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14. 名前とお買い得物件 ①
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「リリアンには魔石が必要よ」
「確かに」
火を囲んで食事を続けていると、アニエスが唐突に話を切り出してきて、ブノワも同意した。リリアンは魔術を使えないし、魔石にも詳しくない。よくわからない、と思い、首を傾げると、ジェラールと目が合った。
「アニエス、リリアンに理由を教えてやってくれ。意味がわかっていない」
アニエスは語る。
リリアンは身を護る術を持たない。だが、冒険者の活動は過酷だ。環境は劣悪で、いつ魔物に襲われるかもわからない。だから、加護のために魔石を持つといい。石英の類ならまず間違いはないが、攻撃力を上げるものや、逆に敵の攻撃力を下げるものや、体力回復のためにも、いろいろ検討の余地はある。複数購入して組み合わせてもいいだろう。
月長石は癒しと幸運の加護があり、優しい雰囲気がリリアンにも合っている。蛋白石は硬度が低いのが難だが、「宝石の中の宝石」の名にふさわしい遊色が素晴らしく、幸運を呼び直感力を高める効能も危機回避に役立つだろう。瑠璃の守護力はもちろんのこと、ほのかに煌めく金色がたまらない。虎目石の強い力は、行動力と洞察力を高めてくれ、成功へと導いてくれるだろう。孔雀石の邪気を祓う効果は絶大で、美しい緑の縞模様はリリアンの瞳の色とも相性がよさそうだ。
いつもよりもずいぶん長い尺で喋っている。現在進行形で。個々の石の解説に入ったところでリリアンはなんとなく察した。表情は動かないし、口調も淡々としているが、おそらくアニエスは興奮している。石オタク。リリアンを心配する気持ちも嘘ではないだろうが、それよりもたぶん、石について語りたい。
「リリアンの首飾りの薔薇石英はとても可愛いけれど、加護の力が少し弱い」
「弟が王都に出る餞に作ってくれたの」
「餞ということならわかる。癒しの力があるし、人間関係の向上にも効果がある石だから」
「ジェラール。魔石用のお金、リリアンにあげてよ」
「わかった」
ブノワの言葉にジェラールは頷き、立ち上がった。ジェラールの天幕で報酬を管理しているため、リリアンはジェラールの後についていく。小袋を手にジェラールが出てきた時、リリアンはちょうどいい機会だと思い、気になっていたことを訊ねてみた。
「このパーティーのリーダーはジェラールよね?」
「一応、そういうことになっている」
「一応?」
「ブノワから指名されただけで、俺は単なるお飾りだ。司令塔はブノワで、判断はほとんどあいつが下している」
リーダーはジェラールなのに司令塔はブノワ? リリアンが疑問符を浮かべているとジェラールは丁寧に説明してくれる。
「ギルドに入るには、本来、紹介状が必要なんだ。槍の師匠に書いてもらえばよかったのだが、師匠もちょっと浮世離れしたところがあり、そういう世間の常識みたいなのとは無縁に生きていて……。どこの冒険者ギルドからも断られて、拾ってくれたのは『白い死神』だけだった」
まさかの、リリアンと同じ経緯である。紹介状が必要ということを知らなかったのは、リリアンも同じだ。世間知らず。
「確かに」
火を囲んで食事を続けていると、アニエスが唐突に話を切り出してきて、ブノワも同意した。リリアンは魔術を使えないし、魔石にも詳しくない。よくわからない、と思い、首を傾げると、ジェラールと目が合った。
「アニエス、リリアンに理由を教えてやってくれ。意味がわかっていない」
アニエスは語る。
リリアンは身を護る術を持たない。だが、冒険者の活動は過酷だ。環境は劣悪で、いつ魔物に襲われるかもわからない。だから、加護のために魔石を持つといい。石英の類ならまず間違いはないが、攻撃力を上げるものや、逆に敵の攻撃力を下げるものや、体力回復のためにも、いろいろ検討の余地はある。複数購入して組み合わせてもいいだろう。
月長石は癒しと幸運の加護があり、優しい雰囲気がリリアンにも合っている。蛋白石は硬度が低いのが難だが、「宝石の中の宝石」の名にふさわしい遊色が素晴らしく、幸運を呼び直感力を高める効能も危機回避に役立つだろう。瑠璃の守護力はもちろんのこと、ほのかに煌めく金色がたまらない。虎目石の強い力は、行動力と洞察力を高めてくれ、成功へと導いてくれるだろう。孔雀石の邪気を祓う効果は絶大で、美しい緑の縞模様はリリアンの瞳の色とも相性がよさそうだ。
いつもよりもずいぶん長い尺で喋っている。現在進行形で。個々の石の解説に入ったところでリリアンはなんとなく察した。表情は動かないし、口調も淡々としているが、おそらくアニエスは興奮している。石オタク。リリアンを心配する気持ちも嘘ではないだろうが、それよりもたぶん、石について語りたい。
「リリアンの首飾りの薔薇石英はとても可愛いけれど、加護の力が少し弱い」
「弟が王都に出る餞に作ってくれたの」
「餞ということならわかる。癒しの力があるし、人間関係の向上にも効果がある石だから」
「ジェラール。魔石用のお金、リリアンにあげてよ」
「わかった」
ブノワの言葉にジェラールは頷き、立ち上がった。ジェラールの天幕で報酬を管理しているため、リリアンはジェラールの後についていく。小袋を手にジェラールが出てきた時、リリアンはちょうどいい機会だと思い、気になっていたことを訊ねてみた。
「このパーティーのリーダーはジェラールよね?」
「一応、そういうことになっている」
「一応?」
「ブノワから指名されただけで、俺は単なるお飾りだ。司令塔はブノワで、判断はほとんどあいつが下している」
リーダーはジェラールなのに司令塔はブノワ? リリアンが疑問符を浮かべているとジェラールは丁寧に説明してくれる。
「ギルドに入るには、本来、紹介状が必要なんだ。槍の師匠に書いてもらえばよかったのだが、師匠もちょっと浮世離れしたところがあり、そういう世間の常識みたいなのとは無縁に生きていて……。どこの冒険者ギルドからも断られて、拾ってくれたのは『白い死神』だけだった」
まさかの、リリアンと同じ経緯である。紹介状が必要ということを知らなかったのは、リリアンも同じだ。世間知らず。
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