恥ずかしいほど愛してる

Enishi

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2章

スイートルーム

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副社長がカードキーをかざすと鍵が開いた。
扉を片手で押さえ私を中に促す。
私の心臓は破裂しそうなほどドクドク音を立てていた。
おずおずと中に入ると扉が閉まる音がすぐにした。

「緊張してる?」

楽しそうな副社長の声がした。

「当たり前です」
「でも選んだのはキミだ」
「そうですけど……」

この広いホテルの一室を見ると体中で、これから何が起こるのかを感じた。

「怖がらないで」
「怖がってません」
「ここに皺ができるぞ」

副社長が私の眉間を親指でさする。
それだけで身体がビクッと反応した。
副社長はソファへ向かいジャケットを脱ぐと私を見つめながら、ゆっくりとソファに座った。
私はじっとしたまま動けないでいる。

「そんなところにいないで、こっちにおいで」

私はとぼとぼと歩きながら副社長から1メートルの距離を取って止まった。
副社長はクスクス笑った。
私は下唇を噛んだ。

「再び選択ができるようにしてやろう」
「選択?」
「ああ、どちらを選ぶかはキミの自由だ」

副社長は自分の両もものうえに腕を置いて前屈みになった。

「規則がある上での縛りが1番幸せ、なんだよ」

私は副社長をじっと見つめた。
しばらくお互いに見つめ合った。
副社長に見つめられると顔が赤くなってしまう自分が私は嫌でたまらなかった。
ゆったりとした動作で副社長は背中をソファに預けるように座り直した。

「シャワーかバスタブか、どちらにする?」
「へ?」

私は拍子抜けして情けない声がでた。

「どうした? 選べ。雨だったし濡れてないとはいえ、寒いだろう。まずは風呂に入れ」

私は意外と副社長は優しいのではないかという考えが浮かんだが、すぐにそれを振り払った。
ホテルに連れ込んでいる時点で、優しくはないし、今までの言動を見てもまったくそうは思わない。
色々と規格外のことが起きすぎて自分の脳がおかしなことになっている。
それにシャワーを浴びたあとが問題だ。
私は少しでも時間を稼ぎたいとシャワーではなくバスタブにゆっくりつかる方を選ぶことにした。

「バスタブにさせてください」

副社長はニヤリと笑った。
その瞬間、私はゾクッとした。

「よし、ではいこう」

そういうと副社長はネクタイに指を掛けてするすると外しながら私に近づいた。

「ど、どういうことです?」
「バスルームに行くんだよ」

そういうと私の手を取ってバスルームに引っ張っていった。
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