「声劇台本置き場」

きとまるまる

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二人台本↓

「恋ヶ咲さんと変愛の神さま」(比率:男1・女1)約15分

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*役表
恋、スイッチの音:♀
神、夜瀬:♂


・所要時間:約15分


ーーーーー



恋(M)私の名前は、恋ヶ咲 恋こいがさき れん。JKやらせていただいてます。長かった夏休みも残すところあと7日。課題も残り7教科。あははは! 笑えない。まぁ、課題がたくさん残ってしまうほど、素敵な夏休みを過ごしていたってことさ! いやぁ、とっても楽しかったよ! 今思い返してもさ、楽しくて楽しくて楽しくて...。


 恋の部屋。恋は、昨日友達数人と一緒に撮った写真を眺めている。そこには大好きな男の子も映っている。


恋「......はぁ。」

恋「また告白できなかったよぉぉぉ!!」


恋(M)恋ヶ咲 恋はチキンJKである。

恋(M)夏休み、小学生の時からずっとずっとずっっと好きだった、夜瀬 海斗やせ かいとくんに告白しようと思っていた。

恋(M)もし、もしだ、告白して「オッケーですっ!」だったらどうよ? 私の夏休みはバラ色に染まり、毎日どこにいくにもスキップしてしまうくらいにウハウハになるだろう。

恋(M)ダメだった場合は、私は世界の全てをぶち壊す暗黒破壊神となってしまうだろう。

恋(M)ダメだったら...そう思ったらなかなか勇気が出ず、夏も残り一週間で終わってしまうこの日まで、ズルズルと引きずってきてしまった。

恋(M)「無理に夏休み中に告白しなくてよくない?」そう思う人もいるだろう。だが、私はない勇気を振り絞って、夜瀬くんと夏休みに遊びまくった。あ、もちろん二人きりじゃないよ? 友達込みでだよ? でもだ、友達がたくさんいようがいまいが、夜瀬くんは夜瀬くんだ。カッコいい、好き、一緒の空間にいれるだけで私の愛は増えていく。

恋(M)そして増えた結果、私の夜瀬くんへの愛は、あとひと注ぎで溢れてしまいそうなところまできてしまったのである。それくらい好きなのである。

恋(M)愛が溢れたらどうなるのって? そりゃもう...やだ♡ 言わせないで♡

恋(M)今、うわぁ...って思ったやつは、今すぐ私の部屋に来い。永遠と私の恋愛トークを聞かせてやるから。

恋(M)とにかくだ、この愛が溢れてしまったら、きっと私は制御できない。大変なことになってしまうだろう。そうなる前に、まだ理性が働いてるうちに告白したいのである。


恋「できる...お前ならやれる...恋ヶ咲 恋! ない勇気をかき集めろ! うおおぉぉぉ!!」


恋(M)ない勇気をかき集めて、私は明日、夜瀬くんと二人きりで遊ぶ約束を取り付けた。まだ会ってもいないのに、緊張で心臓が木っ端微塵に張り裂けそうである。

恋(M)夜瀬くん、好きだよ、大好きだよ。夜瀬くんも同じ気持ちだったら嬉しいな...。お願いだから...お願い...お願い...。


 とある森の中。小さな祠の前で、恋がお願いしている。


恋「お願いします! 神さま!!」


恋(M)気づけば、森の中にある小さなほこらの前で、これでもかっ!ってくらい手をり合わせていた。

恋(M)この祠には、恋愛の神さまがいるらしい。私は神さまなんて信じてないんだけどね。でも、私の友達はここでお願いした後に告白したら...へいっ!最高だぜ! 神さま、どうか私に力をお貸しくださいませ!!

恋(M)今、火起こししてるの? ってくらい手を擦り合わせたから、きっと神さまにも私の想いが...願いが届いたはず! あれ? なんだか勇気が湧いてきた。明日、行ける気がしてきた!


 約束の日。


夜瀬「ごめんね。」


恋(M)気がしただけだった。もう、神なんて信じるものか。全てが消えてなくなってしまえばいい。


 8月31日。恋は、ベッドに大の字で寝てぼーっと天井を見つめている。


恋(M)......あれから、何日経過したのだろうか...? あれ? 31日? 今、31日? やばっ、あれから課題何にもしてない。というか、ここ数日の記憶がなにもない。記憶がないだけで課題やってあるんじゃないかな?と思って、課題をみたが...一面雪景色のように真っ白だった。私は何も見ていない、あははは。


恋「......笑えないよ。」


恋(M)私の恋は終わった...終わってしまった。夏が終わる前に、一足先に終わってしまったよ。この気持ち、どうしたらいいんだろ...? どうしよう...?

恋(M)気づけば、森の中にある小さな祠に飛び蹴りしていた。


恋「ちくしょうがぁぁぁぁ! なにが恋愛の神さまだ!? てめぇは失恋の神さまだろうが! 今すぐ改名して壊滅しろぉぉぉぉぉぉ!!」


恋(M)私はもう止まれない、止まらない。この気持ちを受け止めてくれる人なんて誰もいない。いなくなってしまったのだ。


恋「このやろぉぉぉぉぉ!!」


恋(M)私は、何度も何度も祠に飛び蹴りを食らわせる。「なんてバチあたりなJKだ! やめなさい!」だって? うるせぇな! 今の私はJKじゃねぇ! 私はなぁぁ!!


恋「暗黒破壊神さまだ、このやろぉぉぉぉ!!」


 恋の目の前に裸の男が現れる。大事なところは♡で隠している。


神「うるせぇぇぇ! つーか、いてぇよ! 蹴りすぎだ、馬鹿野郎が! ぶっ壊れんだろ!!」

恋「え? いやぁぁぁぁ!? 変態!!」

神「え!? 変態!? どこ!?」

恋「お前のことだよ! 自分の姿を鏡で見てこいや!!」

神「は? この俺さまが変態? 服はきてねぇけど、ちゃんと大事なところはハートで隠してんだろうが!!」

恋「この世で一番汚いもんを、一番綺麗なもんで隠すな!!」

神「んだと、てめぇ! それだとお前の大好きな夜瀬くんだって、この世で一番汚いもんぶら下げてることになんぞ!」

恋「夜瀬くんは違いますぅ! 見たことないけど、きっと神々しいものが...って、あんたなんで夜瀬くんのこと知ってんの?」

神「おめぇが散々言ってたろ? 夜瀬くんと夜瀬くんとってよ。」

恋「も、もしかして、あんた...?」

神「もしかしなくても、俺さまはなーーー」

恋「変態の神さま!?」

神「恋愛だ、ボケェ!!」

恋「信じるわけないでしょうが! ハートで大事なところ隠してるやつなんて、恋愛じゃなくて変態よ!」

神「俺だって好きでこの格好してんじゃねぇんだよ! 服着れるならきてぇよ!」

恋「なんで着ないのよ? あんた裸族?」

神「ちげぇよ!!」

神「...誰も信仰してくれなくなったからよ。」

恋「どういうこと?」

神「神さまってのはな、人間たちに信仰されることによって力を得てるんだよ。信仰されなくなっちまうと、どんどんと力を失ってな...消えてしまうんだよ。」

恋「...服が?」

神「服は最終段階の二歩手前だ。次はこのハートがなくなり、最後は俺自身が消えてなくなっちまう。」

恋「危なかった...もう少しで私は、この世で一番汚いモノを見ることになってたのね...。」

神「おい、それ以上神を侮辱ぶじょくするなら、お前に死ぬまで独身を貫く呪いをかけるぞ。」

恋「申し訳ありませんでした! ってか、そんな力があるなら私の恋愛をさ! 恋愛を...!」


 恋は、泣き出す。


恋「うわぁぁぁぁぁんんん!!」

神「おいおい、泣くなよ。悪かったって。俺もさ、久々にここ来てくれる奴がいて、今から火を起こすのか?ってくらい、真剣に手を擦り合わせて願ってくれたやつの力になりたいと思ったけどさ...。」

恋「思ったけど、なんなのよぉぉぉぉ!!」

神「...この姿で出てったらさ、捕まるじゃん。」

恋「うわぁぁぁ! このクソ使えない神がぁぁぁぁ! 消えてしまえぇぇぇ!!」

神「お前なぁぁ! 神さまだぞ!? もっと敬えよ!!」

恋「うぅ...ぐすん...。」

神「...神にバチあたりなことしてしまうくらい、悲しかったんだな。」

恋「好きだったんだもん...ずっとずっと...。なのにさ...。こんなことになるなら...告白なんてしなきゃよかった...。」

神「おいおい、一回振られただけだろ? 諦めんなよ。」

恋「うるせぇ...お前に振られたやつの気持ちがわかんのかよ...? 戻りたいよ...告白する前に...。全てなかったことにしたいよ...。」

神「...戻りたいか?」

恋「......。」

神「やり直したいか?」

恋「...うん。」

神「そうか。なら、戻してやる。」

恋「...え?」

神「なにを驚いている? 俺さまは神さまだぞ? それくらいできるわ。」

恋「ほ、ほんとに?」

神「ちょっと待てよ~確かこの辺りに...。」


 神は、祠から小さな赤いスイッチを取り出す。


神「あったあった。この赤いスイッチを押したら、ここにお前が願いに来た日まで戻してやれる。」

恋「本当なの!? 神のくせにやり方が雑ね!?」

神「うるせぇぞ、文句言うな! ただし、条件がある。とても厳しい条件がある。それをクリアできる自信があるなら、過去に戻してやる。」

恋「な、なによ! 条件を早く教えてよ!」

神「...諦めるな。」

恋「え?」

神「夜瀬くんのことを、諦めるな。」

恋「......。」

神「願った日から今日までの一週間、お前にまた時間をやる。その時間をどう使おうがお前の勝手だ。ただ、この一週間以内にもう一度告白しろ、成功させろ。」

神「そして、チューしろ。」

恋「...え?」

神「チューしないと、お前は永遠と夏の一週間を過ごすことになるぞ。」

恋「...それは、夜瀬くんとチューしないと、私はずっとここに来た日から今日までの日を繰り返すってこと?」

神「そう言うことだ。さぁ、準備はいいか? 押すぞ?」

恋「ちょっと待てやぁぁぁぁ!! 人の話聞いてた!? 私は告白失敗してるんだよ!? それなのに、たった一週間で振ってきた相手を好きにさせて、チューしろ!? 無理に決まってんだろ!!」

神「やる前から諦めんな、チューくらい簡単にできるだろ?」

恋「私をそこらへんの[この言葉は不適切な表現のためモザイク加工させていただきます。ご了承ください。]なやつらと一緒にするな! 私は清純派のJKなんだよ!」

神「清純派からとんでもない単語が飛び出してきたよ、おい。いい加減覚悟決めろよ。」

恋「ふざけんな! そのスイッチを寄越せ!!」

神「お、おい! やめろ! 落としちゃうだろ!!」


 神は、スイッチを落としてしまう。落とした時にスイッチオンになる。


神「あっ!?」

スイッチの音「ポチッとな!」

恋「え? なに? 今の可愛い音はなに!?」

神「あーあ、やっちまったよ。んじゃ、後は頑張ってね。」

恋「え!? ちょっと!?」


 スイッチから、光が溢れ出す。


恋「いやぁぁぁぁ!? スイッチから光が!? 吸い込まれるぅぅ!?」

神「楽しい夏を過せよ~~。」


 恋は、神の足を掴む。


恋「くそがぁぁぁ! てめぇも道連れだぁぁぁ!!」

神「ちょっ!? 離せ、この野郎が! 永遠に夏休みを過ごすことになるだろうが!!」

恋「それは、私の恋は実らないって言ってんのか!? ふざけんな、この変態神が!!」

神「くそがぁぁぁ! はなせぇぇぇぇ! あぁぁぁぁぁぁ!?」


恋(M)私たちは光に包まれ、過去に戻った。無事に9月1日を迎えることができるのだろうか...?






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