【R18】君に長寿と繁栄を~淫紋を解呪するたったひとつの冴えたやりかた~

テキイチ

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46. 押し付けられた魔獣討伐 ③

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「なるほど。面白いものがある。毒消し効果のある鎖帷子チェインメイルだ」

 エドモンが出してきたのは、葉脈のような不思議な模様の、ペラペラの服だ。あまりにも頼りないし、すぐに破れてしまうのでは? とリリアンは心配になる。アニエスも不思議そうな表情で訊ねる。

「術が、掛けられていない……?」
「そうだ。これは蝉の羽の構造を模して造られている」
「蝉の羽?」
「聞いたことはないか? 蝉の羽には毒消しの効果があると」

 リリアンは知らなかったので、素直に首を横に振る。

「蝉の羽には人間の目に見えない細かい棘がある。棘が菌を斬って殺すのだ。この鎖帷子も同じように、細かい棘がたくさん植え付けられている」

 まさかの物理で対策。抗菌ならぬ攻菌である。

「薄いが効果は抜群だ。特に女子二人は身軽になるから、動きやすくていいだろう」
「わかった。四人分買おう」
「プロシオンには?」

 リリアンは心配になって思わず訊ねる。エドモンはしたり顔で茶色い紐のようなものを取り出した。

「次に来てくれた時に渡そうと思っていた。首輪と一緒に着けたらいい」
「なんですか? これ」
「この間のサラマンダーの毛皮をなめしたものだ。火と毒を操る効果がある。サラマンダーは火が好物だし、毒を持っているだろう」

 プロシオンは火に強い魔犬なのでぴったりだ。知ってか知らずか、本犬プロシオンも嬉しそうにしっぽを振っている。リリアンは安心して笑顔で頷いた。

 討伐のための買い物を終えると、アニエスは魔石を見せてほしいとエドモンに請うた。淡々とした口調だが、目の色が違う。エドモンは三人とプロシオンを店の奥へ通してくれた。

「どの石もいい……」
「お前さんにおすすめの一品がある」
「選べない……」
「選ばなくていい。これだ」

 エドモンは美しい拡大鏡ルーペをアニエスに差し出す。

「本体は魔除けの効果が高い銀で、レンズは水晶を研磨して作られている。魔石に傷がないかの確認が容易だし、手のひらに収まるから取り回しがよく、なにより拡大鏡そのものが美しいだろう」

 銀に彫りこまれた蔓草と菫が大変美しく、後ろから覗いているだけのリリアンも思わずうっとりする。

「買います」
「値段も聞かずに?」
「素晴らしいものには言い値で支払うことにしているので」

 エドモンはアニエスに金額を提示する。アニエスが目を見開いて驚くと、エドモンは「リリアンにはいつも世話になっているからな」と言って笑った。
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