神の盤上〜異世界漫遊〜

バン

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第2章 異界と異形

初ノ戦闘

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気がつくと亮太は森の中に倒れていた。

目を開けると先程までいたはずの教室の風景はなく、鬱蒼としたジャングルのような場所にいた。

「…………どこだ…ここ?」

亮太は至って冷静だった。
普段から冷静で取り乱すことなど陸でさえ見たことがなく、謎の光に包まれてからもそれは健在のようだ。

「…さっきまで教室にいたはず…」

辺りを見渡すがあるのは木々だけで教室にいたはずの陸たちもいない。

「……とりあえず状況確認だな」

じっとしていても仕方ないと亮太は状況を整理しだした。

「……とはいったもののわかる事と言えば…ここは森の中で俺だけってことだけ………歩くか」

特に考えても何も分からなかった亮太は森の中を探索することにした。
自分の知らない場所を探索するのは少し気分が高揚した。
まるでゲームの世界に迷い込んだような感覚だと思った。

探索してしばらくしているとノシッノシッと何かが歩いている音が聞こえ、こっそり近寄って見るとそこいたのは…

「…………………なんだあれ?」

イノシシがいた。
だがイノシシにしてはデカすぎる。
体長3mはゆうに超え、目は血走っており、額には2mほどの角のようなものが生えている。
身体の大きさと角の長さが釣り合っていない。
角を合わせると全長5mもある事になる。

その2mはある角で刺されればひとたまりもないだろう。いや、そもそも助からないだろう。

(びびった…さすがにびびった…なんだありゃ?あんな動物日本にいたか?……いや…いるわけないな…地球上の生物にあれがいたら間違いなくニュースになってるしな…)

流石の亮太も動揺を隠せず、これからどうするべきか必死に考える。

が…選択肢は一つしかなかった。

パキッ

その選択肢を選び、行動に移すために後ずさった時、足元から嫌な音が聞こえた。
よくありがちなことだ。足元の枝を踏んだわけだ。

枝の折れた音が聞こえたのか、こちらを向いたイノシシ擬きと目があった。
亮太の身体中から嫌な汗が流れる。

(しゃれになんねぇって)

亮太は全力で走り出した、否、逃げ出した。

ドッドッドッドッドッ

後ろから追いかけてくる音が聞こえる。
必死で走るがその足音は離れるどころかどんどん近づいてくる。

(!?はやっ!追いつかれる…ハァハァ…くそっ!こうなったら!)

そのイノシシはその巨体に似つかずかなり早い。
身体の大きさ故に一歩がとてつもなく大きいのだ。
このまま逃げても追いつかれると確信した亮太は立ち止まると近くに落ちていた木の枝を拾って構える。
こんな木の枝では太刀打ちできないとは分かってはいたが…

剣道は経験済みなのでこんな状況にも関わらず綺麗な構えをしていた。
しかし、いくら冷静な亮太といえど、こんな経験はしたことがない。
構えは様になっているが、手足は少し震えている。

そして…

イノシシらしき化け物との距離が5mを切った時、亮太は動き出した。

イノシシもどきとの距離残り3m

残り2m…

残り1m…

そしてイノシシもどきと衝突する瞬間、亮太は横に大きく跳躍した。

ドガァーン!!!

標的に避けられたイノシシは勢い余って後ろにあった大木に突っ込んでいった。

(動きは直線的…見た目は全然違うが動きは普通のイノシシと考えて良さそうだな)

亮太は自分でも不思議なぐらい冷静であった。
もう先ほどのように恐怖で震えてはいない。
イノシシ擬きをしっかりと見定め分析している。

その肝心のイノシシ擬きは長い角が大木を貫通し、身動きが取れない状態だ。

(チャンスか?…いやこっちには倒す手段がない…今のうちに逃げるか?だが、また追いつかれるかもしれない。どうする?)

必死に倒す、又は逃げる方法を考えるが何も思いつかない。
イノシシ擬きは角を抜こうともがいている。

バキッ!

何かが折れる音が辺りに響くと同時にイノシシ擬きがこちらに向き直る。
その額には角がなかった。どうやら抜けずに折れてしまったようだ。

「こいっ!化け物!」

ここで亮太はあえて大声をあげて挑発する。
挑発に乗ったイノシシ擬きは突っ込んできた。

今度も横に跳躍しイノシシもどきは大木に突っ込んだ。

亮太は走ると刺さったままの角を抜こうとするがなかなか抜けない。

(くそっ!抜けろ!抜けろ!抜けろ!!!)

ズボッ!

ようやく抜くことに成功するとイノシシ擬きの方を向き構える。

(一か八か…やってやろうじゃねえか)

今亮太は不思議な高揚感で満ち溢れており、その顔には笑みが浮かんでいる。

ちょうどイノシシ擬きがこちらに向き直り、突っ込んでくると同時に亮太も走り出す。

ぶつかる瞬間、後ろに跳躍すると同時にイノシシ擬きの突っ込んでくる勢いを利用して、角を脳天にぶち込んだ。

「ぐはっっ!!」

後ろに跳躍し、突進の衝撃を和らげたとはいえモロに突っ込まれた亮太は大きく地面を転がった。

一瞬意識が飛びそうになったがなんとか持ちこたえ結末を見る。

イノシシもどきは脳を潰されたのかピクリとも動かなかった。

「…ぐぅっ!」

痛む身体を無理やり起こしイノシシもどきに近づき、生死を確認する。

「…死んでる…みたい…だな…」

ふぅっと一息つくとその場に倒れるように座った。

もしこの角が折れるという偶然の出来事、ましてはギリギリで角を引き抜く事が出来なければ亮太は殺されていただろう。
イノシシ擬きが死んで安心したのか亮太はそのまま意識を手放した。
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