【R18】君に長寿と繁栄を~淫紋を解呪するたったひとつの冴えたやりかた~

テキイチ

文字の大きさ
27 / 55

27. 恋の吊り橋理論 ②

しおりを挟む
「え……?」
「世界の果てって、そういう洒落だったのか!」

 あははと背後からブノワの乾いた笑い声が聞こえる。目線の先には細く長く簡素で古びた吊り橋が一本架かっているだけ。四人はもうずいぶん登っているので、落ちたらきっとこの世界からいなくなる。命が果ててしまうだろう。

「この橋は最近になってから、裏で取り引きしていた奴らが利便のために架けたものだ。精製すると、常習性のある幻覚を見せる薬物にもできるらしい。そいつらが摘発され、押収された薬草を研究所が調べ、『世界の果ての薬草』はこれだと結論付けた」
「その時点で、道を整備するなり、薬草の研究費を出すなりしてやればいいのに」
「つまり、この橋を渡った先が目的地なのね?」

 世知辛い話だなと思っていたところで、アニエスが訊ねてきたので、リリアンはあわてて答える。

「ええ。橋を渡ってすぐの、ひんやりした洞窟の中に、生息しているんですって」
「この橋は四人いっぺんには渡れないでしょう。私は一人で行くわ」
「え?」

 アニエスは詠唱する。金色の光に包まれ、浮き上がった彼女は、そのまま吊り橋の上を滑るように高速で進んでいった。浮いているので、吊り橋は全く揺れない。

「……じゃあ、俺はアニエスを指標にして転移するから。悪いけど、三人一緒に転移する余力はない。向こうで待ってる」

 ブノワも続けて詠唱し、しゅっと姿を消した。残されたジェラールとリリアンは顔を見合わせる。何が起こったかよくわからない。

「あいつら……自由過ぎだろ……」

 ジェラールはあきれたようにつぶやき、背嚢に槍を入れる。この状況なので、両手は空いている方がたしかにいい。
 ジェラールはリリアンが贈った背嚢を使い始めてからも、槍だけはいつも手に持っていた。いつでも戦えるようにという心構えもあると思うが、大切なものだからという方が大きいのだろう。
 ジェラールはリリアンに問いかけた。

「俺達はこの吊り橋を歩いて渡るしかない。リリアン。先に進むのと、俺の後からついてくるのと、どちらがいいか?」

 リリアンは試しに一歩踏み出してみた。ゆっくり、体重を掛けないように、そっと。それでも吊り橋は揺れる。リリアンは思わず下を見てしまった。奈落の底のよう。落ちたら絶対に助からない。
 動けなくなってしまったリリアンを見て、ジェラールは言った。

「俺が先に行こう。不安なら、手を握ったらいい」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...