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第4話「幼馴染は勉強する」
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「よし、先生から最後に言っておくぞ~~。来週の木曜日から夏休みだから、それまでの月火水は期末テストだっ。全員、もちろん勉強してきていると思うがくれぐれも赤点だけは取らないように、というかうちのクラスの目標は平均以上! 足を引っ張ったやつには便所掃除居残りの刑だから気を付けるように!」
高校の中でも大人気である我らが木村先生がその豊満な胸を張りながらそう言った。お姉さんのような優しさと美貌で生徒たちを虜にして、勉強ではスパルタで教えるのが先生のやり方。おお! と歓声を上げる中、俺は窓の外を見つめていた。
「なぁ、和人っ。さすが我らのきむちゃんだな!」
「そうだな、きむちゃんは凄いと思うぞ? あの勉強に対する執着がな……教育委員会に訴えられるぞ」
「ははっ。掃除くらい別にいいだろ」
「掃除じゃない、便所掃除だ! 俺はやりたくねぇぞ絶対」
「それは和人の努力次第だなっ」
「っちぇ」
笑いながらいじくってくる俊介。腐れ縁とはいえ、それがためにちょうどいいラインを攻めてくるのがくすぐったい。
「——特にっ、霧島!」
「っは、はい!?」
「お前は中間テストひどかったと聞くっ。取ったら二倍だからな!」
「え、ちょっ! それはさすがに!!」
「ははっ、嫌なら単位はやらんぞ!」
「っく——そんなのずるいじゃないすか……」
ぐっと奥歯を噛み締めたがきむちゃんの高笑いは止まらない。クラスの連中も俺の事を下だと思っているのか声を出して笑っていた。ほんと、頭の悪い奴には厳しい世界だ。足が速くてモテていた小学生の頃に戻りたいぜ、まったく。
「————ってことで、四葉。お前に勉強を乞いたい」
「はぁ?」
見っともないと言われたらそれまでだが、俺も俺で必死なのだ。このくらいは許してもらいたい。成績優秀、容姿端麗な幼馴染である高嶺四葉様を頼るほか道はないだろう。
「だから、勉強を教えてくれ!」
頭の上で手を結んで、神に祈りを捧げるようにお願いするが四葉の軽蔑するような目が止まらない。
「っく、俺も悔しいがお前しか頼れる人間がいないんだ!」
「——っ。た、頼れるって……」
「あぁ、お願いだ!!」
本当に悔しいが彼女は学年トップ10に入るほどの秀才、そんな人間が同じ家に居れば誰でも教えを乞うはずだろう。その予想に従い、俺も実行したということだ。
「って!! なんで私があんたなんかに勉強を教えなきゃいけないのよ!! そのくらい自分でやりなさいよ!」
「自分でできないから頼んでるんだっ、必死だからマジで頼むよ!!」
情けも容赦もしない。
俺は深く頭を下げるのみ。
ふかく、ふかく、そしてふかく。
顔を上げれば、四葉の短い制服のスカートからパンツが覗けることができる位置まで頭を下げていく。
「——あ、あたま下げ過ぎ!! きもいから!!」
「きもくたってどうでもいいんだ、死ぬ気で頼んでるんだ!! まじで頼むよ!!」
「っ! き、きもいからもうやめてってば!!」
「お願いだ!! 四葉!!」
「や、やめてよ!! な、なんで私だけ——っ」
「四葉、お前しかいなんだよ! お前だけなんだ!!」
臭い? それともキモイ?
そんなことは知らない、便所掃除なんてしたくないし、そのためならプライドなんて地に捨ててやる。俺はそういう男なんだ。
「——い、いるじゃん。木戸くんとかっ……」
「あいつも頭は良いが、四葉には及ばないっ……力不足なんだ……」
「っほ、ほかには——」
「他はいない!! 四葉だけしかいないんだ!!」
カッコ悪い? そんなこともどうでもいい。とにかく必死で頼んでやるのだよ、これが俺なりの生存競争だからな。
そして、まるで漫画の主人公が最終回前にヒロインに告白するように、家のリビングにて俺は叫ぶ。ビクッと跳ねた肩に目を付けて立ち上がり、俺はその華奢な身体をしっかりと掴んだ。
「なぁ、頼むよ——っ!!」
最後に目を見て、締めの一発。
会心の一撃だ。
数秒の沈黙の果てに四葉がゆっくりと口を開いた。
頬を赤らめ、足を震わせながら放たれたのは小さな小さな了承の言葉だった。
「そ、そんなに言うのならい、いいけd……ども……」
ふわりと揺れた赤毛のショートボブと共に、小さな唇がふにゃっと歪む。部屋に射しこんだ夕日に照らされながらこくりと頷く四葉はまるで告白を受ける乙女の様な顔をしていて……。
心なしか、嫌でもなさそうな雰囲気だった。
「あ、ありがとぉ!!」
肩を掴んだ手を離し、握り締めるように彼女の小さな手を握り締める。しかし、そこで正気に戻ったのか、平手打ちが右頬に炸裂し、一日だけ顔の右側がはれ上がったのはまた今度、話すとしよう。
ただ、でも。
そうやって頑張って答える姿がどうも心にグッときて、途轍もなくドキドキするのは言わない方がいいだろう。
「……ほんと、かわいいな」
「——な、なにを急に……ご、ご機嫌取り?」
「本音だ!」
「うるさい、〇ね!」
残念ながら、俺はMじゃないんだよ、四葉。
高校の中でも大人気である我らが木村先生がその豊満な胸を張りながらそう言った。お姉さんのような優しさと美貌で生徒たちを虜にして、勉強ではスパルタで教えるのが先生のやり方。おお! と歓声を上げる中、俺は窓の外を見つめていた。
「なぁ、和人っ。さすが我らのきむちゃんだな!」
「そうだな、きむちゃんは凄いと思うぞ? あの勉強に対する執着がな……教育委員会に訴えられるぞ」
「ははっ。掃除くらい別にいいだろ」
「掃除じゃない、便所掃除だ! 俺はやりたくねぇぞ絶対」
「それは和人の努力次第だなっ」
「っちぇ」
笑いながらいじくってくる俊介。腐れ縁とはいえ、それがためにちょうどいいラインを攻めてくるのがくすぐったい。
「——特にっ、霧島!」
「っは、はい!?」
「お前は中間テストひどかったと聞くっ。取ったら二倍だからな!」
「え、ちょっ! それはさすがに!!」
「ははっ、嫌なら単位はやらんぞ!」
「っく——そんなのずるいじゃないすか……」
ぐっと奥歯を噛み締めたがきむちゃんの高笑いは止まらない。クラスの連中も俺の事を下だと思っているのか声を出して笑っていた。ほんと、頭の悪い奴には厳しい世界だ。足が速くてモテていた小学生の頃に戻りたいぜ、まったく。
「————ってことで、四葉。お前に勉強を乞いたい」
「はぁ?」
見っともないと言われたらそれまでだが、俺も俺で必死なのだ。このくらいは許してもらいたい。成績優秀、容姿端麗な幼馴染である高嶺四葉様を頼るほか道はないだろう。
「だから、勉強を教えてくれ!」
頭の上で手を結んで、神に祈りを捧げるようにお願いするが四葉の軽蔑するような目が止まらない。
「っく、俺も悔しいがお前しか頼れる人間がいないんだ!」
「——っ。た、頼れるって……」
「あぁ、お願いだ!!」
本当に悔しいが彼女は学年トップ10に入るほどの秀才、そんな人間が同じ家に居れば誰でも教えを乞うはずだろう。その予想に従い、俺も実行したということだ。
「って!! なんで私があんたなんかに勉強を教えなきゃいけないのよ!! そのくらい自分でやりなさいよ!」
「自分でできないから頼んでるんだっ、必死だからマジで頼むよ!!」
情けも容赦もしない。
俺は深く頭を下げるのみ。
ふかく、ふかく、そしてふかく。
顔を上げれば、四葉の短い制服のスカートからパンツが覗けることができる位置まで頭を下げていく。
「——あ、あたま下げ過ぎ!! きもいから!!」
「きもくたってどうでもいいんだ、死ぬ気で頼んでるんだ!! まじで頼むよ!!」
「っ! き、きもいからもうやめてってば!!」
「お願いだ!! 四葉!!」
「や、やめてよ!! な、なんで私だけ——っ」
「四葉、お前しかいなんだよ! お前だけなんだ!!」
臭い? それともキモイ?
そんなことは知らない、便所掃除なんてしたくないし、そのためならプライドなんて地に捨ててやる。俺はそういう男なんだ。
「——い、いるじゃん。木戸くんとかっ……」
「あいつも頭は良いが、四葉には及ばないっ……力不足なんだ……」
「っほ、ほかには——」
「他はいない!! 四葉だけしかいないんだ!!」
カッコ悪い? そんなこともどうでもいい。とにかく必死で頼んでやるのだよ、これが俺なりの生存競争だからな。
そして、まるで漫画の主人公が最終回前にヒロインに告白するように、家のリビングにて俺は叫ぶ。ビクッと跳ねた肩に目を付けて立ち上がり、俺はその華奢な身体をしっかりと掴んだ。
「なぁ、頼むよ——っ!!」
最後に目を見て、締めの一発。
会心の一撃だ。
数秒の沈黙の果てに四葉がゆっくりと口を開いた。
頬を赤らめ、足を震わせながら放たれたのは小さな小さな了承の言葉だった。
「そ、そんなに言うのならい、いいけd……ども……」
ふわりと揺れた赤毛のショートボブと共に、小さな唇がふにゃっと歪む。部屋に射しこんだ夕日に照らされながらこくりと頷く四葉はまるで告白を受ける乙女の様な顔をしていて……。
心なしか、嫌でもなさそうな雰囲気だった。
「あ、ありがとぉ!!」
肩を掴んだ手を離し、握り締めるように彼女の小さな手を握り締める。しかし、そこで正気に戻ったのか、平手打ちが右頬に炸裂し、一日だけ顔の右側がはれ上がったのはまた今度、話すとしよう。
ただ、でも。
そうやって頑張って答える姿がどうも心にグッときて、途轍もなくドキドキするのは言わない方がいいだろう。
「……ほんと、かわいいな」
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残念ながら、俺はMじゃないんだよ、四葉。
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