く…」
「俺も行く行く~」
ラジカが大食堂で行くメンバーを発表した所で懐記から挙手が上がり、グローリーとトラングが手を挙げる。
「まあ、良いでしょう。暴れたり壊したり見知らぬ人に付いて行ったり迷子にならないように」
『はい』 
「お、グリが行くなら船に俺が残るか。転移魔法が島で使えない場合は船が要だからな。グリ、みんなを守るんだぞ」
「わかった」
万が一に備えジラが残る、何が起こるか分からない島だ戦力は分散させておく。
「では、島に行く面子を」
《ズィーガー商会》はズィーガーとユナイド、ドラゴンの商人3名、ニジェルガ、ラージュ、ライガル、ティス、チグリス。
「ここから島にはドラゴンの皆さんの背に乗り移動します、後は私、千歳さん、大河さん崇幸さんと千眼さんで行きます。詠斗さん、率さん、綴さん、晴海さん、舵さんと千華さんジラさんナイルさん、ラウラスさんは船の守りをお願いします。集団行動で動き単独行動をしないように、出された飲み物や食べ物は食さない様にお願いします。万が一はぐれた場合は転移札で即時帰還、転移札が使えない移動出来ない場合はスマホで連絡を、スマホも使えない場合は」
「神々に頼む」
「でも離れないように1人にならないように」
ラジカの言葉に大河と千歳が添えた足す、各々が頷き外へと向かった。

「来ますね…丁重に持て成すように」
「承知しました」
「ふ…廃棄奴隷も補充しましたしお客様に満足して頂けるといいですね?」
《名も無き島》…無秩序という名の秩序が存在する支配者無き島、不吉な色を帯びた黄昏の瞳に青白い肌に長身痩躯な男は嗤った。
「……………」
相手は応えない、今まで通りそしてこれからも与えられた役目を果たすだけだ…。
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