悪役令息と悪役令嬢の兄と姉を守りたいので第四王子との恋愛フラグをへし折りまくります!

いずみ

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婚約者(仮)の情報!

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 僕は早速、暁の部屋を訪れた。
「早速だが、馬車の中で話していた婚約者候補の王族と貴族の二人の事が知りたい。知っている事を教えてくれ」
「突然、どうしたんだ?」
 暁が僕の圧に引き気味になっていた。僕は先ほどの父上とのやり取りを話した。
 暁はピューっと口笛と吹く。
「カッコいいね! 兄と姉のために啖呵をきるなんてさ。けど一年って短くないか?」
「短いけど、やらないといけない。時間が一秒でも惜しいんだ」
 暁はその返事に首を縦に振った。
「なら、二人を描いた絵画がある。見るか?」
「あぁ、ありがとう。助かるよ。情報はあって足りない事はないからな」
 暁は異空間魔法が使えるようで、小さなバックからは出てこないと思われる大きさの絵画を二枚出してきた。描かれている絵画は美しい男性と女性が座っていた。
「これが、兄上と姉上に紹介したいと言っていた人なのか?」
 俺の声は震えていた。
「あぁ、そうだ。こちらの絵画の男性の方が南の国の貴族。アルフェイ・リビア様。歳は今年で23歳。頭がきれる上に、18歳から戦場に出るがリビア様がいると負け知らずで、南の国で勲章を一番多く頂いている。武勇伝は数えていたらキリがない。参謀だが体力にも自信があり肉弾戦どちらも出来る戦場の天才だ。今は戦争が一時休戦の約束を交わしていて平和な国だ。リビア様は女性に関心がなく、友人たちばかりいる。その友人も数人だが」
 暁が見せてくれた絵画の男性はもう美形。美形以外の言葉が分からない美貌の持ち主だった。髪は赤く、青い紐で結ばれて腰まで長い。瞳はルビーの様に輝きを放ち、鋭い。身体は鍛えぬかれていると見ただけで分かる軍服姿。姉様にこんな婚約者がいたらと思う、まさに理想の婚約者! 僕はその事実に嬉しくて震えた。
 暁はもう一枚の絵画も左手で持ち直してこちらに見せてくる。
「こちらの絵画の女性が北国のお姫様。シリュフィーユ・アレット様。歳は今年で19歳。雪国にしては栄えている小さな国だ。アレット様の能力が国を支えていると言われているがどんな力かは分からない。周りの国はアレット様が邪魔で暗殺を仕掛けているが、ことごとく失敗。姫様だけが使える魔剣があるらしいと言う噂がある。このアレット様はリビア様よりも情報が少ない。この絵画も入手困難の中でやっと手に入ったものだ」
 絵画に目をまた奪われた。美女がいた。美女以外の言葉が分からない美しさの持ち主だった。髪も肌も雪の様に白く、白いドレスに身をつつみ、黒い瞳は黒曜石の様だ。まさに、兄上の婚約者に相応しい! こんな人物なら許せる! 
「ありがとう、暁」
「もっと、詳しい資料なら今から空間から出すから待っていてくれ」
 あぁ、持つべきものは友(偽)!
 絵画二枚を壁に立てかけて、異空間から必要な資料を探してくれているらしい。
 その間、僕は絵画に視線を向けていた。
 美しい二人。だが、写真ではない事は心配だ。画家を脅して美しく描いたかもしれないからだ。僕の親戚の子がその手を使っていたのだ。金を画家に握らせて、モブAの顔をヒーロー並みに美しく描かせたらしい。
 どうか、そんな結末じゃない事を願いたい。
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