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08. パーティー×パーティー ②
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綺羅、星の如し。対面した二人の仲間は、非常に麗しい若い男女であった。二人とも纏う衣服が大変上等なものだと、流行に疎いリリアンにも一目でわかった。生地の織りと艶が大変美しかったからである。さすがは貴族。
「はじめましてー! 俺のことはブノワって呼んでくれたらいいから。お名前は?」
「はじめまして、リリアンです」
「へえ! 可憐な君にぴったりの素敵な名前だね! ジェラール、今回はずいぶん可愛い女の子を連れてきたねえ!」
「……ブノワ」
ジェラールが低い声で苦々しげに言うので、ブノワは肩をすくめる。
魔術師のブノワは華やかな雰囲気の美形だ。やや長めの銀髪を無造作に束ねているが、雑ではなく粋でこなれた感じに見える。紫色の瞳が非常に印象的で、妙な色気を放っているから、見つめられて口説かれたら大抵の女性は断れないのではないか、とリリアンは思った。そんな風に思うのは、リリアンが「大抵の女性」から外れているからである。
「こっちは僧侶のアニエスだ」
「はじめまして、リリアンです。よろしくお願いします」
「よろしく」
僧侶の方はその一言で終わってしまった。なるほど、それを見越してジェラールは名前まで教えてくれたのか、とリリアンは思う。きっと彼女は、無駄なことをしない。
アニエスは、金を紡いだような美しくまっすぐな長い髪に、深い蒼の双眸を持った、文句なしの美人だ。少しそっけないところが神秘的な雰囲気を醸し出しているし、僧衣で隠れているにもかかわらず非常に胸が大きいことが見て取れ、聖と俗の相反する要素が不思議な色気を生じさせている。「下手に露出があるより隠されてる方が想像をかきたててエロい」と昔出入りしていた刀鍛冶見習い達が話しているのをうっかり耳にしたことがあったが、数年越しにリリアンは納得していた。
魔術師のブノワはチャラ……もとい気さくだが、僧侶のアニエスは確かに高貴な生まれという空気がひしひしと伝わってくるし、本人が自覚しているどうかはわからないが、圧さえある。
ジェラールが言っていた「一人は能力そのものが欠けている」「もう一人は能力はそこそこあるのにやる気が全くない」という生活力。おそらく欠けているのがブノワで、やる気がないのがアニエスなのだろうとリリアンは思った。
「かんぱーい!」
リリアンがパーティーに新規加入したので、歓迎会がてら王都で最も人気がある食堂へ行くことになった。舌の肥えたブノワが好む店は、王都でも数軒しかないのだそうだ。
「おいしい!」
「だよねえ? ジェラールはなかなかここで食事させてくれないんだよ。毎日ここで食事できたらいいのになあ」
「ない袖は振れないだろう。もっと働いてくれ……」
名の知れた勇者の属するパーティーなのに、世知辛い。リリアンは料理を食べていいのかな? という気持ちになった。アニエスは黙々と食べ続けている。
「ほら、魔力使うと疲れるからさ。体力温存のためにも、無理な労働はよくないよ。生きているのがなにより大事だし、楽しまないとねえ!」
「ブノワの魔力は多いんだろう? 神の力を宿すアニエスの方が負担は大きいと聞くが?」
「戦闘以外で無駄なことはしないから、大丈夫」
快楽主義の魔術師と禁欲的な僧侶と中庸の槍使い。リリアンはそんな風に仲間の性格をざっくり判断する。この二人の調整役として、ジェラールは大変だったんだろうな、と思いつつ、黙って料理を食べる。どれを口にしてもおいしい。
「ジェラールは強いからさあ、もっとたくさん魔物を仕留めてよ。夢に近づくし、お金も稼げて、一石二鳥じゃない」
「夢?」
リリアンが訊ねると、ブノワとアニエスは口を揃えて答えた。
「「世界平和」」
「世界、平和……」
ずいぶん壮大な話である。目の前のジェラールを見ると、困ったように下を向き、手で顔を覆っていた。
「はじめましてー! 俺のことはブノワって呼んでくれたらいいから。お名前は?」
「はじめまして、リリアンです」
「へえ! 可憐な君にぴったりの素敵な名前だね! ジェラール、今回はずいぶん可愛い女の子を連れてきたねえ!」
「……ブノワ」
ジェラールが低い声で苦々しげに言うので、ブノワは肩をすくめる。
魔術師のブノワは華やかな雰囲気の美形だ。やや長めの銀髪を無造作に束ねているが、雑ではなく粋でこなれた感じに見える。紫色の瞳が非常に印象的で、妙な色気を放っているから、見つめられて口説かれたら大抵の女性は断れないのではないか、とリリアンは思った。そんな風に思うのは、リリアンが「大抵の女性」から外れているからである。
「こっちは僧侶のアニエスだ」
「はじめまして、リリアンです。よろしくお願いします」
「よろしく」
僧侶の方はその一言で終わってしまった。なるほど、それを見越してジェラールは名前まで教えてくれたのか、とリリアンは思う。きっと彼女は、無駄なことをしない。
アニエスは、金を紡いだような美しくまっすぐな長い髪に、深い蒼の双眸を持った、文句なしの美人だ。少しそっけないところが神秘的な雰囲気を醸し出しているし、僧衣で隠れているにもかかわらず非常に胸が大きいことが見て取れ、聖と俗の相反する要素が不思議な色気を生じさせている。「下手に露出があるより隠されてる方が想像をかきたててエロい」と昔出入りしていた刀鍛冶見習い達が話しているのをうっかり耳にしたことがあったが、数年越しにリリアンは納得していた。
魔術師のブノワはチャラ……もとい気さくだが、僧侶のアニエスは確かに高貴な生まれという空気がひしひしと伝わってくるし、本人が自覚しているどうかはわからないが、圧さえある。
ジェラールが言っていた「一人は能力そのものが欠けている」「もう一人は能力はそこそこあるのにやる気が全くない」という生活力。おそらく欠けているのがブノワで、やる気がないのがアニエスなのだろうとリリアンは思った。
「かんぱーい!」
リリアンがパーティーに新規加入したので、歓迎会がてら王都で最も人気がある食堂へ行くことになった。舌の肥えたブノワが好む店は、王都でも数軒しかないのだそうだ。
「おいしい!」
「だよねえ? ジェラールはなかなかここで食事させてくれないんだよ。毎日ここで食事できたらいいのになあ」
「ない袖は振れないだろう。もっと働いてくれ……」
名の知れた勇者の属するパーティーなのに、世知辛い。リリアンは料理を食べていいのかな? という気持ちになった。アニエスは黙々と食べ続けている。
「ほら、魔力使うと疲れるからさ。体力温存のためにも、無理な労働はよくないよ。生きているのがなにより大事だし、楽しまないとねえ!」
「ブノワの魔力は多いんだろう? 神の力を宿すアニエスの方が負担は大きいと聞くが?」
「戦闘以外で無駄なことはしないから、大丈夫」
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