【R18】君に長寿と繁栄を~淫紋を解呪するたったひとつの冴えたやりかた~

テキイチ

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33. すさんだ町 ②

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 四人は教えられた食堂に行った。宿屋の主人が言っていた通り、おいしくない上に、量が少なく、高い。ブノワが気に入っている王都の食堂と大差ない値段だったので、ひどく損をしたような気持ちになる。客がほとんどいないので、なるべく費用をかけずに儲けを出そうという算段なのだろう、とリリアンは考えた。店なのだから儲けが出なければやっていけない、それはわかる。

「資料に『パンと保存食を持参した方がよい』と書いてある訳だ」

 店を出るとすぐにジェラールがぼそりとつぶやいた。ジェラールが食べ物に関して暗にでも否定的な意見を述べるのは、本当に珍しい。彼はリリアンが何を作っても旨そうに残さず食べるのだ。

「私にパンを買いに行かせたのは、それでだったの」
「ああ。修道院で作られたパンは、神術のおかげで日持ちするから」

 リリアンもジェラールに保存食を頼まれたので、市場でみんなが好みそうな日持ちのする食べ物を手に入れた。こういう趣旨だと思わなかったので、そこまで多くは買っていない。資料を読み込んでいないことをリリアンは反省する。

 リリアンはギルドから案件を請けるたびに、資料をジェラールに渡す。パーティーのリーダーだからというのはもちろんだが、的確に判断してくれるからという理由の方が大きい。

 ジェラール自身は「司令塔はブノワだ」と言っていたが、リリアンはジェラールの判断を信頼している。ブノワは頭の回転が速いものの、判断は意外とその場しのぎで、犠牲を伴うことも多い。ジェラールはブノワほど素早く判断できないが、なるべく無理のない長期的に有効な策を考える。どちらの考え方も必要だけれど、欲目かもしれないが、リリアンはジェラールの判断に優しさを見出してしまうのだ。

 宿へ戻ろうと歩きかけた時、ブノワは酒場に行ってくると言って抜けた。ブノワは皿に取った分を食べ終えた後、全く手を付けなかった。さすがにお腹が空いているだろうし、酒場なら軽食もあるだろう、とリリアンは思う。三人はブノワを見送り、宿へ戻った。

 リリアンは「資料を読み込んでいないと気づいたから、申し訳ないけど、今回の案件を再確認するために付き合ってほしいの」と、ジェラールとアニエスに申し出た。戦うことができないのだから、せめて効率よく動けるようにしたい。二人とも快諾してくれたので、宿屋の主人に了解を取り、休憩所ラウンジで話をすることにした。

「魔犬が出没する場所はかなり限られているのね」
「あまり民家のない、町の外れの道沿いに集中している」

 資料に書かれた出没箇所を、ジェラールは自前で用意した地図に書き込んでいる。リリアンがギルドでもらった資料に地図はなかったのだ。そんなに大きな町ではないし、行けばわかるだろうと安易に考えていたことを、リリアンは反省する。
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