美形皇帝陛下が溺愛してきますが、邪魔です!

いずみ

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脅迫の告白

 ベルリはなんとか殺されずにすんでホッと安心したが、ルイス皇帝陛下から下された約束が一つ、「これから一生ベルリとは会わない事」だった。もし破ったら、我が国を滅ぼすと言われた。今、この国が存続しているのはルイス皇帝陛下が私の故郷がないのは可哀相だからだと言って慈悲の心をみせているからだ。なんて男なのだろう! 情けをかけている様で、脅迫以外の何ものでもなかった。
 私はルイス皇帝陛下の目の前に座っている。馬車がガタガタと音をたてて進んでいく。
「リーア」
「………」
「リーア……無視するなら考えがあるが」
「……なんでしょうか、ルイス皇帝陛下」
 返事なんかしないでずっと無視していたかった。
「アルベラに着いたら結婚式の準備をしたいと思っている。どんな宝石が欲しい?」
「なんで、宝石なんているんですか?」
 ルイスにそう質問すると、嬉しそうに私を見てきた。
「我が国では結婚相手に指輪というものを贈るのが風習になっている。受け取ってほしいし、気にいってほしいと思っている」
「……なんでもいいです」
「……あの男の名はベルリだったか、そんなに殺してほしいのか?」
 ルイスの声からヒヤリとした冷たさを感じた。ここで選ぶ言葉間違ってはいけない!
「……宝石屋で選ばせて下さい」
「分かった、手配しておく」
 ルイスの従者が「もう少しで王都です」と話きた。
 王都は遠くから見ても広大で美しく感じた。だが、中に入ると金持ちは金持ちで裕福で、少し路地裏に入っていくと貧困層が病気や空腹で倒れていたりしている、貧富の差はあった。大きな壁だった。
「リーアはあの路地裏の人間に興味があるのか?」
「いえ、そんな事は」
 嘘だ。私は貴族だが、平民に友達がいて一緒に炊き出しをした。父と母と兄達には反対されていた。貴族のする事ではない。けど、私はたまたま貴族に産まれただけだと思っている。産まれた場所は決められない、だから少しでも他の人の役にたちたかった。
「あの、ルイス皇帝陛下にお願いがあります」
「なんだ、リーア」
 私は深呼吸をして、想いを言葉にした。
「どうか、炊き出しをさせてください」
「ほぉ、炊き出しか……それでそれを許したら俺になんの利益があるんだ?」
 冷たい瞳を細めてこちらを見定めてくる。
「まさか、無条件で俺がOKするとでも? 俺はね、嫉妬深いんだよ。好きな女が他の奴にうつつをぬかしていて、面白いと思うか? それはNOだ。リーア、俺だけのものになってくれ。そしたら、皆がハッピーエンドだからな」
 なんて嘘をつらつらと出てくる口だこと。
「皆がハッピーエンドですか?」
「そうだ、俺が怒らなければ「他の人間」の首が飛ぶことはない」
「父や母や兄弟達を人質にとっていると考えても?」
「いやだな、丁重にもてなしているよ。俺の義両親になるのだから。けど、リーアが結婚してくれないとタダの邪魔者だから処刑しちゃうかもね」
 綺麗に笑いながら毒を吐いてくる。
「なんで、私なんですか? ルイス皇帝陛下なら選び放題じゃないですか!」
「はっ、俺を殺そうとする奴か権力と金と顔しか見てない奴なんか、イヤでね」
「なら、私もその一人になります」
「リーアは人を殺したことあるの?」
 ルイスはクスリと笑って、馬鹿にしてきた。
「ありませんが、何ですか! 馬鹿にして!」
「なら、公開処刑は見た事は?」
「……ありません」
「なら、リーアには俺を殺すなんて無理だよ。人を殺す事になれてないから。血を見たらぶっ倒れそうだ」
「そ、それは……やってみないと分かりません!」
 くそっ、確かに血は苦手だ。けど、この男が居ては世界がどんどん戦火に巻き込まれる!
 ルイス皇帝陛下は一番大きな武力と国土を持っている。彼の考えは一つだけ。世界統一だ。
 だがその夢も近付いている。
 あと、5つの国がルイスの手に落ちれば、この国は地獄とかす。
「リーア」
「えっ」
 考え事をしていたら、何時の間にか私の横の席に移動したルイスに抱きしめられていた。
「私と次こそは一緒にいてほしい。愛しているんだ」
 イケボで耳に刺激が凄い破壊力だった。顔も美形だし、皇帝陛下だし、剣も一流で、非道の男でなければ靡いていたかもしれない。
 まぁ、もしも話をしても仕方ない。
「私は……今はお返事できません」
「分かった……けど、返事はよく考えて答える事を進めるよ」
 あぁ、麗しい笑顔なのに言っている言葉は脅迫まがい事ばかりだ。
 誰か、この男を殺してくれ。
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