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彼女の片想い**
イヤ、絶対。2
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言いつけを守ってたのに、怒られた。
カフェから坂本くんの部屋まで手は引かれたまま。
いつの間にか指を絡められて、より親密な繋ぎ方になっていた。
ナンパみたいな、カットモデルのスカウトみたいな、なんだかよくわからなかったあの人から助けてくれたのはうれしい。
でも、見たことないくらい不機嫌になってる。
ちょっと前を歩いて手を引きながら、たまに振り向いて私を確かめる。
たぶん早すぎないかとかを確認してくれてる。そんな優しさはいつも通りでちょっと安心した。
坂本くんは、自戒するような厳しい顔でずっとしゃべらない。
時々手を強く握るから、胸が騒いで仕方がないし、沈黙が不安にさせる。
でも、誰かに見られてたら……そう思うと、それが1番怖かった。
目的地までの道のりが、とても長く感じた。
部屋のカギを開ける時、坂本くんがしばらく動きをとめた。
手が緩んでいたから、そっと繋がれたそれを逃がす。
指先が完全に肌を離れる刹那、我に返ったらしい想い人が情熱的に私の手を追いかけた。
やめて欲しい。都合のいい期待をしてしまうから。
「……合い鍵渡すから、今度から部屋で待って」
何回か言われた提案を、改めてされる。
「……イヤ。……絶対」
合い鍵とか、特別な女の子になったように錯覚してしまう。
あ。坂本くん、怒ったかも?
カギを開けて、ドアを開いて、ちょっとだけ強引に中に促された。大人しく部屋に足を踏み入れる。
靴を脱ごうと視線を下げたら、不意に坂本くんの香りに支配された。
手を繋がれたまま抱きしめられていると気づくのに、とても時間がかかった。
部屋を訪れても、玄関で熱い抱擁を受けることなんて今までなかった。……恋人同士じゃないんだし。
びっくりして身じろぎしたら、片手で余計に強くかき抱かれた。
ソイラテのカップを落としそうだった。
気づいた坂本くんが、そのまま器用にカップを取って背中にあるシューズボックスの上に置いたようだった。
坂本くんの胸が頬についている。
後ろから抱きしめられることが多かったから、こんなに彼の香りをまともに吸い込むことはめずらしかった。
次にまた後ろから抱きしめられたとき、物足りなく思ってしまったらどうしてくれるの……そんな風に恨めしく思う。
拘束されていない方の手で、離してとアピールしてみた。
「……しばらくこのままがいい。手、後ろに回して」
坂本くんは、胸を押し退けようとしたのが気に入らない様子で耳元で抗議してくる。
『このままがいい』って、でも……動かない私にじれたのか、ちょっと離れて私を見る。
顔が近づいて、ただ呆然と坂本くんを見返す私をなだめるように頬に口づけた。
唇にかなり近い位置で、びくりと震えてしまったけど……
聞かれたら必ず答えられるのに、許可なく口づけられると『イヤ』って言葉を絞り出せない。
次には唇に触れられるのかと身構えたけど、坂本くんは今度は耳に照準を合わせたみたいで。
「ね、ちゃんと抱きしめたい。後ろに回して」
そう囁いた後、そのまま熱くて潤った唇で耳の縁を咥えてしまった。
1番近くで染み込んだ声が、言葉が、思考を溶かしてしまう。
ぴちゃぴちゃとなぶられて、その音と感触が体を支配する。
合間に繋がれた手の甲を指の腹で撫でられている気がする。
「ふっ……ん……やぁ……」
力が入らない。
「ん……美、夜ちゃ……手……」
耳を手加減なくいじめるくせに、自分の要求も忘れない。
回らない頭で、言う通りにしたらこの甘い拷問から解放されるのではと期待した。
ついには自分から距離を詰めて、密着を願うように自由な方の手を彼の背中に這わせた。
言う通りにしたのに、満足してはくれなかった。
広くはない玄関で、いつの間にか壁に押しつけられて耳をいいようになぶられ続ける。
ますます湿った音が響いて、舌を中にまで入れられる。
「さか……も……くん、もぅ……やぁ……」
拒否の言葉を諌めるように、耳たぶを軽く噛まれた。
足の間に太ももを割り込ませられ、さらに動けなくなってしまう。
「……んっ……」
舌が奏でる水音に、理性をドロドロに溶かされて…
『好き』って言ってしまわないように、唇を噛んでその甘い責め苦に耐えるしかなかった。
カフェから坂本くんの部屋まで手は引かれたまま。
いつの間にか指を絡められて、より親密な繋ぎ方になっていた。
ナンパみたいな、カットモデルのスカウトみたいな、なんだかよくわからなかったあの人から助けてくれたのはうれしい。
でも、見たことないくらい不機嫌になってる。
ちょっと前を歩いて手を引きながら、たまに振り向いて私を確かめる。
たぶん早すぎないかとかを確認してくれてる。そんな優しさはいつも通りでちょっと安心した。
坂本くんは、自戒するような厳しい顔でずっとしゃべらない。
時々手を強く握るから、胸が騒いで仕方がないし、沈黙が不安にさせる。
でも、誰かに見られてたら……そう思うと、それが1番怖かった。
目的地までの道のりが、とても長く感じた。
部屋のカギを開ける時、坂本くんがしばらく動きをとめた。
手が緩んでいたから、そっと繋がれたそれを逃がす。
指先が完全に肌を離れる刹那、我に返ったらしい想い人が情熱的に私の手を追いかけた。
やめて欲しい。都合のいい期待をしてしまうから。
「……合い鍵渡すから、今度から部屋で待って」
何回か言われた提案を、改めてされる。
「……イヤ。……絶対」
合い鍵とか、特別な女の子になったように錯覚してしまう。
あ。坂本くん、怒ったかも?
カギを開けて、ドアを開いて、ちょっとだけ強引に中に促された。大人しく部屋に足を踏み入れる。
靴を脱ごうと視線を下げたら、不意に坂本くんの香りに支配された。
手を繋がれたまま抱きしめられていると気づくのに、とても時間がかかった。
部屋を訪れても、玄関で熱い抱擁を受けることなんて今までなかった。……恋人同士じゃないんだし。
びっくりして身じろぎしたら、片手で余計に強くかき抱かれた。
ソイラテのカップを落としそうだった。
気づいた坂本くんが、そのまま器用にカップを取って背中にあるシューズボックスの上に置いたようだった。
坂本くんの胸が頬についている。
後ろから抱きしめられることが多かったから、こんなに彼の香りをまともに吸い込むことはめずらしかった。
次にまた後ろから抱きしめられたとき、物足りなく思ってしまったらどうしてくれるの……そんな風に恨めしく思う。
拘束されていない方の手で、離してとアピールしてみた。
「……しばらくこのままがいい。手、後ろに回して」
坂本くんは、胸を押し退けようとしたのが気に入らない様子で耳元で抗議してくる。
『このままがいい』って、でも……動かない私にじれたのか、ちょっと離れて私を見る。
顔が近づいて、ただ呆然と坂本くんを見返す私をなだめるように頬に口づけた。
唇にかなり近い位置で、びくりと震えてしまったけど……
聞かれたら必ず答えられるのに、許可なく口づけられると『イヤ』って言葉を絞り出せない。
次には唇に触れられるのかと身構えたけど、坂本くんは今度は耳に照準を合わせたみたいで。
「ね、ちゃんと抱きしめたい。後ろに回して」
そう囁いた後、そのまま熱くて潤った唇で耳の縁を咥えてしまった。
1番近くで染み込んだ声が、言葉が、思考を溶かしてしまう。
ぴちゃぴちゃとなぶられて、その音と感触が体を支配する。
合間に繋がれた手の甲を指の腹で撫でられている気がする。
「ふっ……ん……やぁ……」
力が入らない。
「ん……美、夜ちゃ……手……」
耳を手加減なくいじめるくせに、自分の要求も忘れない。
回らない頭で、言う通りにしたらこの甘い拷問から解放されるのではと期待した。
ついには自分から距離を詰めて、密着を願うように自由な方の手を彼の背中に這わせた。
言う通りにしたのに、満足してはくれなかった。
広くはない玄関で、いつの間にか壁に押しつけられて耳をいいようになぶられ続ける。
ますます湿った音が響いて、舌を中にまで入れられる。
「さか……も……くん、もぅ……やぁ……」
拒否の言葉を諌めるように、耳たぶを軽く噛まれた。
足の間に太ももを割り込ませられ、さらに動けなくなってしまう。
「……んっ……」
舌が奏でる水音に、理性をドロドロに溶かされて…
『好き』って言ってしまわないように、唇を噛んでその甘い責め苦に耐えるしかなかった。
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