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奴隷の楽園の崩壊
039_奴隷の楽園の崩壊
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大家さんから渡されたDVDはテレビ番組が録画されていた。
俺の家にプレーヤーはなかったので、パソコンをテレビにつないで再生して見た。
ただ、結果から言うと肩透かしだった。
中身は、家出人の公開捜査の番組だった。
そう言えば、以前大家さんは公開捜査の番組や警察24時みたいな番組が好きだと言っていた。
もしかしたら、渡すDVDを間違えたのかもしれない。
シロがベッドで横になっているので、手を握って一緒にDVDを見た。
3時間の特番だったので、かなりの時間があった。
その間にシロが少しでも楽になればいいなと思っていた。
タオルはぬるくなったら電子レンジで温めて、適温にした後シロの下腹に載せる。
「かみさま、ありがとうございます。気持ちいいです」
「病気じゃないから、心配しなくていいからな」
「はい・・・」
時間があるので、渡されたDVDを何となく見た。
1件目は、48歳のバリバリのサラリーマンがある日突然いなくなった話。
大学生の息子と高校生の娘、そして奥さんであり子供たちの母親が出演していた。
『お父さん帰ってきてー』
なんて画面に向かって呼びかけていた。
そのお父さんは現在どんな生活を送っているのか・・・家族でなくても心配になる話だ。
2件目は、山の中にキャンプに出掛けた親子の話。
6歳の子供が山道で突然いなくなったらしい。
その後、10年経過しても夫婦は時々山に行って、息子を探しているのだとか。
事件なのか、事故なのか、当時の足取りなどをまとめてあった。
これは辛いだろうなぁ。
3件目は、誘拐の話。
10歳の子供が誘拐されて、身代金要求の電話がかかってきたが、その後連絡が付かないというものだった。
家がモザイクかけられた状態で出ていたが、なかなかの大きな家でお金持ちなのだろう。
親御さんの気持ちを考えると胸が痛くなる話だ。
4件目は、記憶喪失の女性が出ていた。
過去の記憶がないらしく、犯罪に巻き込まれたのかもしれないと怯えていた。
覚えている情報の公開と顔も公開されていた。
このような人は何人もいるのか、全部で男女3人が登場していた。
5件目は、男子高校生の話。
食事の時間前に『ちょっと出てくる』と言い残して携帯電話を持ったまま出かけ、その後消息が途絶えたらしい。後日、少年が使っていた自転車が自宅から10km離れた場所で発見された。携帯はつながらなくなったらしい。事件なのか、事故なのか、母親の悲痛な声が画面越しに心を打った。
結局、3時間全部見てしまった。
見始めたら気になるものだ。
ただ正直、大家さんが伝えたかったことは分からない。
渡すDVDを間違えてしまっては、伝わるものも伝わらない。
今からでも、正しいものをもらいに行くか?
いや、もう遅いし、明日の方がいいのか?
気付けばシロは眠っていた。
シャツを戻して、布団をかけてやった。
ただ、シロは俺の袖を握ったまま眠っているので、どっちにしても傍を離れることはできない。
安らかに眠っているシロの寝顔を見て少し安心した。
頭をそっと撫でてやる。
生活していると、やっぱりトラブルはあるもの。
2人だけで全部解決していくのは大変だ。
今回は大家さんがいてくれて助かった。
明日、ちゃんと御礼を言いに行かないと。
俺はシロを守っていく。
そう改めて決意した。
*
その日の夜は何とも寝つきが悪かった。
やっぱりシロのことがショックだったのかもしれない。
シロは、いつものように俺の首に抱き着いて眠ったが、どこか元気がなかった。
軽くキスをして、頭を撫でてやることで眠ってしまった。
明日はシロ用の生理用品などを買いに行かなければならないな、と漠然と考えていた。
シロはまだ体調が戻っていないかもしれないので、場合によっては一人でコンビニに行くことになるかもしれない。
それに、何が必要なのも分からない。
それを大家さんに説明させるのも酷というもの。
ネットで調べて、コンビニで買えばそんなに恥ずかしい思いをしなくて済むだろう。
これからの行動が定まったら安心して眠ってしまったみたいだ。
***
(トントントン)
翌朝、朝早くにドアがノックされた。
誰だろう?
時計を見ると、まだ6時過ぎだ。
もしかしたら、大家さんだろうか。
DVDを間違えたのを今日になって気づき、急いで持ってきてくれたとか・・・
いくら何でも早すぎないか?
眠い目をこすりながらドアを開けた。
「大家さんですか?もしかして、DVDですか?」
(ガチャ)
ドアを開けると、そこにいたのは、中年と若い男の2人だった。
知らないやつだ。
反射的にドアを閉めようとすると、男が靴をドアにねじ込んで紙を見せた。
「神谷 衛だな!誘拐、監禁の容疑がかかっている。裁判所からの令状だ」
理解が追い付くより前に、男たちがドアをこじ開け室内に入っていく。
シロが体調悪くて寝ているのにも関わらずだ。
「ちょ!待て!」
男の腕を掴んで止めようとすると、若手の方の男に腕をねじ上げられ、壁にたたきつけられた。
その後も数人の男たちがずかずかと部屋に入っていった。
「待て!こら!中にはシロが!シローっ!」
「被害者保護!」
「被害者保護!」
「容疑者確保!」
「容疑者確保!」
男たちが何か唱えている。
俺はキッチンの床にたたきつけられた。
腕は相変わらず、曲がる方向と逆にねじられていて、動けない。
暴れても2人がかりで押さえられているので身動きができない。
「ちくしょー!」
一段の中には女性もいた。
シロを立たせて肩にタオルをかけている。
そして、シロを外に連れ出して行こうとする。
「かみさまー!いやー!」
シロの両脇に女性がいてシロの両腕をがっちりつかんでいる。
泣きじゃくっているのが声から分かる。
「シロー!」
暴れてももがいても全く動けず、「ジャリ」と背中の辺りで金属的な音がすると背中の方で俺は拘束されたようだった。
半ば抱えられるようにして俺もシロの後で運び出された。
この日、目が覚めてからほんの5分の出来事だった。
俺の家にプレーヤーはなかったので、パソコンをテレビにつないで再生して見た。
ただ、結果から言うと肩透かしだった。
中身は、家出人の公開捜査の番組だった。
そう言えば、以前大家さんは公開捜査の番組や警察24時みたいな番組が好きだと言っていた。
もしかしたら、渡すDVDを間違えたのかもしれない。
シロがベッドで横になっているので、手を握って一緒にDVDを見た。
3時間の特番だったので、かなりの時間があった。
その間にシロが少しでも楽になればいいなと思っていた。
タオルはぬるくなったら電子レンジで温めて、適温にした後シロの下腹に載せる。
「かみさま、ありがとうございます。気持ちいいです」
「病気じゃないから、心配しなくていいからな」
「はい・・・」
時間があるので、渡されたDVDを何となく見た。
1件目は、48歳のバリバリのサラリーマンがある日突然いなくなった話。
大学生の息子と高校生の娘、そして奥さんであり子供たちの母親が出演していた。
『お父さん帰ってきてー』
なんて画面に向かって呼びかけていた。
そのお父さんは現在どんな生活を送っているのか・・・家族でなくても心配になる話だ。
2件目は、山の中にキャンプに出掛けた親子の話。
6歳の子供が山道で突然いなくなったらしい。
その後、10年経過しても夫婦は時々山に行って、息子を探しているのだとか。
事件なのか、事故なのか、当時の足取りなどをまとめてあった。
これは辛いだろうなぁ。
3件目は、誘拐の話。
10歳の子供が誘拐されて、身代金要求の電話がかかってきたが、その後連絡が付かないというものだった。
家がモザイクかけられた状態で出ていたが、なかなかの大きな家でお金持ちなのだろう。
親御さんの気持ちを考えると胸が痛くなる話だ。
4件目は、記憶喪失の女性が出ていた。
過去の記憶がないらしく、犯罪に巻き込まれたのかもしれないと怯えていた。
覚えている情報の公開と顔も公開されていた。
このような人は何人もいるのか、全部で男女3人が登場していた。
5件目は、男子高校生の話。
食事の時間前に『ちょっと出てくる』と言い残して携帯電話を持ったまま出かけ、その後消息が途絶えたらしい。後日、少年が使っていた自転車が自宅から10km離れた場所で発見された。携帯はつながらなくなったらしい。事件なのか、事故なのか、母親の悲痛な声が画面越しに心を打った。
結局、3時間全部見てしまった。
見始めたら気になるものだ。
ただ正直、大家さんが伝えたかったことは分からない。
渡すDVDを間違えてしまっては、伝わるものも伝わらない。
今からでも、正しいものをもらいに行くか?
いや、もう遅いし、明日の方がいいのか?
気付けばシロは眠っていた。
シャツを戻して、布団をかけてやった。
ただ、シロは俺の袖を握ったまま眠っているので、どっちにしても傍を離れることはできない。
安らかに眠っているシロの寝顔を見て少し安心した。
頭をそっと撫でてやる。
生活していると、やっぱりトラブルはあるもの。
2人だけで全部解決していくのは大変だ。
今回は大家さんがいてくれて助かった。
明日、ちゃんと御礼を言いに行かないと。
俺はシロを守っていく。
そう改めて決意した。
*
その日の夜は何とも寝つきが悪かった。
やっぱりシロのことがショックだったのかもしれない。
シロは、いつものように俺の首に抱き着いて眠ったが、どこか元気がなかった。
軽くキスをして、頭を撫でてやることで眠ってしまった。
明日はシロ用の生理用品などを買いに行かなければならないな、と漠然と考えていた。
シロはまだ体調が戻っていないかもしれないので、場合によっては一人でコンビニに行くことになるかもしれない。
それに、何が必要なのも分からない。
それを大家さんに説明させるのも酷というもの。
ネットで調べて、コンビニで買えばそんなに恥ずかしい思いをしなくて済むだろう。
これからの行動が定まったら安心して眠ってしまったみたいだ。
***
(トントントン)
翌朝、朝早くにドアがノックされた。
誰だろう?
時計を見ると、まだ6時過ぎだ。
もしかしたら、大家さんだろうか。
DVDを間違えたのを今日になって気づき、急いで持ってきてくれたとか・・・
いくら何でも早すぎないか?
眠い目をこすりながらドアを開けた。
「大家さんですか?もしかして、DVDですか?」
(ガチャ)
ドアを開けると、そこにいたのは、中年と若い男の2人だった。
知らないやつだ。
反射的にドアを閉めようとすると、男が靴をドアにねじ込んで紙を見せた。
「神谷 衛だな!誘拐、監禁の容疑がかかっている。裁判所からの令状だ」
理解が追い付くより前に、男たちがドアをこじ開け室内に入っていく。
シロが体調悪くて寝ているのにも関わらずだ。
「ちょ!待て!」
男の腕を掴んで止めようとすると、若手の方の男に腕をねじ上げられ、壁にたたきつけられた。
その後も数人の男たちがずかずかと部屋に入っていった。
「待て!こら!中にはシロが!シローっ!」
「被害者保護!」
「被害者保護!」
「容疑者確保!」
「容疑者確保!」
男たちが何か唱えている。
俺はキッチンの床にたたきつけられた。
腕は相変わらず、曲がる方向と逆にねじられていて、動けない。
暴れても2人がかりで押さえられているので身動きができない。
「ちくしょー!」
一段の中には女性もいた。
シロを立たせて肩にタオルをかけている。
そして、シロを外に連れ出して行こうとする。
「かみさまー!いやー!」
シロの両脇に女性がいてシロの両腕をがっちりつかんでいる。
泣きじゃくっているのが声から分かる。
「シロー!」
暴れてももがいても全く動けず、「ジャリ」と背中の辺りで金属的な音がすると背中の方で俺は拘束されたようだった。
半ば抱えられるようにして俺もシロの後で運び出された。
この日、目が覚めてからほんの5分の出来事だった。
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