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第二章
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「何でよ?」
「婚約破棄せず、様子を見ることにしました」
「どういうこと?」
「まずは教育を受けて頂き、試験に合格して下さい」
「え!? 結婚してくれるの!?」
「エミリーのような野獣が貴婦人(レディ)になれるとは思いませんが、もしも、なれたら、その時に考えます」
「よっしゃー! 見てなさいよ! 絶対に誰よりも素晴らしいレディーになってやる!」
高らかにガッツポーズ決めるエミリアを仰ぎ見て、ヴィルヘルムは疑問を口にする。
「おい、2人とも、愛はいいのか?」
「愛? そんなものでお腹が膨れるはずないじゃない! 自分の子供が飢えて死んでから、愛よりもお金が大事だったと気が付く馬鹿女には私はなりたくないの! 生き残る!!! これが最優先事項よ! そのためには金! 権力! 分かった!?」
「まぁ、それについては私も同感です」
「何だ...やっぱり似た者同士でお似合いじゃないか」
「「はぁ!?」」
フリードリヒとエミリアが同時に声を上げた。
クリスチナがクスクスと声を押し殺して笑う。
「左様でございますね」
「最近、クリスチナは良く笑うな?」
ヴィルヘルムはクリスチナに笑顔を向けた。
「兄上、クリスチナ様の心からの笑顔は、私の仕事に対する見返りなのです」
フリードリヒは、デビュタントの舞踏会でワルツの時間にした約束のことを言っている。
『フリードリヒがエミリアを引きつけ、ヴィルヘルムから遠ざけることが出来たら、クリスチナの心からの笑顔を得られる』という約束である。
「何を馬鹿な事を言っているんだ? クリスチナの笑顔は私のものに決まっている!」
訝(いぶか)しげな顔をするヴィルヘルムに、クリスチナはニッコリと微笑み、ヴィルヘルムの手を握った。
「ほ、ほらな! じゃ、じゃあ、話もまとまったみたいだから私達は自室に帰る! ルドルフ(息子)の様子も心配だしな! さぁ、帰ろうクリスチナ!」
ヴィルヘルムはクリスチナの手を引いて、応接室を出て行った。
扉の外から声が聞こえる。
「急にどうしたのですか?」
「き、決まってるだろ? 夫婦が一緒の部屋に帰ってすることといったら...」
次第に声は遠ざかり、それ以上の会話は聞こえなくなった。
フリードリヒはしばらく扉を眺めていたが、振り返ってエミリアを見つめると大きな溜息を吐いた。
「何よ!?」
「真実の愛は確かにこの世に存在しているけれど、それを望むことは金の鉱脈を掘り当てようとするくらい無謀で虚しいことだと思ったのです」
「人から貰おうと思ってるうちはね」
「どういう事ですか?」
「自分が愛していたら、愛ほど確かなものはないのよ?」
「エミリーもさっきまで愛に否定的だったじゃないですか!?」
「愛じゃお腹は膨れないって言ったけど、手に入らないとは言ってないわよ? フリッツ、忘れたの? 私は恋愛相談で食べている専門家(プロフェッショナル)なのよ!」
「婚約破棄せず、様子を見ることにしました」
「どういうこと?」
「まずは教育を受けて頂き、試験に合格して下さい」
「え!? 結婚してくれるの!?」
「エミリーのような野獣が貴婦人(レディ)になれるとは思いませんが、もしも、なれたら、その時に考えます」
「よっしゃー! 見てなさいよ! 絶対に誰よりも素晴らしいレディーになってやる!」
高らかにガッツポーズ決めるエミリアを仰ぎ見て、ヴィルヘルムは疑問を口にする。
「おい、2人とも、愛はいいのか?」
「愛? そんなものでお腹が膨れるはずないじゃない! 自分の子供が飢えて死んでから、愛よりもお金が大事だったと気が付く馬鹿女には私はなりたくないの! 生き残る!!! これが最優先事項よ! そのためには金! 権力! 分かった!?」
「まぁ、それについては私も同感です」
「何だ...やっぱり似た者同士でお似合いじゃないか」
「「はぁ!?」」
フリードリヒとエミリアが同時に声を上げた。
クリスチナがクスクスと声を押し殺して笑う。
「左様でございますね」
「最近、クリスチナは良く笑うな?」
ヴィルヘルムはクリスチナに笑顔を向けた。
「兄上、クリスチナ様の心からの笑顔は、私の仕事に対する見返りなのです」
フリードリヒは、デビュタントの舞踏会でワルツの時間にした約束のことを言っている。
『フリードリヒがエミリアを引きつけ、ヴィルヘルムから遠ざけることが出来たら、クリスチナの心からの笑顔を得られる』という約束である。
「何を馬鹿な事を言っているんだ? クリスチナの笑顔は私のものに決まっている!」
訝(いぶか)しげな顔をするヴィルヘルムに、クリスチナはニッコリと微笑み、ヴィルヘルムの手を握った。
「ほ、ほらな! じゃ、じゃあ、話もまとまったみたいだから私達は自室に帰る! ルドルフ(息子)の様子も心配だしな! さぁ、帰ろうクリスチナ!」
ヴィルヘルムはクリスチナの手を引いて、応接室を出て行った。
扉の外から声が聞こえる。
「急にどうしたのですか?」
「き、決まってるだろ? 夫婦が一緒の部屋に帰ってすることといったら...」
次第に声は遠ざかり、それ以上の会話は聞こえなくなった。
フリードリヒはしばらく扉を眺めていたが、振り返ってエミリアを見つめると大きな溜息を吐いた。
「何よ!?」
「真実の愛は確かにこの世に存在しているけれど、それを望むことは金の鉱脈を掘り当てようとするくらい無謀で虚しいことだと思ったのです」
「人から貰おうと思ってるうちはね」
「どういう事ですか?」
「自分が愛していたら、愛ほど確かなものはないのよ?」
「エミリーもさっきまで愛に否定的だったじゃないですか!?」
「愛じゃお腹は膨れないって言ったけど、手に入らないとは言ってないわよ? フリッツ、忘れたの? 私は恋愛相談で食べている専門家(プロフェッショナル)なのよ!」
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