美形皇帝陛下が溺愛してきますが、邪魔です!

いずみ

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天国から地獄へ

 私の人生は今日、詰んでしまった。
 目の前には、剣で護衛の兵士達を切り捨てていく「黒の死神」と噂される、アルベラの皇帝陛下が居た。この男は私の国を侵略するために自らやってきたのだ。我が国は小さな国で武力はあまりにも大国であるアルベラ国とは差がありすぎる。だが、侍女や兵士達がアルベラの皇帝陛下が私を狙っているのを知っているので、なんとか私を逃がそうとしてくれる。あの黒い死神は、どうやら私の事をお気に召したらしい。何処で好かれたか分からないが、私には好きな婚約者が居るのだ。その方と結婚を今日する予定だった。だが、突然に結婚式場に乗り込んできたのが黒い死神こと、アルベラ国のルイス・ローベント皇帝陛下だった。
『こんなに愛しているのに、他の男のものになるなら殺してずっと俺の傍に居ろ』
 ルイス皇帝陛下は寂しい幼少期を過ごしていたと聞く。だから、父親と母親や兄弟全てをきり殺しているのだ。ルイス皇帝陛下にとっては自分を見てくれない存在には死を送っている。邪魔する者の敵も、足を引っ張る味方にも、それは変わらない。冷酷な皇帝陛下であるが剣技は一級品だ。精鋭部隊の兵士が束になっても勝てないと聞く。化け物だ。顔は美形の部類に入るから女性からのアプローチもよくあるらしい。だが、ルイス皇帝陛下は私に何故か執着を抱いていた。
 昔、ルイス王太子の幼少期の時に賊に攫われたと聞いた事がある。無事に帰って来た王太子殿下は血まみれだった。返り血だったが、その日からルイス王太子は変わったと言われている。その時、私もその場に居たらしいが記憶が飛んでいて覚えていない。王子や姫を攫ってただすむ訳がないのに、よく実行したよ。賊よ。
 

 私はウェディングドレスのスカートを破って、森の中を走っている。
 馬の走ってくる音が聞こえる。
 どう考えても追いつかれる。
 私は草むらに隠れる事にした。
 ここを乗り切れば、また愛するベルリと会えるはずだから。
 そう、その時は思っていた。
 馬が私が隠れている草むらの近くでとまる。

「リーア、何処に隠れているんだ。出てきてくれないか」
 
 そう言われて、誰が出て行くもんですか!

「リーア、見えていないのかな? おい、ソイツを地面に落とせ」
「はっ!」
 ルイスの言葉と共にいた兵士に担がれていた男が地面に落とされた。
 あれは……ベルリ?
「リーア、俺はこいつが憎いから殺してもいい。だが、それではお前は俺の妃になってくれないだろう? お前から俺の妃になりたいと言ってほしいからな。交換条件だ、こいつの命と交換にお前の結婚相手を俺にしろ。そしたら、コイツは見逃してやる」
 嫌、あんな奴の妃になるなんて。
 でも、私が逃げたり断ったらベルリが死んでしまう。
 噛みしめている唇から血が伝う。
 負けない、今は降参しましょう。だけど、最後に笑うのは私よ! ルイス!
 私は草むらから、ルイスの前に出ていった。
「本当に助けてくれるのよね?」
「もちろん、リーアが俺との結婚を承諾してくれるなら」
「分かったわ。貴方と結婚するわ」
「うん、従順なリーアで安心するよ」
「そうですか」

 ルイス・ローベント。絶対に貴方を地獄に叩き落してやる。
 私を好きになった事を後悔するといいわ。


「いいね、その覚悟を決めた瞳が綺麗だ。リーア」

「それは、どうも」


 こうして、私はたった一日で天国から地獄に突き落とされたのだった。
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