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第六章 まだ願いごとが叶った頃

150 僕の彼女へのプレゼント ④

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 月曜、若葉ちゃんと食堂でお昼を食べることになった。「三浦先生がとても丁寧に和訳を見てくださったので、少し遅くなります。待たせてごめんね!」という連絡がきたので、席を取ってぼんやり考える。

 やっぱり僕は気の利かない男だ。
 菜の花の帯留めは若葉ちゃんにぴったりだと感じたし、とても喜んでくれたと思う。
 でも、着物なんてそんなに着るものじゃない。ネックレスとか、指輪とか、もっと普段から身に着けられるようなアクセサリーを贈った方がよかったんじゃないだろうか。

「新くん!」

 呼びかけられて振り向くと、にこにこ笑って立っている若葉ちゃんがいた。

「ごめんね。遅くなって」
「ううん。僕もさっき来たところだから」
「ねえ! 見て! 見て!」
「ん?」

 若葉ちゃんが髪を指す。今日も定番のフィッシュボーン。共食いの印象が強烈で、名前を覚えてしまった。
 あ……!

「すっごく気に入っちゃったから、ヘアゴム通して髪飾りにしちゃった!」
「……ありがとう」
「もちろん、着物を着る時は、本来の帯留めとして使うね! 振袖、せっかく誂えてもらったから、これからもたくさん着ようと思ってるの! 新くん! こちらこそ本当にありがとう!」

 若葉ちゃんが本当にぴかぴかの笑顔でそう言ってくれるから、なんだか今度は僕の方が泣きそうになってしまって。

 僕が失敗したり、気の利いたことができなくても、若葉ちゃんは温かく受け止めてくれるし、時には素敵にアレンジしてくれる。なんて優しいんだろう。

 若葉ちゃんは世界で一番素敵な女の子。



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Once upon a time
Zur Zeit, wo das Wünschen noch geholfen hat,
昔々、まだ願いごとが叶った頃。
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