【R18】君に長寿と繁栄を~淫紋を解呪するたったひとつの冴えたやりかた~

テキイチ

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12. 新たな取り引き先 ③

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 リリアンは大通りからもう一本奥の道に入った。しばらく歩くと道がとても綺麗に掃除されていることに気づく。顔を上げると、《道具屋エドモン》と彫られた看板があった。古いが、丁寧な細工が施されていて、きちんと手入れもされている、美しい看板。いいお店だとリリアンは直感し、そっと扉を開いた。

 誰もいない。扉を開ける時に鈴が鳴ったので、店主がいるなら出てくるだろうと思い、リリアンは店内を見て回ることにした。掃除が行き届いていて、きちんと整理されているが、とにかく種類が多い。たくさんの本がいくつかの棚を占めていて、薬草、魔石、武器、防具と、冒険にうってつけの道具が揃っている。家業からやはり刃物が気になり、手に取ろうとした時、店の奥の扉が開く。

「いらっしゃい」

 そっけない低い声。リリアンが声の方を見ると、不愛想な老人が立っている。あるじにちなんだ店名ならば、おそらく彼がエドモンなのだろう。

「こんにちは! 少し見せてもらってもいいですか?」
「どうぞ」

 いきなり獲物を売りたいと言っても信用してもらえないと思ったリリアンは、作戦を立てた。道具屋を見つけたら、まず品揃えを見て、どんな店なのか推測する。よさそうならば安い品を買い、引き換えに獲物を買い取ってもらえるか話を切り出せばいいのではないか、と。

 手に取った剣は細身で軽い。ゆっくり鞘から抜く。リリアンはなんだか懐かしさを感じ、理由にすぐ気づいた。父が打った剣だ。さりげなく刻まれたVulcānusの文字。マルセルの剣ならば軽くても強いし、長さもアニエスにぴったりだ。そう思ってリリアンは値段を確認し、暗い気持ちになった。

「……本当に、このお値段ですか?」
「それが何か?」
「あまりにも安すぎます……」

 店に入る前は安い品があるといいなと思っていたはずなのに。いざ、マルセルの作った剣に安い値がつけられていると、価値がないと言われたようにリリアンは感じてしまった。父が魂を込めて一振り一振り打っていることを知っているから、悔しくてたまらなくなったのだ。

「捨て値だからな」
「捨て値……」

 リリアンの顔色がますます冴えなくなったのを見て、店主は続ける。

「破産した成金の家財が売りに出されていて、競り落としたもののおまけでその剣を手に入れた。嗜好品なら高値を付けて稼ぐのも悪くないが、実用品は使われてこそだろう。無料ただで手に入れたのだし、若くて金がない冒険者でも買える値にしておこうかと思っただけだ。そっけない意匠だが、いい剣だ」

 リリアンの気持ちは一気に明るくなる。店主はマルセルの剣の価値をわかってくれていた。
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