出会いそして別れ……その先にあるもの

ハーマ

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過去

翠琴と煌琥

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翠琴視点

翠琴「…………」

翠琴は自分の組織の城の自室で写真を見ていた……その写真には翠琴の兄  玲二と長年部下として戦乱を共に生きた嵐そして優しげに笑う煌琥の姿……

翠琴「……あの時別の選択をしていたら……」

翠琴  皆……昔の様に笑い合えたのか……?

翠琴はかつて選択を迫られた……その選択は友を取るのか兄を取るのかを迫られ兄を取り嵐と煌琥を失い結果ずっと後悔している

翠琴「ゲホゲホ」

咳をした翠琴の手には大量の血……

もう……翠琴は長くないのだ……敵に毒を盛られ解毒してすぐに病に倒れ、薬を毎日飲んでいないといけないまでに弱り普段から自室にいて駿岐に組織を任せた

煌琥『何故……どうして嵐を見捨てた!!』

目を伏せ思い起こす事は1つ兄を取り長年連れ添った部下  嵐と数少ない友  煌琥を失い決別した日の記憶

翠琴  あの時は初めて事切れた嵐を抱きしめ、滅多に感情を表に出さなかった煌琥が感情を本気で顕(あらわ)にしたのは………嵐の死で泣きながら俺に問いた 何故嵐を見捨てたのかを……その後何があったのかは覚えていない……自我が飛んだのかそれとも煌琥に容赦なく攻撃され気絶したのか……次に目が覚めたのは組織の城の自室のベッドの上でその時の事を一切覚えておらず、駿岐に聞いても「分からない」の一点張りで恐らく知っているのだろうけど教えてはくれなかった

???『半年後  あの場所で待つ』

昨日起きた時にイヤホンに残されていたボイスメッセージ……「半年後」「あの場所」それを翠琴に言えるのは唯1人……煌琥のみ

駿岐「翠琴様!?貴方身体が……」

翠琴「もう……時間が無い」

駿岐「…………」

久々に部屋の外に出て特訓室に篭った翠琴に駿岐が声をかけるが翠琴にそう返答され言葉を無くす

駿岐は翠琴がもう長くない事を知っている

翠琴「駿岐」

特訓室に入り傷だらけで休憩と思い出てきた翠琴は駿岐に黒い箱を渡す

駿岐「これは?」

翠琴「首を守るものだ  お前はよく首を狙われるから首用の防具を作った………お前に似合うように作ってあるから似合うと思う」

駿岐「有難う御座います」

翠琴  やっぱり駿岐といると落ち着く……

駿岐に防具を渡し駿岐の隣で座った翠琴は駿岐と共にいることで安らぎを感じながら、もう一度特訓室に入ろうと立ち上がり歩こうとした時に駿岐に腕を掴まれ振り向く

翠琴「駿岐  どうした?」

駿岐「いえ……すいません」

そう言って駿岐は手を離したが歩き出した翠琴にもう一度手を伸ばしてしまう

駿岐「手を伸ばしても届かないのにとても近くそして遠い……」

駿岐は長年翠琴を支え恋焦がれながらその気持ちを押し殺してきたが、翠琴がもう長くないと知ってから抑えが効かなくなっている

駿岐「……持ってはいけない感情(もの)だと分かっているのに……」

「それでも貴方が欲しい」と言うかのように駿岐が泣いていた事を翠琴は知らない

惹かれ合っているのに共に生きることの出来ない2人……

過去に囚われ苦しむ翠琴と翠琴と共に生きられない事が苦しい駿岐そして2人の間にある唯一の繋がり……部下と上司、家族とは全く異なる「絆」……翠琴は知らないのだ駿岐の誓いと決意を……

翠琴「あっという間に半年過ぎちまった……」

体を一時的に元の状態に戻す為一日中特訓室に入り浸りあっという間に半年が過ぎ翠琴は「あの日」と同じ姿形……黒一色で統一された服装に黒とは異なる白い十字のネックレスを付けて、翠琴は城を出ていくが城の門を潜る前に翠琴は、朝早くから仕事の為に起きているであろう駿岐を想い城の方を向く

翠琴「……ごめんな蓮空(はすく)……」

城を見て駿岐の本名を呼び何も言わずに死に逝く事を悔やみながら「あの場所」へ向かう

煌琥「早いな翠琴……」

「あの場所」には既に先客……煌琥が待っていた

翠琴「ケリをつけよう煌琥……これが俺の最後の戦い……そして始まりだ  新しい明日への」

翠琴  負けることは目に見えているが……

病に伏し無理矢理一時的に体を元に戻した翠琴では煌琥と圧倒的差が出る

長年積み上げたキャリアと実力は煌琥も翠琴も同じ……

翠琴の発言で始まった戦闘……かつて煌琥と出会い盃を交わし道を違えた場所に2人の戦闘からなる音が響く

駿岐『翠琴様』

不意に聞こえた駿岐の声……そして振り下ろされた煌琥の刀を防御する訳でもなく、使っていない刀を思いっきり上に投げ煌琥の攻撃をその身に受け、痛みと共に思い出す唯一心から愛した部下  誠との日々……

翠琴  そう言えば誠の奴「生涯私が仕えるのは翠琴様だけです  何度転生し姿形が変わっても必ずや貴方様の元に戻りましょう、例え貴方が生まれ変わった私がわからなくても……」って言ってたな……今更になって気が付くなんて……

翠琴の身体は倒れ血を流しながら思う……生まれ変わり長年自分を支えてくれた駿岐……誠の事を

煌琥は既にそこにはいない  いずれ死ぬと分かってすぐその場を後にしている

駿岐「翠琴様!!」

誰かの走ってくる音と共に駿岐の声が響き手放しかけた意識を翠琴は浮上させ自分を抱きしめ、上半身だけ起き上がらせた駿岐に手を伸ばす

駿岐「……翠琴様……」

翠琴「……今更……気がついたよ……誠……」

駿岐「遅……過ぎますよ……」

文句を言いながらも駿岐の顔は今にも泣きそう

翠琴「なぁ……誠……託して……も良い……か?……俺の全て……を……」

血を流しすぎて言葉が途切れ途切れな上喋る事に血がより多く流れる

駿岐「翠琴様……」

翠琴「大……丈夫……側……にいる……から……持っていけ俺の全てを  お前になら託せる………いつかまた逢おう誠  ………友として仲間としてたった1人の恋人として」

最後の言葉に翠琴は残っていた力を全て使いとても優しい笑顔のまま事切れた

徐々に透けゆく翠琴を抱きしめながら駿岐は「心はいつまでも貴方様のお側に……」と、事切れる前の翠琴にできなかった返事をする

少しして翠琴の体は美しい光と共に消え去り「ざく」と音がして駿岐が振り向くとそこには、翠琴が煌琥の攻撃を受ける前に思いっきり投げた過去1度も使っていない鞘がつけられた刀が、土の地面に刺さっていて駿岐がそれを抜くと瞬時に翠琴の記憶と能力が継承され駿岐は自身本来の姿に還る

銀髪の短い髪にオレンジ色の瞳、左目の斜めにある傷跡  かつて自身がその姿を嫌いながらも唯1人翠琴が最も愛した姿……

残された仲間は駿岐が率いるであろう……

「人類最強」と呼ばれた一族の末裔として……翠琴の意思と思いを受け継いだ継承者として……
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