あなたは私の、輝ける星 ーーYou're My Only Shinin' Starーー

藍川 東

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アヒル隊長・1*

「アーシェ、湯加減はどう?」
 シンの声が脱衣所からかかる。
 アーシェにこだわりはないので、シンの要望をうけて脱衣所と浴室の間の戸は磨りガラスになっている。
 シルエットしか見えないが、黒くはないので軍服は脱いでいるようだ。
「ん~、ちょうどいいけど~」
 ここで『一緒に~』といい出したいところだが、今までの成功率を考えると実行しかねている。
 アーシェとしては、いついかなる時であってもシンとの触れ合いのチャンスは逃すべからざるものである。
 しかしながら、この状況シチュエーションでの誘いはシンの『照れギレ』を誘発することもあり、成功率は低い。
 さらにその後の展開にも影響を及ぼしてきた経験をかんがみると、ここはあえて行動を起こさないほうが戦略的勝利につながるのではないだろうか。
 銀河連邦軍の中枢に、幾人もの高官を輩出しているシリル家の粋と名高い『黄金』を冠する、アーシェの頭脳が高速で回転している。
 世界的にはまったくの無駄遣いだが、アーシェにとっては目下の最重要課題である。
 この後の数時間。
 シンと気持ちよくベッドに入り、二人で気持ちよく(アーシェは間違いなく気持ちいいし、シンも最中は気持ちいいといっている。正気に戻った時にで否定されるのは、想定内であり、かつ可愛いので無問題)なるためには、どんな行動が最善手か。
 アーシェは口まで湯船に沈み、ブクブクと息を吐きながら脳内パルスを意識的に活性化させた。
 シンからまた声がかかる。
「アーシェ。今日は疲れてるかい?」
「べっつにー。筋肉ダルマたちをちょっと撫でてきた程度だし。明日からは筋肉”羊”ダルマになってると思う。
 明日は一緒にだるま落としでもしようぜ」
 アーシェの全人類の上位5パーセントに位置する明晰な頭脳が、ひとつの解を出した。
「勝敗決めなきゃじゃん。結果見に来いよ」
「そうだね。部下の練度は見ておかないいけないね」
 よし。これで明日はずっと一緒確定。
 まずは先の目標をクリア。
 では喫緊の課題としてバスルームから出てからどうやって……
 磨りガラスの戸がスライドした。
「お邪魔するよ」
 アーシェはポカンと口を開けて見上げた。
「なに。そんな口開けてたら、お湯が入るよ」
 全裸のシンが立っていた。
 頭の隅では、浴室なのだから全裸で当たり前だろというツッコミは放置だ。
「なに」
 シンは照れを、少しの不機嫌でコーティングしてみせた。
「基地予算は厳しいからね。
 一緒に入ったほうが水道代も光熱費も節約できるだろう」
 今日の言い訳は、これなわけね。
 シンは、あえてアーシェと目を合わせてこない。
 (別に意識してないからね)といったふうにシャワーで体を流していく。
 シンの種族的特徴で体毛は一切ない。
 女のようなたおやかな細さはない。
 鍛えられた体は、首も腰もほっそりとした弱々しさはない。
 だが、それがいい。
 滑らかな肌の下に、柔らかでしなやかな筋肉が張りつめていることを、アーシェは知っている。
 シャワーを止めたシンが、湯船に近づいてきた。
 溢れてきたヨダレを、アーシェが喉を鳴らして飲み込んだ。
「なんて顔、してるの」
 見下ろしたシンが笑う。
 その黒い虹彩にも、アーシェと同じ欲望が宿っている。
「ん。でもシンの好きな顔だろ?」
「その自信がムカつくね」
 シンは浴槽の淵ギリギリまで来た。
 見上げたアーシェの目の前には、兆し始めたシンの肉茎がある。
 無毛であること以外、地球系のアーシェと外見上の違いはない。
「なに。勝ったご褒美は、上の口じゃなくてこっちのお口なわけ?」
「アーシェ、下品だよ」
 そういいつつ、シンは動かない。
 見せつけるように指先を唇に当て、喉に滑らせ、厚い胸から引き締まった腹、その下へ。
 アーシェの視線を誘導するようにペニスを撫で、さらにその奥に指先を滑らせた。
 腰を少し突き出し、薄っすらと開いたアーシェの薄桃色の唇に掠らせる。
 アーシェは唾に溢れた口を開くと、シンの肉茎を吸いつくように迎え入れた。
 そのままシンの尻タブをそれぞれの手で掴むと、唇が無毛の根元にキスをする。
「ふあっ……あぁっ」
 急に与えられた強い刺激に、シンが背を反らす。
 それを逃がさずに、アーシェは喉でシンの肉茎を吸った。
 アーシェのものと比べても遜色のない大きさであるが、もうアーシェの口と手でしか射精させていない。
 将来、もしもシンが望むなら、シンに処女を捧げるのも、悪くないとアーシェは思っている。
 しかし今は、シンを可愛がる方が先だ。
 知り尽くしているやり方で、シンの肉茎を舌で可愛がってやりながら、指を尻のあわいの窄まりへと這わせる。
 すでに自分で準備してしまったのか、淵をくすぐってから指を滑らせると、柔らかく迎え入れられた。
「え~、自分で準備しちゃったのかよ。俺がやりたかったのに」
 シンの肉茎を啜り上げながら唇を離して、アーシェがいった。
「っ……。時短、かな」
「セックスに時短とかいらねーし。シンをぐずぐずにすんの、俺大好きなんだよね~」
 差し入れた指で、シンが感じるところを、感じる強さで刺激していく。
「あっ、あんっ……。悪、趣味、だね」
 シンの強靭な足腰はまだ快感に崩れはしないが、手はすがるようにアーシェの頭を抱いて、濡れた髪をかき乱す。
「本、当に。頭の形まで、いい、なんて。……ふっ、んんっ」
「あ、馬鹿。あんまぐしゃぐしゃにすんなよ」
「アーシェ、髪質柔らかいからね、濡れるとぺったんこだ」
 乱れた息の中で、シンが笑う。
「気になるところなのっ。そこはっ」
「お身内に、涼やかな頭髪の方って、いるの?」
 シンの問いかけに、アーシェは溜めを作ってから答えた。
「…………数人、いる」
「…………。アーシェは、頭の形がいいから、大丈夫だよ」
 シンの指が、アーシェの頭皮を柔らかく撫でる。
 柔らかな金髪は濡れてぺっとりとボリュームをなくしている。
「…………。なぐさめは、いらない……。あ、やっぱなぐさめてもらう」
 シリアスでありながら、色事とは雰囲気が漂ったところで、アーシェがシンに入れていた指を増やした。
 そのままぐにぐにと、シンが『好き』な場所に刺激を与える。
「バッカっ……。いきなりっ」
 さすがに砕けた足を、尻を掴んでいた両手で支える。
 シンの手がアーシェの肩に縋った。
「ぃや、ああーーっ」
 上を向いた肉茎の裏側を舐め下すと、シンが甘い声を上げて喉をのけ反らせた。
 アーシェはそのまま、知り尽くしているシンの感じる箇所を、下でこそげたり、唇で甘噛みしながら顔を進めていく。
 後ろから指を入れている窄まりの前。つつましやかなひだに囲まれたもうひとつの『穴』に舌を伸ばす。
 入るものを迎え入れるように滴っている愛液を、わざと音を立てて啜る。
「アーシェっ、そんなことしなくて、いい、からぁ」
 普段のシンからは想像的ない、甘えた声が浴槽に響く。
 そろそろ気持ちよくなってくれているな、とアーシェは顔を上げた。
 その口元が、自分の体液で汚れているのを見て、シンの『穴』が感じて、また愛液が溢れた。
 アーシェはシンに見せつけるように、唇を舌で舐めた。
「今日は、どっち使わせてくれるの?」
 シンは熱い息を吐きながら、アーシェの耳元に唇を寄せた。
「両方、いい、よ」
 アーシェは湯船から立ち上がると、触りもせずに立ち上がってる自分の肉茎を、シンのものに擦りつけた。
 興奮している互いの体を強く密着させると、勝敗の判定前だが、アーシェはご褒美を強奪した。
 
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