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求婚する相手は
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あの後ゲイルには昨晩の事は内緒にしてほしい。結婚は父親であるカクテスト伯爵に話を通してほしい。とだけ言って痛めた心と重たくなった身体をひきづるようにして邸に帰った。
一方ゲイルもこの後仕事で王都を長期で離れるとの事で、帰ってから結婚についてゆっくり話し合いたいと言われた。
せめてゲイルが遊びで抱いたと言われたのなら身体は傷ついたが、心はここまで傷つかなかっただろう。
あの愛おしそうな熱のこもった声で呼ばれた『ティナ』は全てあの時彼の腕の中にいたセレスティナに向けてではなく、マリアティナに向けてだったのだ。
だからと言って姉のマリアティナにコンプレックスは持っていても嫌いになれない。
カクテスト伯爵家に子供はマリアティナとセレスティナの2人しかおらず、姉のマリアティナが婿を取り家を継ぐことになっている。
それならグランベリー伯爵の次男であるゲイルはうってつけだ。
ゲイルはマリアティナが好きなのだし、ゲイルはあの通り見た目も性格も身分も全てにおいて結婚相手として不足はない。きっと上手くまとまるだろう。
そうなるとセレスティナはこの家にいられない。
まさか間違えて抱いた妹が側にいるなんて真実を知ったらゲイルもマリアティナも耐えられないだろう。
良い子ちゃんに思えるかもしれないが、自分の存在が2人を不仲にさせるのは避けたいのだ。
だが、本心はセレスティナ自身が2人が仲睦まじく過ごすのを側で見守っているなんてできない。
貴族令嬢が家を出るには結婚が一番だ。
いくら最近は純潔に重きを置かなくなってきているとしても貴族の結婚では高位貴族こそ重要視する。
それに恋に敗れてしまったとはいえ好きな人がいるのに別の誰かに嫁ぐなど今のセレスティナには考えられない。
婚約の打診はグランベリー伯爵家を通じて届いた。
ゲイルはあの後すぐに騎士団の仕事で国境付近へ長期で出かけている。
だから、顔見せもしていないのですぐには婚約とはいかず、まずは2人の仲を深めていきたいと言った好意的な返事をしたそうだ。
それから1ヶ月。その間マリアティナとゲイルは手紙や贈り物を通して仲を深めていった。
そうしてカクテスト伯爵はグランベリー伯爵家からの求婚を受け入れる事に決めた。
セレスティナは父カクテスト伯爵の執務室を訪れていた。
父親の執務室でセレスティアは
一月前の仮面舞踏会で酔って誰ともわからぬ人と身体を繋げてしまった。身籠ってしまっているかもしれない。
こうなってしまったからには結婚は望めないので早目に家を出て教会へ行きたいと話した。もちろん内密に事を運ぶつもりだが、この事が周りに知れたら外聞が悪いので縁を切ってほしいとも伝えた。
カクテスト伯爵は思ってもみない事を告げられショックを受けた。セレスティナには部屋に戻りしばらくは出掛けず何も言わずに過ごすように。と厳命した。
「ティナ?どうしたの?昨日からずっと部屋に篭ったままね。体調でも悪いの?」
そう言ってマリアティナがセレスティナの部屋に訪れた。
「心配してくれてありがとう。本に夢中になりすぎて寝不足なだけよ。」
マリアティナはふふっと笑い
「そう。良かったわ。
そうそう、グランベリー伯爵家から求婚のお話をお父様はお受けすることにしたのよ。ゲイル様は次男ですので婿入りも了承してくださっているの。これでカクテスト伯爵家は安泰ね。」
そんなマリアティナの何気ない言葉に心構えがあっても傷つかないわけではない。
「マリア、…おめでとう。」
マリアティナにわからぬように平静を装いなんとか言葉を絞り出した。
「実はわたし…街外れの教会で孤児達のお世話をしようと思いますの。マリアの婚姻の前にこの家を出ようと思って。」
「えっ、ティナ。急にどうしたの?」
びっくりしてこっちを見る姉は幼く見える。いつもは美人な姉が可愛らしく見える。
きっと、ゲイル様もこんな姉に恋をしたのだろう。痛む胸を無視して
「急ではなく、前々から考えていたのです。
マリアが結婚して旦那様となられる方が来られて同じような顔をした年頃の娘がいたら戸惑われるでしょう?
子供達のお世話は嫌いではないので教会にご厄介になろうと思ってます。」
姉は一瞬顔を強張らせ
「ティナ…。ゲイル様はそんなこと気になさらないわ。いつもいただくお手紙でも私の事を気遣ってくれるとってもお優しい方なのよ。それに私の結婚でティナが教会に入るなんて。そんな外聞がわるい事をお父様は許されないでしょう。」
ゲイルが優しいのは知っている。
姉とは離れているから会う事は出来ずに手紙のやり取りや贈り物をしているらしい。姉とゲイルの仲の良さにチクリと心が痛くなる。
早く彼の事を忘れなければ。
マリアティナはセレスティナの事情を知らないからそういってくるが、お父様は早々に決められるわ。不名誉な噂が経つ前に…。
一方ゲイルもこの後仕事で王都を長期で離れるとの事で、帰ってから結婚についてゆっくり話し合いたいと言われた。
せめてゲイルが遊びで抱いたと言われたのなら身体は傷ついたが、心はここまで傷つかなかっただろう。
あの愛おしそうな熱のこもった声で呼ばれた『ティナ』は全てあの時彼の腕の中にいたセレスティナに向けてではなく、マリアティナに向けてだったのだ。
だからと言って姉のマリアティナにコンプレックスは持っていても嫌いになれない。
カクテスト伯爵家に子供はマリアティナとセレスティナの2人しかおらず、姉のマリアティナが婿を取り家を継ぐことになっている。
それならグランベリー伯爵の次男であるゲイルはうってつけだ。
ゲイルはマリアティナが好きなのだし、ゲイルはあの通り見た目も性格も身分も全てにおいて結婚相手として不足はない。きっと上手くまとまるだろう。
そうなるとセレスティナはこの家にいられない。
まさか間違えて抱いた妹が側にいるなんて真実を知ったらゲイルもマリアティナも耐えられないだろう。
良い子ちゃんに思えるかもしれないが、自分の存在が2人を不仲にさせるのは避けたいのだ。
だが、本心はセレスティナ自身が2人が仲睦まじく過ごすのを側で見守っているなんてできない。
貴族令嬢が家を出るには結婚が一番だ。
いくら最近は純潔に重きを置かなくなってきているとしても貴族の結婚では高位貴族こそ重要視する。
それに恋に敗れてしまったとはいえ好きな人がいるのに別の誰かに嫁ぐなど今のセレスティナには考えられない。
婚約の打診はグランベリー伯爵家を通じて届いた。
ゲイルはあの後すぐに騎士団の仕事で国境付近へ長期で出かけている。
だから、顔見せもしていないのですぐには婚約とはいかず、まずは2人の仲を深めていきたいと言った好意的な返事をしたそうだ。
それから1ヶ月。その間マリアティナとゲイルは手紙や贈り物を通して仲を深めていった。
そうしてカクテスト伯爵はグランベリー伯爵家からの求婚を受け入れる事に決めた。
セレスティナは父カクテスト伯爵の執務室を訪れていた。
父親の執務室でセレスティアは
一月前の仮面舞踏会で酔って誰ともわからぬ人と身体を繋げてしまった。身籠ってしまっているかもしれない。
こうなってしまったからには結婚は望めないので早目に家を出て教会へ行きたいと話した。もちろん内密に事を運ぶつもりだが、この事が周りに知れたら外聞が悪いので縁を切ってほしいとも伝えた。
カクテスト伯爵は思ってもみない事を告げられショックを受けた。セレスティナには部屋に戻りしばらくは出掛けず何も言わずに過ごすように。と厳命した。
「ティナ?どうしたの?昨日からずっと部屋に篭ったままね。体調でも悪いの?」
そう言ってマリアティナがセレスティナの部屋に訪れた。
「心配してくれてありがとう。本に夢中になりすぎて寝不足なだけよ。」
マリアティナはふふっと笑い
「そう。良かったわ。
そうそう、グランベリー伯爵家から求婚のお話をお父様はお受けすることにしたのよ。ゲイル様は次男ですので婿入りも了承してくださっているの。これでカクテスト伯爵家は安泰ね。」
そんなマリアティナの何気ない言葉に心構えがあっても傷つかないわけではない。
「マリア、…おめでとう。」
マリアティナにわからぬように平静を装いなんとか言葉を絞り出した。
「実はわたし…街外れの教会で孤児達のお世話をしようと思いますの。マリアの婚姻の前にこの家を出ようと思って。」
「えっ、ティナ。急にどうしたの?」
びっくりしてこっちを見る姉は幼く見える。いつもは美人な姉が可愛らしく見える。
きっと、ゲイル様もこんな姉に恋をしたのだろう。痛む胸を無視して
「急ではなく、前々から考えていたのです。
マリアが結婚して旦那様となられる方が来られて同じような顔をした年頃の娘がいたら戸惑われるでしょう?
子供達のお世話は嫌いではないので教会にご厄介になろうと思ってます。」
姉は一瞬顔を強張らせ
「ティナ…。ゲイル様はそんなこと気になさらないわ。いつもいただくお手紙でも私の事を気遣ってくれるとってもお優しい方なのよ。それに私の結婚でティナが教会に入るなんて。そんな外聞がわるい事をお父様は許されないでしょう。」
ゲイルが優しいのは知っている。
姉とは離れているから会う事は出来ずに手紙のやり取りや贈り物をしているらしい。姉とゲイルの仲の良さにチクリと心が痛くなる。
早く彼の事を忘れなければ。
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