悪役令息と悪役令嬢の兄と姉を守りたいので第四王子との恋愛フラグをへし折りまくります!

いずみ

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南の国に行く理由

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 二つの国に行きたいと思っている僕は、シフォン王子に会って王族直結の和平を考える相手として見て貰おうかと思っている。南の国も北の道も長く、危険がある旅になるだろう。だが、それすらも僕はなんとかしてみせる! その為にも、シフォン王子にお願いして、南の国と北の国の公証人に押して貰わないといけない。僕みたいな子供にそんな大役を任せるとは思っていない。だが、他に手が思いつかない。僕自信はモブすぎて使えないからだ。こういう時に主人公だったならと思うが、考えても仕方ない! 僕は僕以外になれないのだから、シフォン王子にどうやって頼み込もうか。父に約束を取り付けた一年しか時間がないのだ。これが十年とかあったらと思うが、そんな時間はない。
「アル様」
「なんだ、暁」
「シフォン王子に一緒に来て頂いてはどうでしょう?」
「どういう事だ?」
「王子様の婚約者としての表面上ただの旅行として行ってみてはどうでしょうか?」
「シフォン王子を巻き込めと?」
「はい、どうもアチラも此方の目的は知っているようですし、使える駒は使っては?」
「そうだな……うん……」
 シフォン王子は俺の目的を知っている。裏切らなければ、協力的でもある。いいかもしれないな。だが、危険な旅になるかもしれない。盗賊が出たり、戦争をしている国行ったりするのだ。シフォン王子も考えがあると思う。上手くいくだろうか?

「いいよ、一緒に行くよ」
「は?」

 僕は耳を疑っている。なんだって? 「いいよ」だと?
 三日かけて馬車で王都について、シフォン王子の部屋に通されて一通りの事を説明したらこんな返事が来た。
「一時休戦している国ですが、何時戦争が起きるかは分からないのですが?」
「けど、アルは行きたいのでしょう? 王族命令とかも欲しいってところで。なら、俺も一緒に行くよ。婚約者じゃん、頼ってくれていいよ。お姉さんのためなんだろう?」
「あぁ、姉様のためだ。この目でどんな人物か見定めたいと思っている」
「いいよ、一緒に行くよ」
「ありがとう、シフォン」
「俺もちょっと気になっている事があるから、それも一緒に片付けてくれたら嬉しいな」
「気になっている事とは?」
 僕がそう聞くと、シフォンは足を組みなおして僕を見てきた。
「どうやら、南の国から麻薬が我が国に流れ込んでいると聞いている」
「麻薬ですか!」
「あぁ、最初は価値が低いもので健康にいいと偽って飲ませ、その後は高い値で薬を売りさばいていると聞く。それをしている者を捕まえてみたら、南の国のモノがほとんどだった。どうやら、麻薬を持ち込んで国の若い者を使えないものにして戦力や生産性などを落とそう考えていると思われる。ただ、南の国も広い。貴族からでもいいから、協力して貰える人物が出来たら有難いと思っていた」
「内側からしか分からない情報が欲しいという事ですか?」
「そうだ」
 シフォン王子と目的が一致した。
 僕は姉様のために、シフォン王子は国のために。南の国に行く用意を始める事にした。
 内容は簡単。子供の旅行として行く事になる。
 王族とその婚約者として行くのだ。
 決して、子供だからと侮られてはいけない。
 けど、侮ってくるんだろうな。だって、子供だもんね。
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