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第9章 派生流派と天乱四柱
鑑定結果
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「おっと…感傷に浸ってる場合じゃないな。まだ本体はお目に掛かってすらいない」
改めて持てる全ての技術を使って感知するが邪神魔蛇の気配は分からない。だが全ての蛇が地中から姿を現しているのである程度居場所を絞る事は出来る。
「クロ、一度空中に移動するぞ」
「キュイ!」
咲良は魔力で足場を作り、クロは羽ばたいて空へと昇っていく。
「キュイ?」
クロがこれからどうするの?と聞いてくる。
「奴がずっと隠れてるつもりなら…無理やり引きずり出してやる」
咲良は鉄槌を拡張袋に仕舞い、目を瞑り集中すると拳を地面に向ける。
「クロ、しっかり見とけ…氣の使い方を………衝波!」
拳から半透明の何かが放たれ地面に衝突する。
クロは爆発でも起こるのかと身構えるが何も起こらない。不思議に思い咲良を見ようとした時…
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大気そのものが揺れているかの様な振動が身体に伝わってくる。
「これが俺の放った衝波の効果だ」
訳が分からないクロに咲良が解説する。
「氣というのは基本的に体内で操作するのが様々な面で最も威力を発揮する。そして衝波と言うのは他者の体内に氣を送り、内側から破壊する技だ。今回は地面全てを体内と見立てて衝波を流した」
咲良は簡単そうに言っているが実際は途方もない技術が要求される。氣は扱える者が少ないだけで誰もが持っており、衝波は他者の氣に自身の氣を無理やり流し込む。それが振動となって体の内側を破壊するのだが、地面には人間ほど氣が多くない。無機物にも多少の氣は宿っているものの、地面で衝波を起こすとなると途方もない氣が必要となる。
「クロには俺の氣が流れているからいずれ使えるようになるだろう」
「キュイ?」
クロはまだ氣を操作する事は出来ない。氣の保有量や操作は精神力に左右されるので幼いクロには少し難しいのだろう。
「説明はここまでだ……にしても、出てこないな」
かなりの氣を消費したが、やはり地面では衝波の威力が衰えるのかもしれない。
「仕方ない、もっとやるか……衝波!」
咲良が衝波を何度も地中に向けて放つとその度にゴゴゴゴと地鳴りが聞こえ、大気が震える。
そして遂にその時はやって来た。
視界の端の地面から音もなく1頭の蛇が姿を現したのだ。その大きさは大蛇と呼ぶにはあまりにも小さく、それまで倒した大蛇の半分もない大きさだ。
相変わらず気配は感じない。しかし奴が邪神魔蛇であると瞬時に理解できた。
「出たな魔蛇…行くぞクロ、最終決戦だ」
「キュイィ!」
咲良とクロは地面に降り立つと直ぐに行動を開始する。
まず咲良は再び地中に戻られない様に村正を地面に突き刺さす。
「広がれ…影落」
村正が刺さった部分から闇が波状に広がり、地面を黒く染めていく。
影落は邪神魔狼と戦った時にも使用した技で、辺りに闇を広げて村正のテリトリーとするものだ。その効果は闇が濃い程強くなるが、この戦場は拓けているので本来の力を発揮する事は出来ない。それでも広がった闇で邪神魔蛇が地に潜るのを阻害出来る程度の効果はある。
「捕らえたぞ」
咲良は瞬時に邪神魔蛇へと駆けていく。
地中に潜られる事は無くなったとはいえ気配を感知出来るわけでは無く、どんな能力を有しているのかも不明だ。こういう場合は様子を見ると痛い目にあうのが相場と決まっている。
「氷剋 飛翔!」
弐ノ型 飛翔に氷剋を混合させると黒い氷の斬撃に生まれ変わって放たれるが、邪神魔蛇は器用に体を捻って難なく斬撃を避ける。
「ちっ…氷剋と合わせると速度が落ちるな」
切ると同時に凍らす効果のある氷の斬撃は威力は申し分ないが氷の重量で速度が遅くなってしまう。邪神魔蛇は素早く軟体なので不向きの様だ。
「なら…動きを止めてやる」
咲良は邪神魔蛇の動きを止める為に村正の能力の1つ、影突を発動しようとした時…突然背中に衝撃が走った。
「ぐはっ………」
咲良は突然の衝撃を回避できず、邪神魔蛇の頭部付近まで吹き飛ばされた。更に邪神魔蛇は口を大きく広げて咲良を丸呑みしようと迫って来る。
「ぐ…ふざけやがって!」
咲良はなんとか立ち上がって下顎を脚で押さえつけ、上顎は村正で支える。
「ぐうぅぅぅ…」
邪神魔蛇の牙から紫色の毒液が村正を伝って流れ、魔装をしているにも拘らず咲良の腕がジュウジュウと音を立てて変色していく。
焼けるような痛みに耐えながらも丸呑みにされまいと抵抗する咲良と、丸呑みにしようとする邪神魔蛇との攻防が暫く続く。
だが均衡は突然破られる。破ったのは咲良でも邪神魔蛇でもなく、クロだった。
ドカンッドカンッドカン
クロが邪神魔蛇の頭部に炎弾を連続で放ったのだ。その衝撃で噛む力が一瞬怯んだ瞬間を咲良は見逃さなかった。
「調子に乗るな…衝波!」
咲良は牙から衝波を邪神魔蛇の体内に流し込む。
ドンッドンッドンッドンッ
地中に流し込んだ衝波と違い、直接体内に流し込まれた衝波は本来の威力を発揮した為邪神魔蛇はのたうち回る。
その隙に咲良は距離を取って氣で腕を治療する。
「ふぅ…助かったぞクロ……にしてもあんな攻撃も出来るとはな」
先程咲良を吹き飛ばしたのは地面から生えた邪神魔蛇の尻尾だった。どうやら奴は身体を自在に伸ばせるようで、気配が無い事を利用して地中から咲良の背後まで尻尾を伸ばして攻撃した様だ。
「勘もあまり働かない上に気配を感じないとは本当に厄介だ」
咲良は今まで生存本能の勘に頼り過ぎていた事を少し反省しながらも気持ちを切り替える。
「早い内に奴の能力を把握しておくか」
懐からステータスプレートを取り出したので、咲良は鑑定を使って邪神魔蛇の能力を把握する作戦のようだ。
ステータスプレートは持つ者のステータスや職業、知識によって性能が大きく変わる。今までの経験上でいえばイマジナリーのメンバーの持つプレートでは翳しても詳しくは分からないだろうが、咲良のプレートならかなり詳しい情報を掴めるはずだ。
「もう一度だ。影突!」
咲良は再度影縫を発動すると、自身の影から何本もの針状の闇が邪神魔蛇の体を貫いた。
「そのまま縛れ…影縫」
影突はスルスルと自由自在に動いて邪神魔蛇を地面に縫い付けた。
その隙にステータスプレートを翳して詳細を見る。
邪神魔蛇(災害級)
太古の昔、邪神によって生み出された生物兵器。生み出した邪神から存在を否定された事で一切の気配を感じなくなったとされている。
その身体は伸縮自在で、再生する鱗を蛇に変化させる事で無限に増殖する。体内には触れるだけで死に至る程強力な毒を持っている。超順応変異、狂乱の技能を持つ。
超順応変異
環境、状況に応じて即座に身体を適した状態へと変化させる。
狂乱
五感等の感覚を狂わせる電波を放つ。
「なんだ?」
咲良はステータスプレートを覗き込んで微かに首を捻る。
プレートには今までより情報が鮮明に記され、それだけではなく魔物の持つ技能まで記されていた。
改めて持てる全ての技術を使って感知するが邪神魔蛇の気配は分からない。だが全ての蛇が地中から姿を現しているのである程度居場所を絞る事は出来る。
「クロ、一度空中に移動するぞ」
「キュイ!」
咲良は魔力で足場を作り、クロは羽ばたいて空へと昇っていく。
「キュイ?」
クロがこれからどうするの?と聞いてくる。
「奴がずっと隠れてるつもりなら…無理やり引きずり出してやる」
咲良は鉄槌を拡張袋に仕舞い、目を瞑り集中すると拳を地面に向ける。
「クロ、しっかり見とけ…氣の使い方を………衝波!」
拳から半透明の何かが放たれ地面に衝突する。
クロは爆発でも起こるのかと身構えるが何も起こらない。不思議に思い咲良を見ようとした時…
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大気そのものが揺れているかの様な振動が身体に伝わってくる。
「これが俺の放った衝波の効果だ」
訳が分からないクロに咲良が解説する。
「氣というのは基本的に体内で操作するのが様々な面で最も威力を発揮する。そして衝波と言うのは他者の体内に氣を送り、内側から破壊する技だ。今回は地面全てを体内と見立てて衝波を流した」
咲良は簡単そうに言っているが実際は途方もない技術が要求される。氣は扱える者が少ないだけで誰もが持っており、衝波は他者の氣に自身の氣を無理やり流し込む。それが振動となって体の内側を破壊するのだが、地面には人間ほど氣が多くない。無機物にも多少の氣は宿っているものの、地面で衝波を起こすとなると途方もない氣が必要となる。
「クロには俺の氣が流れているからいずれ使えるようになるだろう」
「キュイ?」
クロはまだ氣を操作する事は出来ない。氣の保有量や操作は精神力に左右されるので幼いクロには少し難しいのだろう。
「説明はここまでだ……にしても、出てこないな」
かなりの氣を消費したが、やはり地面では衝波の威力が衰えるのかもしれない。
「仕方ない、もっとやるか……衝波!」
咲良が衝波を何度も地中に向けて放つとその度にゴゴゴゴと地鳴りが聞こえ、大気が震える。
そして遂にその時はやって来た。
視界の端の地面から音もなく1頭の蛇が姿を現したのだ。その大きさは大蛇と呼ぶにはあまりにも小さく、それまで倒した大蛇の半分もない大きさだ。
相変わらず気配は感じない。しかし奴が邪神魔蛇であると瞬時に理解できた。
「出たな魔蛇…行くぞクロ、最終決戦だ」
「キュイィ!」
咲良とクロは地面に降り立つと直ぐに行動を開始する。
まず咲良は再び地中に戻られない様に村正を地面に突き刺さす。
「広がれ…影落」
村正が刺さった部分から闇が波状に広がり、地面を黒く染めていく。
影落は邪神魔狼と戦った時にも使用した技で、辺りに闇を広げて村正のテリトリーとするものだ。その効果は闇が濃い程強くなるが、この戦場は拓けているので本来の力を発揮する事は出来ない。それでも広がった闇で邪神魔蛇が地に潜るのを阻害出来る程度の効果はある。
「捕らえたぞ」
咲良は瞬時に邪神魔蛇へと駆けていく。
地中に潜られる事は無くなったとはいえ気配を感知出来るわけでは無く、どんな能力を有しているのかも不明だ。こういう場合は様子を見ると痛い目にあうのが相場と決まっている。
「氷剋 飛翔!」
弐ノ型 飛翔に氷剋を混合させると黒い氷の斬撃に生まれ変わって放たれるが、邪神魔蛇は器用に体を捻って難なく斬撃を避ける。
「ちっ…氷剋と合わせると速度が落ちるな」
切ると同時に凍らす効果のある氷の斬撃は威力は申し分ないが氷の重量で速度が遅くなってしまう。邪神魔蛇は素早く軟体なので不向きの様だ。
「なら…動きを止めてやる」
咲良は邪神魔蛇の動きを止める為に村正の能力の1つ、影突を発動しようとした時…突然背中に衝撃が走った。
「ぐはっ………」
咲良は突然の衝撃を回避できず、邪神魔蛇の頭部付近まで吹き飛ばされた。更に邪神魔蛇は口を大きく広げて咲良を丸呑みしようと迫って来る。
「ぐ…ふざけやがって!」
咲良はなんとか立ち上がって下顎を脚で押さえつけ、上顎は村正で支える。
「ぐうぅぅぅ…」
邪神魔蛇の牙から紫色の毒液が村正を伝って流れ、魔装をしているにも拘らず咲良の腕がジュウジュウと音を立てて変色していく。
焼けるような痛みに耐えながらも丸呑みにされまいと抵抗する咲良と、丸呑みにしようとする邪神魔蛇との攻防が暫く続く。
だが均衡は突然破られる。破ったのは咲良でも邪神魔蛇でもなく、クロだった。
ドカンッドカンッドカン
クロが邪神魔蛇の頭部に炎弾を連続で放ったのだ。その衝撃で噛む力が一瞬怯んだ瞬間を咲良は見逃さなかった。
「調子に乗るな…衝波!」
咲良は牙から衝波を邪神魔蛇の体内に流し込む。
ドンッドンッドンッドンッ
地中に流し込んだ衝波と違い、直接体内に流し込まれた衝波は本来の威力を発揮した為邪神魔蛇はのたうち回る。
その隙に咲良は距離を取って氣で腕を治療する。
「ふぅ…助かったぞクロ……にしてもあんな攻撃も出来るとはな」
先程咲良を吹き飛ばしたのは地面から生えた邪神魔蛇の尻尾だった。どうやら奴は身体を自在に伸ばせるようで、気配が無い事を利用して地中から咲良の背後まで尻尾を伸ばして攻撃した様だ。
「勘もあまり働かない上に気配を感じないとは本当に厄介だ」
咲良は今まで生存本能の勘に頼り過ぎていた事を少し反省しながらも気持ちを切り替える。
「早い内に奴の能力を把握しておくか」
懐からステータスプレートを取り出したので、咲良は鑑定を使って邪神魔蛇の能力を把握する作戦のようだ。
ステータスプレートは持つ者のステータスや職業、知識によって性能が大きく変わる。今までの経験上でいえばイマジナリーのメンバーの持つプレートでは翳しても詳しくは分からないだろうが、咲良のプレートならかなり詳しい情報を掴めるはずだ。
「もう一度だ。影突!」
咲良は再度影縫を発動すると、自身の影から何本もの針状の闇が邪神魔蛇の体を貫いた。
「そのまま縛れ…影縫」
影突はスルスルと自由自在に動いて邪神魔蛇を地面に縫い付けた。
その隙にステータスプレートを翳して詳細を見る。
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その身体は伸縮自在で、再生する鱗を蛇に変化させる事で無限に増殖する。体内には触れるだけで死に至る程強力な毒を持っている。超順応変異、狂乱の技能を持つ。
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