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第十一章 怪しいパーティー
65.怪しいパーティー1
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町まで行くのかと思っていたのに、馬車は郊外にある一軒の古びた館の前で停まり、ドアが開いた。
「パーティーの会場は町では?」
不安になってドグマ様に尋ねるとフッと笑われてしまった。
「町まで行くなんて言っていない。俺は町の方へ行くと言ったんだ」
馬車を降りるとタキシード姿の老人が出迎えて、ドグマ様と俺に何か細長いものを手渡した。
「お待ちしておりました。さあ、こちらをお使いください」
会場へ入るためのチケットだろうかと思ったが、よく見ると目元を覆う黒い仮面だった。
ドグマ様は自分の顔へ装着して、頭の後ろで紐を結んだ。鼻から上がすっぽりと覆われて誰だか判断がつかないけれど、洗練された上品な雰囲気のドグマ様は仮面ですらよく似合う。
「マスカレードパーティーでございますね」
貴族や実業家の間で仮面舞踏会はたびたび開催されていて、お供をしたことはないが話には聞いたことがあった。
「ああ、そうだ」
手早く仮面をつけて、ドグマ様のあとについて門を通った。足を踏み入れるとすぐにこの屋敷に対して違和感を感じた。
庭の所々に設置されているガーデンライトに照らされて足元は明るいが、石畳の間からは草が伸びているし、庭木や花壇もひどく荒れていた。それに屋敷のどの窓にも明かりが灯っていない。レンガ造りの屋敷の壁には蔦が這っていて、よく見ると窓ガラスが割れたままになっているところがある。誰か住んでいるとは思えない。ここは廃墟なのではないだろうか。かつて栄えてたであろう大きくて立派なお屋敷である分、誰もおらずがらんとしていて朽ちかけていることが不気味だった。
ドグマ様は明かりのついていない屋敷の玄関を素通りし、屋敷の裏へ歩いて行った。そこには鉄の落とし格子のついた入口があり、明かりが灯っていた。中を覗くと地下へ向かって石の階段が続いている。所々に明かりも灯っている。
「パーティー会場は本当にこちらでございますか?」
階段の先には何があるだろう。ワインセラーか倉庫、もしくは地下牢かもしれない。そんな場所でパーティーをするなんて聞いたことがない。不安になって小声で尋ねたが、ドグマ様は何の迷いもなく階段を降り始めた。
「ああ、ここで間違いない」
階段を降りるとタキシードを着た男が立っていて、扉を開けてくれた。
「ようこそいらっしゃいました。室内は暖かいですから、よろしければコートやお帽子をお預かりしましょう」
扉の先には赤い絨毯の敷かれたホテルのロビーのような空間が広がっていて、俺は自分の目を疑った。
ドグマ様のコートと帽子を受け取ると男はクロークの者へ渡した。
「お連れ様の衣類もお預かりしましょう」
「私は結構です、このままで」
俺はコートを着ておらず、いつものジャケットを羽織っているだけだから何も預ける必要がなかった。けれど男は俺の着ているジャケットを掴むと奪い取るように脱がせた。
「な、何をするんですっ!?」
男の乱暴な行動が怖くなって、会場の入り口らしき怪しいピンク色の光の漏れるドアへ逃げ込んだ。そこで会場内の光景を目の当たりにして愕然とした。
「パーティーの会場は町では?」
不安になってドグマ様に尋ねるとフッと笑われてしまった。
「町まで行くなんて言っていない。俺は町の方へ行くと言ったんだ」
馬車を降りるとタキシード姿の老人が出迎えて、ドグマ様と俺に何か細長いものを手渡した。
「お待ちしておりました。さあ、こちらをお使いください」
会場へ入るためのチケットだろうかと思ったが、よく見ると目元を覆う黒い仮面だった。
ドグマ様は自分の顔へ装着して、頭の後ろで紐を結んだ。鼻から上がすっぽりと覆われて誰だか判断がつかないけれど、洗練された上品な雰囲気のドグマ様は仮面ですらよく似合う。
「マスカレードパーティーでございますね」
貴族や実業家の間で仮面舞踏会はたびたび開催されていて、お供をしたことはないが話には聞いたことがあった。
「ああ、そうだ」
手早く仮面をつけて、ドグマ様のあとについて門を通った。足を踏み入れるとすぐにこの屋敷に対して違和感を感じた。
庭の所々に設置されているガーデンライトに照らされて足元は明るいが、石畳の間からは草が伸びているし、庭木や花壇もひどく荒れていた。それに屋敷のどの窓にも明かりが灯っていない。レンガ造りの屋敷の壁には蔦が這っていて、よく見ると窓ガラスが割れたままになっているところがある。誰か住んでいるとは思えない。ここは廃墟なのではないだろうか。かつて栄えてたであろう大きくて立派なお屋敷である分、誰もおらずがらんとしていて朽ちかけていることが不気味だった。
ドグマ様は明かりのついていない屋敷の玄関を素通りし、屋敷の裏へ歩いて行った。そこには鉄の落とし格子のついた入口があり、明かりが灯っていた。中を覗くと地下へ向かって石の階段が続いている。所々に明かりも灯っている。
「パーティー会場は本当にこちらでございますか?」
階段の先には何があるだろう。ワインセラーか倉庫、もしくは地下牢かもしれない。そんな場所でパーティーをするなんて聞いたことがない。不安になって小声で尋ねたが、ドグマ様は何の迷いもなく階段を降り始めた。
「ああ、ここで間違いない」
階段を降りるとタキシードを着た男が立っていて、扉を開けてくれた。
「ようこそいらっしゃいました。室内は暖かいですから、よろしければコートやお帽子をお預かりしましょう」
扉の先には赤い絨毯の敷かれたホテルのロビーのような空間が広がっていて、俺は自分の目を疑った。
ドグマ様のコートと帽子を受け取ると男はクロークの者へ渡した。
「お連れ様の衣類もお預かりしましょう」
「私は結構です、このままで」
俺はコートを着ておらず、いつものジャケットを羽織っているだけだから何も預ける必要がなかった。けれど男は俺の着ているジャケットを掴むと奪い取るように脱がせた。
「な、何をするんですっ!?」
男の乱暴な行動が怖くなって、会場の入り口らしき怪しいピンク色の光の漏れるドアへ逃げ込んだ。そこで会場内の光景を目の当たりにして愕然とした。
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