魔王退治を頼まれたので。

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どうも、カリムです

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(ぐ………。いくら魔王が死んで衰えたとはいえ、やはり近づくと割とキツいな)


魔王討伐の為はるばるやってきたこの俺イオンは、着実に魔王城へ近づいている。


門の脇にたたずむ門番に不審な目を向けられる。


心臓が小さく跳ねた。

ちなみに今の俺は魔法で「魔族に見える」という魔族化の魔法を自身にかけているから、周りからもそう見えているはずだ。

…しかし魔族化の魔法なんて滅多に使わないので、かなり不安なのだ。


「あの……」

門番に声をかける。

「…なんの用だ」

ジロリと目を向けられるが、ここで動揺してはかえって怪しまれる可能性がある。

堂々と、まっすぐに答えるのだ。

俺、いや僕は、 魔王様の執事――――カリムなのだから。

「…―――申し遅れました。この度アリカル様の執事として派遣させて頂いた、カリムと申します。以後、よろしくお願い致します」

あくまでも、丁寧に。

「…合言葉は?」

えと……リウムベリリチ、だったよな。噛んだりしたらオシマイだぞ…

「リウムベリリチ」

「…よし。入れ」

門番が、城の門の鍵をガチャリと開ける。

ホラー映画のドアみたいな音を立てて、城の門は開かれた。


ギィイイ………。


なんやかんや、俺は城には入っていないのだ。

魔王が出てきたところを見計らって同時に襲撃したから、ぶっちゃけ内部がどうなっているかは全く分からない。


―――それでも、一発でわかった。

「……!」

「ほう……お前が例の者か」


こいつが…………アリカル。

歳で言うと、見た目的には小学校低学年……大体小三から小五くらい。

(元)魔王がいたであろうでかくてゴツい席の真ん中に足を組み、こちらを見下すように座っていた。


その脇には、かすかに微笑む―――マグネの姿があった。

(うわっ……やっぱ本物ハンパねぇな。それに、あの目………)


「――……初めましてアリカル陛下。私めが今回、貴方様の執事として採用してくれましたこと、心より感謝致します。ご期待の心に応えられますよう、精一杯努めさせて頂きますので、どうぞよろしくお願い致します。」

に……魔王にそっくりだ。


………気分わりぃ。


「うふふっ…。そんな畏まらないで結構よ。まずは奥へどうぞ。お茶でも入れるわ」

くッ?!!

妻マグネの破壊力もスゴイ!!!

…妻マグネ。妻マグネ、つまむ……つ…
言いにくいな!!!


いやっ、落ち着け落ち着け。

俺はあくまでも「執事」として、ここへ来たんだ!

騙しきって見せるさ…!!





ーーーーこの時の俺はまだ知らなかった。


魔王の真実の姿に。



本当の敵の、正体に。



おわり
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