神の盤上〜異世界漫遊〜

バン

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第10章 異世界人と隠された秘密

王都帰省

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バサッバサッ

「咲良の友人に会うの楽しみ!」

黒竜化した咲良の背中からソフィが話しかけてくる。クロはソフィの腕の中で就寝中だ。

「連絡は取ってるんだが会うのは久しぶりだな」
「そっか。魔道具マジックアイテムで連絡出来るもんね」
「あぁ、魔道具マジックアイテムを使ってずっと鍛治師の仕事を熟してきたからな」
「ならやっぱりコーチンに寄りたいんじゃないの?」
「確かに会いたい奴はいる。俺の工房もあるし異世界人のギルドもあるからな。だが寄り道している時間はない」
「助けを待ってる人がいるもんね」
「そういう事だ。コーチンには全部終わってから寄ればいいさ。今は先を急ごう」

咲良は翼を羽ばたかせて更に速度を上げる。



何故咲良達が黒竜化で移動しているのかというと時は数日前まで遡る。
アルカナで宴会をした次の日の朝、マリアから双子水晶で連絡が入った。

『咲良さん、聞こえますか?』
『マリアか、あんたから連絡が来るとは驚いた。明日は雨でも降りそうだな』
『久しぶりの会話でいきなり冗談とは変わりないようですね。ところで、フィリスとガイモンに会ったそうですね』
『あぁ、もう報告は受けたか?』
『はい。咲良さん程の実力者が討伐しきれないとなると、対策を取っても無意味かも知れませんね』
『弱点は見つけた』
『私達にとっては弱点と言えませんよ。何種類もの強力な攻撃を一度に放つなど現実的ではありませんから』
『だがそれしか勝つ方法はない。それより…何か話があるんだろ?』

今まで一度も連絡してこなかったマリアが報告の為だけに連絡して来るわけがない。

『実は…咲良さんに助けて頂きたいのです。報酬は弾みますから』
『助け?俺に頼むとは相当な事が起こっているようだな』
『えぇ…咲良さんはそこから王都アムルまでどれ程で来られますか?』
『急ぎか?』
『はい。出来ればすぐにでも来て欲しいのです。今は時間が惜しい』
『切羽詰まってるな。分かった、詳しい話は着いてからで良い。数日以内に戻る』
『それほど早く戻れるとは…流石というべきですね』
『世辞はいい。すぐに準備しよう』
『ありがとうございます。ではお待ちしております』

マリアと通信を終えると咲良はすぐに準備を始める。まずはソフィに事情を説明し、その後レオ、フィリス、ガイモンにアルカナを発つ事を伝えた。

これ程までに咲良が乗り気なのは別に善意という訳ではない。天乱四柱であるマリアに恩を売るためと王都アムルにいるガゼルに久々に会うのも悪くないと思ったからだ。



そして現在、これまで数ヶ月掛かった道程を短縮するために黒竜化でアムルに向かっているという訳だ。



咲良達一行が王都アムルに着いたのはアルカナを出て4日目の朝だった。本来ならもう少し早く着けたのだが、さすがに国境を無断で越えるわけにはいかなかったので時間が掛かってしまったのだ。とはいえ数ヶ月以上の道程をたった4日で着いてしまう咲良は異常と言えるだろう。


「ここが王都アムル…すごい…」

ソフィは目の前に聳え立つ巨大な城壁に目を奪われている。現在咲良達はアムルに入るための審査待ちで、列の長さから見て後1時間は待つ必要がありそうだ。

「懐かしいな…」

王都アムルは咲良がアスガルドに来て初めて訪れた町であり、様々な出会いもあったので感慨深いものがある。

「お世話になった人に挨拶しないとね」
「そうだな。この依頼が終われば少しここでゆっくりしていこう」
「どんな依頼なんだろう」
「さぁな…だが簡単な依頼ではないだろう。他にも特級冒険者はいるはずなのに態々俺を呼び寄せたんだからな」
「気を付けてね!」
「手伝ってくれないのか?」
「え?…でも…」
「手伝ってもらえると助かるんだが」
「いいの?」
「当たり前だ。俺たちはパーティだぞ。なぁクロ」
「キュイ!」

クロはその通りだとソフィの周りを飛びながら鳴く。

「パーティ…そっか…そうだね!私も頑張るよ!」
「ふっ…それでいい。お、そろそろか」

話しているといつの間にか審査の順番が回って来た。

「身分証を……って咲良じゃないか!」
「久しぶりだなトマス。元気だったか?」

審査をしていたのは門番のトマスであった。彼とはカゼルと3人でよく飲みにいく仲だ。

「もちろんだ。戻って来たのか?」
「いや、依頼で呼ばれたんだ」
「なるほどな。…所でその別嬪さんはもしかして彼女か?」
「アホか。パーティを組んでいるソフィアだ」
「あ、ソフィア・ホワイトです」
「俺はトマスだ。よろしくな」
「それより仕事をしろ、後ろが閊えているぞ。依頼が終われば暫く滞在してるからその時にでも話そう」
「おっと…もう通っていいぞ。咲良…おかえり」
「あぁ、ただいま」

トマスの言葉に咲良の表情に自然と笑みが溢れた。滞在した日数は地球に比べると微々たるものだが、咲良にとって帰って来たんだと思える程愛着のある町になっていたようだ。
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