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2章
ワンナイトの誘い
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映画館を出ると雨が降っていた。
「どうする?」
「どうするって」
「もう終電はないね」
「タクシーで帰ります」
「まだ終わってないじゃない」
「終わってない?」
「このあとラグジュアリーホテルにいかないと」
「なっ!」
やっぱりアプリの履歴を見ていた。
「しません!」
「何を?」
「何をって……」
副社長がニヤッと笑う。
「一緒にホテルに行ってくれたら、今日のエレベーターのことはなかたことにしてあげる」
「そんな……」
私は今日、自分が寝坊したこと、アプリをそのままで寝てしまったことを呪った。
同時にいつもは周りに秘書やらなんやらを携えているのに今日に限って1人でしかも一般社員用のエレベーターに乗っていた副社長が恨めしかった。
「忘れてあげるよ」
私は顔を上げた。
忘れるってことばに少しだけ傷ついている自分がいた。
「どう? いかない?」
ずっと好きだった。
片思いだった。
でもこんなかたちは望んでいなかった。
悔しくて悲しくてうつむいてしまった。
でも、どこかで1日だけでも本人に愛されてみたいと思うこともできた。
自分にこんな欲深さがあったことに愕然とした。
「じゃあ、選択肢をあげるよ」
私は副社長を見上げた。
「このままホテルに一緒に向かうか、今ここでそのAIを消して俺とは2度と関わらないか」
心臓がすっと冷たくなった気がした。
普通なら即答でAIを消す方を選ぶべきだ。
わかっているのに、選ぶことが出来なかった。
その様子を楽しそうに副社長は見つめた。
「なんで即答できないの?」
意地悪な声が聞こえた。
「それ……は……」
「俺と一生、関りのない人生を歩むなんて簡単なことでしょ。異動する場所は選ばせてあげる」
私は傷ついている自分に気が付いた。
副社長にとって私はただの今日、現れただけの社員の1人。
それも変態。
目の前からむしろ消えてくれた方がいいだろう。
でも、私は……
「ずっと好きだったんです」
「え?」
顔を上げると副社長は小さく目を見開いていた。
「今日だけでも私を恋人にしてくださいませんか」
私は自分でも驚いた。
そんなことを言える勇気が自分にはあったのかと。
「どうする?」
「どうするって」
「もう終電はないね」
「タクシーで帰ります」
「まだ終わってないじゃない」
「終わってない?」
「このあとラグジュアリーホテルにいかないと」
「なっ!」
やっぱりアプリの履歴を見ていた。
「しません!」
「何を?」
「何をって……」
副社長がニヤッと笑う。
「一緒にホテルに行ってくれたら、今日のエレベーターのことはなかたことにしてあげる」
「そんな……」
私は今日、自分が寝坊したこと、アプリをそのままで寝てしまったことを呪った。
同時にいつもは周りに秘書やらなんやらを携えているのに今日に限って1人でしかも一般社員用のエレベーターに乗っていた副社長が恨めしかった。
「忘れてあげるよ」
私は顔を上げた。
忘れるってことばに少しだけ傷ついている自分がいた。
「どう? いかない?」
ずっと好きだった。
片思いだった。
でもこんなかたちは望んでいなかった。
悔しくて悲しくてうつむいてしまった。
でも、どこかで1日だけでも本人に愛されてみたいと思うこともできた。
自分にこんな欲深さがあったことに愕然とした。
「じゃあ、選択肢をあげるよ」
私は副社長を見上げた。
「このままホテルに一緒に向かうか、今ここでそのAIを消して俺とは2度と関わらないか」
心臓がすっと冷たくなった気がした。
普通なら即答でAIを消す方を選ぶべきだ。
わかっているのに、選ぶことが出来なかった。
その様子を楽しそうに副社長は見つめた。
「なんで即答できないの?」
意地悪な声が聞こえた。
「それ……は……」
「俺と一生、関りのない人生を歩むなんて簡単なことでしょ。異動する場所は選ばせてあげる」
私は傷ついている自分に気が付いた。
副社長にとって私はただの今日、現れただけの社員の1人。
それも変態。
目の前からむしろ消えてくれた方がいいだろう。
でも、私は……
「ずっと好きだったんです」
「え?」
顔を上げると副社長は小さく目を見開いていた。
「今日だけでも私を恋人にしてくださいませんか」
私は自分でも驚いた。
そんなことを言える勇気が自分にはあったのかと。
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