魔王の馬鹿息子(五歳)が魔法学校に入るそうです

何てかこうか?

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オリギナ魔法学校

第三話 魔法学校の校長

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「クラウディア、どこに行くんだ?」
「校長室だよ。この学校で一番偉い人のところに行くの。
 だけどいい? 私は連れて行くだけで手助けは出来ないからね?
 入学出来るかどうかは君一人の戦いだからね?」
「応、任せておけ! この俺ならどんな戦いでも勝てるぞ」

 その言葉に頷いてくれたクラウディアと一緒に寮を出る。クラウディアは学校の人気の無いタイミングを選んでくれた。学校の中庭を抜けてひときわでかい建物を目指す。レンガで構成されたその人工物は七階建て、人を収容すると考えただけでも相当な人数がこの学校に入るようだ。
 その中を勝手知りたる我が家の如くクラウディアが歩いて行く。
 
「校長室は七階だよ。最初に私が校長先生を紹介するから君はもうそこから試験が始まっていると思って慎重にね」
「わかったぞ」

 クラウディアの説明では一階は食堂や休憩所、検診室などが有るそうだ。二階から四階がそれぞれ在籍一年目~三年目の授業用の教室となっている。五階は図書館、音楽室、実験室、及び教官の物置などが有る。そしていよいよ気配の変わった六階から上が教授陣の住処になっている。
 建物の六階は内装が今までの階と一気に変わっている。通路には赤絨毯がひかれており、ほこり一つ落ちていない。加えて異色のドアが並んでいる。ほとんどが黒壇のドアだが、石製や鉄製などが有る。極めつけは異空間が有るだけの穴がおいてあるのだ。
 それらのドアの前を横切っていく。目指す七階だけはアクセスする階段が一箇所しか無い。それも六階まで上れる階段とは異なる位置にずれて設置されているのだ。
 
「なあ、クラウディア。校長ってどんな奴だ?」
「あまり詳しくは知らないけど、優しくていい人だよ」
「そうか。……そういえば名前は?」
「シュンカ・シュウトー、白髪のおばあさんで、いつもニコニコしてる人だよ。でもね魔法の知識は凄いよ。間違いなくこの学校で最高。このオリギナでも上から十指に入るよ」
「ふ~ん……お前やあのウィンズとどのくらい違うんだ?」
「……比較できないかな。知識量をどう表したらいいかわからないけど、私を本棚ぐらいとすれば校長は……この建物全部を図書館にしたぐらいって思えばいいかもね」
「おおっ!? そんなに凄いのか?」
「そうだよ。だから粗相の無いようにね」

 少しだけクラウディアが頬を赤くしていた。何だろう? 校長にあこがれているのかな? それとも知識に敬服しているのかな? どちらにしろ、生半可な相手ではないことはこいつの態度からも推定できる。
 魔法の技術戦においてクラウディアに俺は勝てない。
 そんな奴があこがれている相手なら技術で比べられたら負けるな。だがしかし、話は単純な事だ。技術戦に持ち込まれなければ良いのだ。魔力の強さとか、総量なら絶対の自信がある。
 つまりは、戦いになったら有無を言わせぬ速攻! 長引かせて技術を使われだしたらそれだけで負ける可能性がある。
 ふふ、プランは決まった。あの扉を開けたら速攻で魔力全開にして圧倒する。
 にやりと笑って魔力をためる。
 扉を開けろとクラウディアに視線を送る。

「何を考えているの?」
「俺の勝利のプランだ」
「二年生のクラウディアさんですね。隣の子はどなたですか? 紹介していただけますね?」

 !! おい待て! まだ扉は開けてないぞ! 先手を打つ前に打たれた! 扉越しに声が聞こえる。テレヴォイスだなっ!? くそっ、最初から監視されていたのか!? 
 クラウディアはいきなり背筋が伸びて「失礼します」と扉を開けてしまった。
 ちっ! 圧倒するには不意打ちが最も効果があるのに! ここで魔力を暴発させたら俺が馬鹿にされてしまう。適切なタイミングで力を使うことができないなんてアピールにすらならない。
 開け放たれた扉の向こう側で黒檀の机の奥に老女が座っている。小ぶりな丸い眼鏡、細身で白いローブに青いベストを身に付けている。顔や手に刻まれたしわは深いが弛みはない。髪も顔も年を感じさせるが瞳は違う。好奇心の塊と言ったところか、きらきらしている。
 チッと舌打ちして前に出る。もしも最初にこいつを圧倒できたなら入学は成ったも同然だったのだが。

「校長先生、こちらはカテイナ君です。
 カテイナ君、目の前の人がオリギナ魔法学校の校長先生 シュンカ校長です」
「ふふん。俺はカテイナだぞ。よろしくな」

 奇襲は失敗したが態度は忘れてはいけない。俺は次期魔界王なのだ。偉さで言えば世界一……今はまだ母がいるから世界二だが……今、この国に限れば皇帝よりも偉いのだ。
 腕組みしながら鼻息も荒く胸を張る。? なぜかクラウディアが目を覆っている。まあいい、今の目的はこの学校への入学なのだから、目標はクラウディアでは無い。今の標的はシュンカ、お前なのだよ。

「初めまして、カテイナ君。今日は何のご用でしょうか?」

 にっこり笑って、シュンカは俺に問いかける。この問いにはどう答えてやるのが良いか? 入学試験は始まっているのだ。

「こちらのカテイナ君がどうしても、このオリギナ魔法学校に入りたいとのことでして」
「コラッ、クラウディア、お前は口を出すなよ! ここから先は俺の戦いだ。口出しはさせないぞ! 黙ってろよ!」
 
 俺が少し考えていた隙にクラウディアがしゃべってしまう。邪魔しないでもらいたい。俺は男だからな。戦いが好きなんだ。
 クラウディアをにらみつけて黙らせるとさらに一歩前に出る。
 堂々と俺の入学願書を出すのだ。

「これは俺の入学願書だ。光栄に思えよ。この俺がここに入ってやるんだぞ」

 できうる限り尊大に、偉く堂々と願書を渡す。
 校長は相変わらずきらきらした目で俺を見ていた。
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