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第1章「始まり」
第9話「Eランク迷宮区3」
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勝手に動く体、高速回転する脳みそと共に俺の足はとてつもない速さで地面を蹴った。
「ちょちょちょっ……うぁあああああああああああ!!!!」
加速する体、重力が地につく脚にぐぐぐっと重みを生ませる。
これが速さか、と気づかんばかりのスピード感で驚く間もなかった。
【神様の悪戯により、スキル『高速移動Lv.1』を獲得しました】
そうか、この速さはスキルによるものなのか。
レベル1にしてはかなり早い、こう考えるとジンくんのスキル『高速移動Lv3』はどんな速さなのか。
俺をいじめる最低なやつであるのは違いないが、こんなにも速度が上がるスキルを使いこなしていると考えると改めてすごいんだな。
「って、感心してる場合じゃねぇえええええええ!!!!!」
加速する景色に合わせて、どんどんと近づいてくる猪型の魔物の影。
このままじゃぶつかってしまう、やばい! どうにかして避けないといけないけど……体が動かん!
【神様の悪戯により、神託を受けました。現在、あなたの体は神の管理下にあります。そのためあなたの意思で動かすことはできません】
はぁ!?
神の管理下にある?? 何意味不明なこと言ってんだよ、天のお姉さんよぉ!
しかし、お姉さんのが言っていることは本当で俺の意思で体を止めようにも全く止まらない。
というよりも、むしろ速くなってる。
おいおい、やばいもうぶつかるぞ!
「キィヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
すると、急速に近づいてくる俺に気づいたのか魔物がこっちを振り向いた。
ギロリと鋭い視線がものすごい速さで近づく俺を睨んでくる。ぐるりと体を向けて咆哮をあげ、前足を大きくあげてまさかの突進攻撃。
ぐるぐると回転しながら、飛び込んでくる姿が見えて、そしてすれ違う。
その一瞬だった。
俺の体が勝手に動き出してからおそらく1秒ほど。
しっかりと着地を決めて、足が地につく。
すると、体が制御下に戻ったのか、自らの意思で動くことができた。
「えっ……かるっ」
思わず口ずさんでしまった。
体が異様に軽かったのだ。さっき獲得した高速移動のスキルからくるものなのか、ググッと重さと同時に軽さが全身を襲う。
副作用か何か、変な軽さに襲われながらもすれ違ったあの魔物に目を向けるために振り返った。
そこにいたのはさっきの魔物。
あっちもしっかりと着地を決めている。
まさか、失敗でもしたのか。やっぱり、俺は最弱で動きもおかしいのか。
「へへ……そりゃそうだよな、期待なんてしてないけどさ」
ぼそっと呟きながら笑って、今度の今度こそ俺は拳を構える。
さっきの動きは俺のいつもの動きながら躱せないものだ。受け止めるにも腰を据えないと無理そうだし、とにかく調子乗ってる時間はない。
構えろ、ここで俺はまた探索者になるんだ。
しかし、そう意気込んだ瞬間だった。
「……ぅぐ」
魔物が涎を垂らし、苦しそうに泡を吐いてその場に横たわったのだ。
「え?」
いやいや、俺何もしてないぞ?
殴ってもないし、ただすれ違った……だけ、じゃなかった。
構えた拳、その右手には綺麗に血痕がついていたのだ。色は魔物の血の色でもある緑色。それがベッタリと付いていて、もう一度倒れた魔物に目を向ける。
よく見ると、そいつの腹わたに拳一個分のクレーターのようなものが出来上がっていた。
「……こ、これ……俺がやったのかよ?」
いやいや、ゴブリンじゃないんだぞ?
この猪型の魔物はさ… …えっと、名前は。
魔物の死体に鑑定用のデバイスを近づけると名前がビジョンとして空中に浮かび上がる。
【Eランク魔物「アックスホーン」】
アックスホーン。
やっぱり、Eランクの魔物だ。
俺が素手で戦って、一発で倒せる魔物じゃない。Fランクのホブゴブリンでさえも戦ったことがないくらいなんだぞ? それが……こうも簡単に倒せる訳がないだろう?
いやでも、事実倒しているっていうか……。
ぐるぐると回転する思考に、理解しようという気持ちが追いつかなかった。
今までとは違いすぎる状況、急すぎてどう考えればいいかも分からない。
……ただ、目の前に広がっている光景は事実そのものだった。
しかし、俺はブルブルと頭を横に振った。
違う、これは違うと心の中で必死に念じた。
「い、いや……ダメだ。調子に乗るな、俺。Eランクの魔物が倒せたのは異常に上がったレベルが原因なんだ。絶対にそうだ。あの上がり方は尋常ではない。そう考えればレベルが関係ないとされていた世界でも多少の向上は認められるくらいに進化したっていうことだってある」
そうだ、そうに違いない。
自ら念じて、断言する。
「ふぅ……と、とにかく次に行こう」
深呼吸をして落ち着きを取り戻し、ゆっくりと歩みを進めることにした。
☆☆☆
【神託を奪われました。探索者がスキルの秘密を発見しました】
「あの時代から100年以上、ようやく……現れたのか」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【ステータス】
〇國田元春
・スキル:神様の悪戯(F)
・ステータス(1%時)
攻撃力:999/1000
防御力:999/1000
魔法力:0/1000
魔法抵抗力:999/1000
敏捷力:999/1000
精神力:999/1000
〇アックスホーン(E)
・ステータス
攻撃力:70/1000
防御力:60/1000
魔法力:0/1000
魔法抵抗力:50/1000
敏捷力:100/1000
精神力:50/1000
【スキルリスト】
『神託予見』『知覚向上』『魔物特性』
『高速移動Lv.1』←new!
「ちょちょちょっ……うぁあああああああああああ!!!!」
加速する体、重力が地につく脚にぐぐぐっと重みを生ませる。
これが速さか、と気づかんばかりのスピード感で驚く間もなかった。
【神様の悪戯により、スキル『高速移動Lv.1』を獲得しました】
そうか、この速さはスキルによるものなのか。
レベル1にしてはかなり早い、こう考えるとジンくんのスキル『高速移動Lv3』はどんな速さなのか。
俺をいじめる最低なやつであるのは違いないが、こんなにも速度が上がるスキルを使いこなしていると考えると改めてすごいんだな。
「って、感心してる場合じゃねぇえええええええ!!!!!」
加速する景色に合わせて、どんどんと近づいてくる猪型の魔物の影。
このままじゃぶつかってしまう、やばい! どうにかして避けないといけないけど……体が動かん!
【神様の悪戯により、神託を受けました。現在、あなたの体は神の管理下にあります。そのためあなたの意思で動かすことはできません】
はぁ!?
神の管理下にある?? 何意味不明なこと言ってんだよ、天のお姉さんよぉ!
しかし、お姉さんのが言っていることは本当で俺の意思で体を止めようにも全く止まらない。
というよりも、むしろ速くなってる。
おいおい、やばいもうぶつかるぞ!
「キィヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
すると、急速に近づいてくる俺に気づいたのか魔物がこっちを振り向いた。
ギロリと鋭い視線がものすごい速さで近づく俺を睨んでくる。ぐるりと体を向けて咆哮をあげ、前足を大きくあげてまさかの突進攻撃。
ぐるぐると回転しながら、飛び込んでくる姿が見えて、そしてすれ違う。
その一瞬だった。
俺の体が勝手に動き出してからおそらく1秒ほど。
しっかりと着地を決めて、足が地につく。
すると、体が制御下に戻ったのか、自らの意思で動くことができた。
「えっ……かるっ」
思わず口ずさんでしまった。
体が異様に軽かったのだ。さっき獲得した高速移動のスキルからくるものなのか、ググッと重さと同時に軽さが全身を襲う。
副作用か何か、変な軽さに襲われながらもすれ違ったあの魔物に目を向けるために振り返った。
そこにいたのはさっきの魔物。
あっちもしっかりと着地を決めている。
まさか、失敗でもしたのか。やっぱり、俺は最弱で動きもおかしいのか。
「へへ……そりゃそうだよな、期待なんてしてないけどさ」
ぼそっと呟きながら笑って、今度の今度こそ俺は拳を構える。
さっきの動きは俺のいつもの動きながら躱せないものだ。受け止めるにも腰を据えないと無理そうだし、とにかく調子乗ってる時間はない。
構えろ、ここで俺はまた探索者になるんだ。
しかし、そう意気込んだ瞬間だった。
「……ぅぐ」
魔物が涎を垂らし、苦しそうに泡を吐いてその場に横たわったのだ。
「え?」
いやいや、俺何もしてないぞ?
殴ってもないし、ただすれ違った……だけ、じゃなかった。
構えた拳、その右手には綺麗に血痕がついていたのだ。色は魔物の血の色でもある緑色。それがベッタリと付いていて、もう一度倒れた魔物に目を向ける。
よく見ると、そいつの腹わたに拳一個分のクレーターのようなものが出来上がっていた。
「……こ、これ……俺がやったのかよ?」
いやいや、ゴブリンじゃないんだぞ?
この猪型の魔物はさ… …えっと、名前は。
魔物の死体に鑑定用のデバイスを近づけると名前がビジョンとして空中に浮かび上がる。
【Eランク魔物「アックスホーン」】
アックスホーン。
やっぱり、Eランクの魔物だ。
俺が素手で戦って、一発で倒せる魔物じゃない。Fランクのホブゴブリンでさえも戦ったことがないくらいなんだぞ? それが……こうも簡単に倒せる訳がないだろう?
いやでも、事実倒しているっていうか……。
ぐるぐると回転する思考に、理解しようという気持ちが追いつかなかった。
今までとは違いすぎる状況、急すぎてどう考えればいいかも分からない。
……ただ、目の前に広がっている光景は事実そのものだった。
しかし、俺はブルブルと頭を横に振った。
違う、これは違うと心の中で必死に念じた。
「い、いや……ダメだ。調子に乗るな、俺。Eランクの魔物が倒せたのは異常に上がったレベルが原因なんだ。絶対にそうだ。あの上がり方は尋常ではない。そう考えればレベルが関係ないとされていた世界でも多少の向上は認められるくらいに進化したっていうことだってある」
そうだ、そうに違いない。
自ら念じて、断言する。
「ふぅ……と、とにかく次に行こう」
深呼吸をして落ち着きを取り戻し、ゆっくりと歩みを進めることにした。
☆☆☆
【神託を奪われました。探索者がスキルの秘密を発見しました】
「あの時代から100年以上、ようやく……現れたのか」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【ステータス】
〇國田元春
・スキル:神様の悪戯(F)
・ステータス(1%時)
攻撃力:999/1000
防御力:999/1000
魔法力:0/1000
魔法抵抗力:999/1000
敏捷力:999/1000
精神力:999/1000
〇アックスホーン(E)
・ステータス
攻撃力:70/1000
防御力:60/1000
魔法力:0/1000
魔法抵抗力:50/1000
敏捷力:100/1000
精神力:50/1000
【スキルリスト】
『神託予見』『知覚向上』『魔物特性』
『高速移動Lv.1』←new!
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