階段から転げ落ちたら知らないゲームの中だったので勇者を倒してサッサと帰りたいと思います。

uma

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対策。

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 リルちゃんって、やっぱり潜在能力高いんだね。

 可愛くてモフモフ。幻獣の希少種で魔法少女。短い間なら戦闘も出来る。

 しかも変身の際に年齢が上がる事により、幅広い年齢層の魔物からの多大なる支持も期待が持てる。

 これはもう魔王の懐刀として、その将来を確約されていると言っても過言ではない。

 これはリルちゃんもかなり期待できるのでは?

 朱里も僕の目的を果たす為には必要不可欠の存在だけど、いかんせん致命的、絶望的、壊滅的に楽観視できない馬鹿だ。

 朱里の起こす行動は僕の想像の遥か彼方、銀河系を超えた場所にある宇宙の最果て県、最果て市にお住まいの最果て君の様な奇妙で奇天烈な行動を起こす。

 ただ扱いに気を付けなきゃいけないのはリルちゃんも同じ。絶対零度で凍らす?彼女は一瞬で生命活動を停止させる恐ろしい事をサラリと言ってのけた。

 何の前触れもなく凍らされたのだからノリで殺されてもおかしくない。間違いなく朱里からの悪影響だろう。力を持つと振るいたくなるのは、どうやら人間も魔物も幻獣も同じらしい。

 僕の性格的に難しいかも知れないが、自重というものを学ぶには良い機会なのかも知れない。

 僕は人間に戻りたいんだ。

 二人を上手く誘導する為だったら、それくらいお安い御用さ。

 そして人に戻る為にはお金が必要だ。人間の頃の記憶も薄いし、これといって執着も無いけれど、そう思ったんだ。

 それが何故なのか分からない。僕の「田中」の名がそうさせるのだろうか?
 
 朱里とリルちゃんがこの世界のトップになれば莫大なお金が動く。

 あと少しなんだ。

 不穏な空気を漂わせる、クリス・田中・ステファンがお送りしました。


        —————————


 わーたーしーもー!魔法が使いたいよ!

 という事で私の対魔術の秘策の一つは私も魔法使っちゃえば良くね?だ。

 クリスが前にレベルが上がらないって事は河童は死んでないって言ったけど、一番槍をこづいた時にレベルは上がってた。

 という事はだよ?別に相手を死に至らせなくともレベルというものは上がるんだ。という事に気付く。私、天才。

 そりゃそうだよ。日本にいた時だって修行を重ねて強くなったんだ。別に誰かの命を取るまではしてないし。

 だから密かにステータスの告知をメニュー、設定、通知、からOFFにしておいた。

 こういうポイント貯めといて一気に上げるの好きだから。知らない内にこんなに貯まってたー!って嬉しくない?

 実は私は夜な夜なトレーニングを重ねていた。河童に放った技も、宿地もそうして完成させた。

 今こそステータスを開きスキル欄から魔術を取得すればいいんだ。

 具現化も魔術みたいなもんだし、魔術もあるべ。

 これで私もいよいよ魔法少女だ!うふふ!

 私は帰り道に歩きながら、スキルを取得すべくステータス画面を開いた。

 「ステータス開け!」


           ———


         レベル29   朱里
  
      「勇者を倒し魔物を救う者」

    スキル 空手 威圧 
        剛力 縮地
        剣道 具現化
 
    加護 スキルポイント取得(特大)
       経験値取得    (特大)
       魔力増幅     (特大)

    弱点 フェンリル
   
       残りスキルポイント 170


           ———


 まあ、こんなもんか。

 「朱里ちゃん、急にステータス画面開けてどうしたの?」

 「対魔術の対策でスキル取ろうかなって! ポイント貯めといたし、私も魔法少女になろうと思ってね」

 「すご。魔力増幅って、それ本当にあるんだね。しかも特大って」

 「残念なお知らせだけど、魔術は魔術であってスキルでは無いよ!」

 え?ば、馬鹿な!私の完璧な計画が!

 「そんな顔面から前のめりで倒れなくても」

 (朱里にしては目の付け所は悪くなかったけど、こりゃあ相当、魔法少女の姿に憧れてるな)

 「魔術は勉強しなきゃダメだよ。術式とか魔法陣の構築とか。リルちゃんは一足飛ばしで使ってるけど、これは天賦の才だよ」

 「クリスちゃんは褒めてくれてるけど、私も今の姿じゃ波を凍らせのが限度だし、何回も連続で使えないよ」

 「じゃあ魔力増幅ってなにさ」

 (地面に顔つけたまま喋ってる。すごい凹んでる)

 「簡単に言うと魔術大連発! て感じかな」

 その為にはお勉強、か。甘くは無いと言うことね。

 「大丈夫、まだ魔術師対策には奥の手があるよ。リルちゃん! 大会終わったらさ、魔術を教えてほしいな」

 「もちろんだよ! 私は未来の魔王様の側近だからね」

 楽しみだなー!フリフリの服に変身したーい!早く魔王になって魔法少女になりたーい!

 (奥の手って言うのが的外れじゃ無い事を祈るとして、なんだか自信はありそうだね)



 明日はいよいよ、大会初戦だ。

 リルちゃんの為!魔王になる為!

 そして魔法少女になる為に頑張るぞ!



 今日は徹夜で衣装考えるぞー!
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