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案内人
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「皆様こんにちは! 皆様に素敵なお昼休みをお届けする情報エンターテイメント番組『ムポポペサなんです。』のお時間がやってまいりました! 司会進行の朱里ちゃんです! 早速、ゲストのご紹介です」
「おは、ご、まーす。河、ルシ、です」
「ルシアさんは遠方にお住まいの為、現地より中継での御出演となっております。映像の乱れや、音声が聞き取り辛くなる場合等御座いますが、予めご了承下さい」
ピンポン、ピンポン、ピンポン。
「番組の途中ですが、ここで臨時ニュースをお伝えします。只今、魔王大会で盛り上がるムポポペサ大陸ですが、どうやら会場に勇者が出現した模様です。あ、今現場のリルリルさんに中継が繋がりました」
「こちら会場前のリルリルです。一時、勇者の出現により会場周辺は騒然となりました。しかし、今は落ち着いた様子を取り戻しており、大きな怪我人などの情報は出ていない模様です。尚、今現在勇者とその一味は姿を消しておりますが、大会運営側は大事を取り本日の開催を中止としております。翌日以降の開催については観客や、参加選手の安全を第一に配慮した上で決定を下すとの事でした。現場からは以上です」
「ありがとうございました。突然の勇者の襲来との事でしたが、大きな怪我人など無く安心しました。怖いですねルシアさん。勇者の目的とは一体何なのでしょうか? 魔物に不安と恐怖を与える存在。これは事前の準備により回避が出来るものなのでしょうか?」
「難し、問、ますね。勇、圧倒、になす術な、魔、でしょ、いか、慌ず、静に その場か、さ、が重要に、と思、ます。」
「はい、ありがとうございました。引き続き情報が入り次第、皆様にお伝えして参りたいと思います」
—————————
中腹黒が?あいつもムポポペサに?
しかも勇者!?……似合わねぇ。
「朱里! 大丈夫かい!?」
「クリス! うん、大丈夫だよ。ちょっと顔見知りがいてビックリしただけ」
「天音さんも勇者の仲間なの? でも朱里ちゃんと同じ格好してたよね?」
「勇者の案内人とか言ってたよ。ムポポペサの出身とも。あの子ってさ、私と同じ高校にいた子なんだよね」
(転移者ではないだって?しかもムポポペサの人物。一体どういう事だ?)
「極め付けはあの勇者だよ。あいつは私の高校の教師、腹中黒だ。性格は超歪んでたけど」
(朱里の世界にいた教師が勇者だって?……あれ、何か思い出せそうで思い出せない。なんだろう)
「二人共、とりあえずホテル戻ろ。ここじゃ落ち着いて話せないから。ね?」
「リルちゃんの言う通りだね。一度、ホテルに戻ろう」
「そうだね。観客も落ち着いて来たとははいえ、まだ混乱している。ホテルで一度状況を整理しよう」
ホテルまでの道中、色々な事が頭によぎった。腹中黒の事や天音の発言。
改めて考えると私は『ムポポペサ』の仕組みについて知らない事が多い。
案内人に会え、と天音は言ってたけど、どこで会うんだよ?しかし、くっそー!あの野郎、一年間ムポポペサで遊ぶだと?
その間に指くわえて「指って美味しいな!」なんて言うと思ってんのか?
流石に自分の指は食わねぇよ!中腹黒め、八つ裂きにしてくれるわ!
「天音とは顔見知り程度なのかい?」
「顔見知り未満だよ。校内では有名人だったけどね」
(勇者の案内人が天音さん。……朱里ちゃんにはいないのかな?転移者なんだからいてもおかしくないよね?)
「朱里ちゃんってさ、ムポポペサに来て案内人には会った事はないの?」
「それさ、天音にも言われたんだよ。ムポポペサに来てからかぁ。うーん」
だめだ、全く思い出せない。
いたっけ?ん?んーーー?
「頭痛くなってきちゃったな」
(あ、諦めないで朱里ちゃん!)
(僕が思い出した方が早そうだね。えーと、朱里と初めて会った時はと。まず兎蹴飛ばしてて)
リルリルとの思い出は鮮明に覚えてるのに。そういえば勇者の一味と会ったのもその時だったな。
「懐かしいな。リルリルと初めて会った思い出の『気まぐれ穴』。今でも鮮明に覚えてるよ。あの手の痛み、リルちゃんの震える姿。どれを切り取っても美しい思い出」
「あはは、そこは思い出さないで欲しいな」
「ちょっと待って。『気まぐれ穴』に朱里を放置して街に戻ったら、爆発音と地響きがしたんだよね」
「あ、クリスちゃん! そうだよ、あの時、確か」
「そうだ! あの地響きを起こした原因か!」
「分かった! 一番槍が私の案内人か!」
「ち、違う!」
「鈍すぎやしないかい!?」
え?違うの?
「はっ! あのアンデットの中に!? じゃあもう昇天してしまったの!?」
(ここまで鈍いの!?)
「朱里が吹っ飛ばした女神だよ! その人が案内人だったんじゃないかい!?」
あったね、そんなの。でもあの人どこへ行ったんだろう?
「だけどさ、あの人ってどこに行ったんだろうね?」
「え? 朱里が吹っ飛ばしてから、えーと。……どこだろう?」
「朱里ちゃんが吹っ飛ばして、えっと。……消えたんだっけ?」
「あれ以来姿は見てないよ!」
(死んだのかな?)
(生きてても怒って出て来ないんじゃ)
「とりあえず大会が続行なのかどうかだけ確認して、中止ならリルちゃんの家に戻る?」
「僕、案内人には会えない気がしてきたよ」
「せめて生きてて欲しいね」
こうして私達は『ムポポペサ』や、勇者達の事を詳しく知るであろう案内人と会う為に『気まぐれ穴』に再び戻る事になった。
クリスに案内人が生きていたら土下座して菓子折りを渡した方が良いと言われたので、私のおこずかいは全てモルティプの林檎になりました。
「おは、ご、まーす。河、ルシ、です」
「ルシアさんは遠方にお住まいの為、現地より中継での御出演となっております。映像の乱れや、音声が聞き取り辛くなる場合等御座いますが、予めご了承下さい」
ピンポン、ピンポン、ピンポン。
「番組の途中ですが、ここで臨時ニュースをお伝えします。只今、魔王大会で盛り上がるムポポペサ大陸ですが、どうやら会場に勇者が出現した模様です。あ、今現場のリルリルさんに中継が繋がりました」
「こちら会場前のリルリルです。一時、勇者の出現により会場周辺は騒然となりました。しかし、今は落ち着いた様子を取り戻しており、大きな怪我人などの情報は出ていない模様です。尚、今現在勇者とその一味は姿を消しておりますが、大会運営側は大事を取り本日の開催を中止としております。翌日以降の開催については観客や、参加選手の安全を第一に配慮した上で決定を下すとの事でした。現場からは以上です」
「ありがとうございました。突然の勇者の襲来との事でしたが、大きな怪我人など無く安心しました。怖いですねルシアさん。勇者の目的とは一体何なのでしょうか? 魔物に不安と恐怖を与える存在。これは事前の準備により回避が出来るものなのでしょうか?」
「難し、問、ますね。勇、圧倒、になす術な、魔、でしょ、いか、慌ず、静に その場か、さ、が重要に、と思、ます。」
「はい、ありがとうございました。引き続き情報が入り次第、皆様にお伝えして参りたいと思います」
—————————
中腹黒が?あいつもムポポペサに?
しかも勇者!?……似合わねぇ。
「朱里! 大丈夫かい!?」
「クリス! うん、大丈夫だよ。ちょっと顔見知りがいてビックリしただけ」
「天音さんも勇者の仲間なの? でも朱里ちゃんと同じ格好してたよね?」
「勇者の案内人とか言ってたよ。ムポポペサの出身とも。あの子ってさ、私と同じ高校にいた子なんだよね」
(転移者ではないだって?しかもムポポペサの人物。一体どういう事だ?)
「極め付けはあの勇者だよ。あいつは私の高校の教師、腹中黒だ。性格は超歪んでたけど」
(朱里の世界にいた教師が勇者だって?……あれ、何か思い出せそうで思い出せない。なんだろう)
「二人共、とりあえずホテル戻ろ。ここじゃ落ち着いて話せないから。ね?」
「リルちゃんの言う通りだね。一度、ホテルに戻ろう」
「そうだね。観客も落ち着いて来たとははいえ、まだ混乱している。ホテルで一度状況を整理しよう」
ホテルまでの道中、色々な事が頭によぎった。腹中黒の事や天音の発言。
改めて考えると私は『ムポポペサ』の仕組みについて知らない事が多い。
案内人に会え、と天音は言ってたけど、どこで会うんだよ?しかし、くっそー!あの野郎、一年間ムポポペサで遊ぶだと?
その間に指くわえて「指って美味しいな!」なんて言うと思ってんのか?
流石に自分の指は食わねぇよ!中腹黒め、八つ裂きにしてくれるわ!
「天音とは顔見知り程度なのかい?」
「顔見知り未満だよ。校内では有名人だったけどね」
(勇者の案内人が天音さん。……朱里ちゃんにはいないのかな?転移者なんだからいてもおかしくないよね?)
「朱里ちゃんってさ、ムポポペサに来て案内人には会った事はないの?」
「それさ、天音にも言われたんだよ。ムポポペサに来てからかぁ。うーん」
だめだ、全く思い出せない。
いたっけ?ん?んーーー?
「頭痛くなってきちゃったな」
(あ、諦めないで朱里ちゃん!)
(僕が思い出した方が早そうだね。えーと、朱里と初めて会った時はと。まず兎蹴飛ばしてて)
リルリルとの思い出は鮮明に覚えてるのに。そういえば勇者の一味と会ったのもその時だったな。
「懐かしいな。リルリルと初めて会った思い出の『気まぐれ穴』。今でも鮮明に覚えてるよ。あの手の痛み、リルちゃんの震える姿。どれを切り取っても美しい思い出」
「あはは、そこは思い出さないで欲しいな」
「ちょっと待って。『気まぐれ穴』に朱里を放置して街に戻ったら、爆発音と地響きがしたんだよね」
「あ、クリスちゃん! そうだよ、あの時、確か」
「そうだ! あの地響きを起こした原因か!」
「分かった! 一番槍が私の案内人か!」
「ち、違う!」
「鈍すぎやしないかい!?」
え?違うの?
「はっ! あのアンデットの中に!? じゃあもう昇天してしまったの!?」
(ここまで鈍いの!?)
「朱里が吹っ飛ばした女神だよ! その人が案内人だったんじゃないかい!?」
あったね、そんなの。でもあの人どこへ行ったんだろう?
「だけどさ、あの人ってどこに行ったんだろうね?」
「え? 朱里が吹っ飛ばしてから、えーと。……どこだろう?」
「朱里ちゃんが吹っ飛ばして、えっと。……消えたんだっけ?」
「あれ以来姿は見てないよ!」
(死んだのかな?)
(生きてても怒って出て来ないんじゃ)
「とりあえず大会が続行なのかどうかだけ確認して、中止ならリルちゃんの家に戻る?」
「僕、案内人には会えない気がしてきたよ」
「せめて生きてて欲しいね」
こうして私達は『ムポポペサ』や、勇者達の事を詳しく知るであろう案内人と会う為に『気まぐれ穴』に再び戻る事になった。
クリスに案内人が生きていたら土下座して菓子折りを渡した方が良いと言われたので、私のおこずかいは全てモルティプの林檎になりました。
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