41 / 52
イモータルの洗脳
しおりを挟む
アルフォンが俺に興味がないのは知っていたが、あんな美しい姫君が近くにいるという現実に俺は嫉妬がとまらなかった。アルフォンも俺と一緒の想いを持ってくれたらいいのにと思うが、それは難しいだろう。アルフォンの一番は姉君と兄君だ。それは変わらないのだろうな。俺と一緒に居るのだって、姉君と兄君の婚約者候補を探すためだからだ。
「なんか虚しいな」
「そんな顔をなさらないでください」
「…っ! イモータル…様!」
何故、イモータルがココに?
「貴方とは話を直にしてみたいと思っていました。シフォン王子様」
「それで、こんな所まで来て俺になんの用だ?」
「シフォン王子様は婚約者様と上手くいっていないとお見受けして、お助けしたいと思いまして」
「……助けたいだと?」
こいつ、何を考えている?
「貴方も思っていると思うのです。あの姫君が邪魔だと」
「……それで?」
イモータルが一輪の薔薇を白い薔薇を手折った。そしてそれを俺の胸ポケットに入れる。
「シフォン王子様がアルフォン様と一緒といれる様に手配しますよ。姫君の護衛を変えましょう、そうすればアルフォン様と一緒に居られますよ」
「それは、そうだが……」
アルフォンがあの姫君を気に入っているのは分かるが、仲良くなってほしくない。
「ならば、私にお任せください」
「イモータル様?」
「すぐに姫様と引き裂いてやりますから」
そう口元に笑みを作って、イモータルは俺の前から消えた。
引き裂くとは、どういう事なんだ?
しかし、俺の心を読んでくるとは怖いな。あのイモータルというやつ。これでは、簡単にこの国の国民が心を奪われてしまったのも分かる。欲しい言葉をくれるのだから、心地がいいのだ。誠心誠意な感じの態度にも好感が持てた。ヤバいな、俺も手中にしようとしているのだと分かっているのに、好感を持ってしまっている。アルフォンと一緒にいたいそう思うのは契約違反だろうか? だが、今の俺達は婚約者だ。我慢しなくてもいいだろう。
「きゃぁああああああああ!」
先ほどさった庭園から悲鳴がした。
俺は急いで、アルフォンの元に戻った。
そこで俺は後悔する。
目の前には姫君を庇ったアルフォンが倒れていた。
何処からか出てきた化け物に襲われたようだ。だが、その化け物はアルフォンが炎の魔法で倒した後だった。黒焦げになっていた。
俺はすぐさまアルフォンに近付く。
「大丈夫か!」
「ぐっ……、シフォン! リジュ様を頼む!」
「何を言っているんだ! 人の心配をしている場合か!」
「俺が死んでも、変わりはいる! だが、リジュ様はいないんだ! シフォン! 早く! リジュ様を……安全なところまで! 探知の魔法で分かるんだ、まだあの化け物と一緒の個体が来る。俺だけならなんとか出来るから!」
「生きて帰ってこい」
俺は魔法で傷を塞いでいる。応急処置だ。
「ありがとう、シフォン」
「いいか、それ以上傷をつくなら、俺にも考えがあるからな!」
「大丈夫、油断していただけだ……リジュ様を頼む!」
俺はお前に信頼にたる人間ではない。
「分かった」
「リジュ様、シフォンと一緒に城の中に!」
「ですが、アルフォンが!」
「大丈夫です。あの、個体とは一度戦ったのです。勝ったのは僕ですから! ご安心を、僕もすぐに追いつきますから、先に中へ!」
リジュは手を胸の前で強く握り、シフォンに手を取られて城の中に入った。
シフォンはリジュの手を取りながら思った。
あぁ、本当にリジュ姫君は邪魔だな。アルフォン一人だけだったら、あんな傷を負う事もなかったのに。それをさせたのが、この女だ。
「シフォン王子?」
俺への異変に気付くリジュ姫君。
「すみません、リジュ様。ここでお別れしましょうか」
「へ?」
リジュ様は後ろにいた護衛の兵士に大きな袋を被せられて、担がれて、何処かに行ってしまった。
「シフォン、リジュ姫君は!」
俺の前に走ってくるシフォン。
息を切らして俺の元に来た。
「リジュ様なら兵士と一緒に行ったよ」
「なっ! 何をしているんだ、シフォン! 兵士にも裏切りモノがいるんだぞ!」
「これで、お前はリジュ姫君の護衛を辞められるな」
「シフォン? お前、ちょっと変だぞ? ……っ、鑑定!」
「…っ!」
眩しい光に俺は照らされた。そして、アルフォンが呟く。
「洗脳されている。何時の間に! 洗脳解除を!」
「洗脳?」
また、明るい光に包まれる。だが次のは温かい。
「あれ、俺は……! リジュ様が兵士に連れていかれたんだ!」
「ちっ、胸についている薔薇からか。洗脳出来るように魔法と匂いでやられたんだ! リジュ様を探さないと!」
「悪い、アルフォン! 俺がついていながら!」
「謝るよりも、先にリジュ様をさがそう!」
「分かった!」
イモータルめ、アルフォン王子まで使うなんて!
手段を選んでいないな。
「なんか虚しいな」
「そんな顔をなさらないでください」
「…っ! イモータル…様!」
何故、イモータルがココに?
「貴方とは話を直にしてみたいと思っていました。シフォン王子様」
「それで、こんな所まで来て俺になんの用だ?」
「シフォン王子様は婚約者様と上手くいっていないとお見受けして、お助けしたいと思いまして」
「……助けたいだと?」
こいつ、何を考えている?
「貴方も思っていると思うのです。あの姫君が邪魔だと」
「……それで?」
イモータルが一輪の薔薇を白い薔薇を手折った。そしてそれを俺の胸ポケットに入れる。
「シフォン王子様がアルフォン様と一緒といれる様に手配しますよ。姫君の護衛を変えましょう、そうすればアルフォン様と一緒に居られますよ」
「それは、そうだが……」
アルフォンがあの姫君を気に入っているのは分かるが、仲良くなってほしくない。
「ならば、私にお任せください」
「イモータル様?」
「すぐに姫様と引き裂いてやりますから」
そう口元に笑みを作って、イモータルは俺の前から消えた。
引き裂くとは、どういう事なんだ?
しかし、俺の心を読んでくるとは怖いな。あのイモータルというやつ。これでは、簡単にこの国の国民が心を奪われてしまったのも分かる。欲しい言葉をくれるのだから、心地がいいのだ。誠心誠意な感じの態度にも好感が持てた。ヤバいな、俺も手中にしようとしているのだと分かっているのに、好感を持ってしまっている。アルフォンと一緒にいたいそう思うのは契約違反だろうか? だが、今の俺達は婚約者だ。我慢しなくてもいいだろう。
「きゃぁああああああああ!」
先ほどさった庭園から悲鳴がした。
俺は急いで、アルフォンの元に戻った。
そこで俺は後悔する。
目の前には姫君を庇ったアルフォンが倒れていた。
何処からか出てきた化け物に襲われたようだ。だが、その化け物はアルフォンが炎の魔法で倒した後だった。黒焦げになっていた。
俺はすぐさまアルフォンに近付く。
「大丈夫か!」
「ぐっ……、シフォン! リジュ様を頼む!」
「何を言っているんだ! 人の心配をしている場合か!」
「俺が死んでも、変わりはいる! だが、リジュ様はいないんだ! シフォン! 早く! リジュ様を……安全なところまで! 探知の魔法で分かるんだ、まだあの化け物と一緒の個体が来る。俺だけならなんとか出来るから!」
「生きて帰ってこい」
俺は魔法で傷を塞いでいる。応急処置だ。
「ありがとう、シフォン」
「いいか、それ以上傷をつくなら、俺にも考えがあるからな!」
「大丈夫、油断していただけだ……リジュ様を頼む!」
俺はお前に信頼にたる人間ではない。
「分かった」
「リジュ様、シフォンと一緒に城の中に!」
「ですが、アルフォンが!」
「大丈夫です。あの、個体とは一度戦ったのです。勝ったのは僕ですから! ご安心を、僕もすぐに追いつきますから、先に中へ!」
リジュは手を胸の前で強く握り、シフォンに手を取られて城の中に入った。
シフォンはリジュの手を取りながら思った。
あぁ、本当にリジュ姫君は邪魔だな。アルフォン一人だけだったら、あんな傷を負う事もなかったのに。それをさせたのが、この女だ。
「シフォン王子?」
俺への異変に気付くリジュ姫君。
「すみません、リジュ様。ここでお別れしましょうか」
「へ?」
リジュ様は後ろにいた護衛の兵士に大きな袋を被せられて、担がれて、何処かに行ってしまった。
「シフォン、リジュ姫君は!」
俺の前に走ってくるシフォン。
息を切らして俺の元に来た。
「リジュ様なら兵士と一緒に行ったよ」
「なっ! 何をしているんだ、シフォン! 兵士にも裏切りモノがいるんだぞ!」
「これで、お前はリジュ姫君の護衛を辞められるな」
「シフォン? お前、ちょっと変だぞ? ……っ、鑑定!」
「…っ!」
眩しい光に俺は照らされた。そして、アルフォンが呟く。
「洗脳されている。何時の間に! 洗脳解除を!」
「洗脳?」
また、明るい光に包まれる。だが次のは温かい。
「あれ、俺は……! リジュ様が兵士に連れていかれたんだ!」
「ちっ、胸についている薔薇からか。洗脳出来るように魔法と匂いでやられたんだ! リジュ様を探さないと!」
「悪い、アルフォン! 俺がついていながら!」
「謝るよりも、先にリジュ様をさがそう!」
「分かった!」
イモータルめ、アルフォン王子まで使うなんて!
手段を選んでいないな。
9
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される
Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。
中1の雨の日熱を出した。
義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。
それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。
晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。
連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。
目覚めたら豪華な部屋!?
異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。
⚠️最初から義父に犯されます。
嫌な方はお戻りくださいませ。
久しぶりに書きました。
続きはぼちぼち書いていきます。
不定期更新で、すみません。
イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
花街だからといって身体は売ってません…って話聞いてます?
銀花月
BL
魔導師マルスは秘密裏に王命を受けて、花街で花を売る(フリ)をしていた。フッと視線を感じ、目線をむけると騎士団の第ニ副団長とバッチリ目が合ってしまう。
王命を知られる訳にもいかず…
王宮内で見た事はあるが接点もない。自分の事は分からないだろうとマルスはシラをきろうとするが、副団長は「お前の花を買ってやろう、マルス=トルマトン」と声をかけてきたーーーえ?俺だってバレてる?
※[小説家になろう]様にも掲載しています。
正義の味方にストーカーされてます。〜俺はただの雑魚モブです〜
ゆず
BL
俺は、敵組織ディヴァイアンに所属する、ただの雑魚モブ。
毎回出撃しては正義の戦隊ゼットレンジャーに吹き飛ばされる、ただのバイト戦闘員。
……の、はずだった。
「こんにちは。今日もお元気そうで安心しました」
「そのマスク、新しくされましたね。とてもお似合いです」
……なぜか、ヒーロー側の“グリーン”だけが、俺のことを毎回即座に識別してくる。
どんなマスクをかぶっても。
どんな戦場でも。
俺がいると、あいつは絶対に見つけ出して、にこやかに近づいてくる。
――なんでわかんの?
バイト辞めたい。え、なんで辞めさせてもらえないの?
――――――――――――――――――
執着溺愛系ヒーロー × モブ
ただのバイトでゆるーく働くつもりだったモブがヒーローに執着され敵幹部にも何故か愛されてるお話。
転生したが壁になりたい。
むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。
ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。
しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。
今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった!
目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!?
俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!?
「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」
悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~
トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。
しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。
貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。
虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。
そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる?
エブリスタにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる