14 / 25
本編
第七日
しおりを挟む
婚礼衣装を着せられている間、コンスタンツェはぼんやりと考えていた。結局、婚礼当日までアレクサンドル陛下と会うことはなかった、と。
父王に手を引かれ、教会の門をくぐる。光り輝く祭壇の前に、コンスタンツェの結婚相手が立っていた。彼が振り向き、コンスタンツェに初めてその顔を見せた時、彼女は愕然とした。軍神の二つ名を持つ、金の髪に翠の瞳の若き皇帝。その面立ちは、この六夜、コンスタンツェの部屋を訪れていたサーシャのものだったから。
コンスタンツェは不意に家令が言っていたことを思い出した。
『若者は薄いレンズを目に入れて、視力を矯正していることが多いです』
『魔法薬は、医療に使うものだけでなく、媚薬や、簡単な変化に使うものまで、多種多様です』
アレクサンドルは魔法の力で姿を偽っていたのだ。ずっと会いたいと望んでいた相手と既に会っていた事実は、コンスタンツェを混乱させた。そんな彼女の気持ちを置き去りに、式は粛々と進行していく。コンスタンツェはいつのまにか署名をさせられ、アレクサンドルと誓いのくちづけを交わしていた。神と民の前で交わす、永遠の契約。
王城に戻るとコンスタンツェは侍女達のなすがままになった。香油を塗りこめられ、香を焚きしめられ、薄絹を纏ったコンスタンツェは、まるで春の女神のようだと絶賛された。長い間雪に閉ざされるこの国で、春は本当に心から待ち望まれるものなのだ、と。鏡に映る自分を見て、今日は婚礼でもうすぐ初夜を迎えるのだと、コンスタンツェは否が応でも意識させられた。
父王に手を引かれ、教会の門をくぐる。光り輝く祭壇の前に、コンスタンツェの結婚相手が立っていた。彼が振り向き、コンスタンツェに初めてその顔を見せた時、彼女は愕然とした。軍神の二つ名を持つ、金の髪に翠の瞳の若き皇帝。その面立ちは、この六夜、コンスタンツェの部屋を訪れていたサーシャのものだったから。
コンスタンツェは不意に家令が言っていたことを思い出した。
『若者は薄いレンズを目に入れて、視力を矯正していることが多いです』
『魔法薬は、医療に使うものだけでなく、媚薬や、簡単な変化に使うものまで、多種多様です』
アレクサンドルは魔法の力で姿を偽っていたのだ。ずっと会いたいと望んでいた相手と既に会っていた事実は、コンスタンツェを混乱させた。そんな彼女の気持ちを置き去りに、式は粛々と進行していく。コンスタンツェはいつのまにか署名をさせられ、アレクサンドルと誓いのくちづけを交わしていた。神と民の前で交わす、永遠の契約。
王城に戻るとコンスタンツェは侍女達のなすがままになった。香油を塗りこめられ、香を焚きしめられ、薄絹を纏ったコンスタンツェは、まるで春の女神のようだと絶賛された。長い間雪に閉ざされるこの国で、春は本当に心から待ち望まれるものなのだ、と。鏡に映る自分を見て、今日は婚礼でもうすぐ初夜を迎えるのだと、コンスタンツェは否が応でも意識させられた。
10
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
狼隊長さんは、私のやわはだのトリコになりました。
汐瀬うに
恋愛
目が覚めたら、そこは獣人たちの国だった。
元看護師の百合は、この世界では珍しい“ヒト”として、狐の婆さんが仕切る風呂屋で働くことになる。
与えられた仕事は、獣人のお客を湯に通し、その体を洗ってもてなすこと。
本来ならこの先にあるはずの行為まで求められてもおかしくないのに、百合の素肌で背中を撫でられた獣人たちは、皆ふわふわの毛皮を揺らして眠りに落ちてしまうのだった。
人間の肌は、獣人にとって子犬の毛並みのようなもの――そう気づいた時には、百合は「眠りを売る“やわはだ嬢”」として静かな人気者になっていた。
そんな百合の元へある日、一つの依頼が舞い込む。
「眠れない狼隊長を、あんたの手で眠らせてやってほしい」
戦場の静けさに怯え、目を閉じれば仲間の最期がよみがえる狼隊長ライガ。
誰よりも強くあろうとする男の震えに触れた百合は、自分もまた失った人を忘れられずにいることを思い出す。
やわらかな人肌と、眠れない心。
静けさを怖がるふたりが、湯気の向こうで少しずつ寄り添っていく、獣人×ヒトの異世界恋愛譚。
[こちらは以前あげていた「やわはだの、お風呂やさん」の改稿ver.になります]
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる