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第四章 選んだ先の未来へ向かいます!
言うタイミングが遅すぎたようです
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魔界に大咆哮が響き渡り、同時にグラグラと大地が揺らぐ。
「な! なんだ!? まさか、これは竜の咆哮! ……なっ? 俺の結界は破られていないぞ! ウララ、お前何か感じたか!?」
焦って、ダンケルが問いかけてくる。
聞かれた暖は、考え込みながら小首を傾げた。
「ソウ言ワレレバ……チョット、フワッ、シタカモ?」
なんだか風を感じたなと思った暖だ。
「え? まさか、そのくらいで!?」
ダンケルは呆気にとられた。
同じタイミングで絹を引き裂くような女性の悲鳴があがる。
「キャァ~ッ! ブラット! しっかりして」
叫んだのは魔王の側妃のイノトだった。
彼女が慌てて駆け寄る先では、彼女の息子のブラットがいつの間にか背中から壁に叩きつけられている。
見れば、強固なはずの壁にはブラットを中心に蜘蛛の巣みたいなヒビが大きく広がっていた。
当然ブラットは、ぐったり伸びている。
「大丈夫!? いったい誰が、この子を!」
イノトの問いかけに答えて「うぅ~」とうなされる声が聞こえた。
どうやらブラットは死んではいないようだ。
――――無駄に丈夫な魔族である。
誰と問われても、この状況では答えは一つだろう。
「当たったどうかもわからない攻撃だったのに……報復魔法、強すぎだろう」
呆然とダンケルは呟いた。
彼の腕の中、暖もコクコクと首を縦に振る。
(……倍返しなんてもんじゃないもの。やり過ぎだわ)
ブラットの惨状もそうだが、何よりこの咆哮。
(この声って――――)
暖がそう思った瞬間、後宮の城ごと揺れていたような震動が激しくなる。
ガラガラガラと大きな音が響いて、ドドォ~ォォォン!! と大衝撃が襲ってきた。
暖を庇うため、ダンケルは痛いほどに強く彼女を抱きしめる。
ダン! ダン! と直ぐ近くに何かが落ちる音がした。
「危ないだろうぉっ!!」
頭上で怒鳴るダンケルの声につられて上を見上げれば……そこには、魔界の空が広がっていた。
「――――へ?」
後宮の天井が見事に無くなっている。
すっかり見通しのよくなった空を背景に、角のような二本の鋭い突起のあるゴツゴツのウロコに覆われた巨大な頭が現れた。
「ギオル!」
『無事か? ウララ』
グワングワンとギオルの大声が辺り一帯に響く。
「今、あんたのせいで、無事でなくなるところだったぞ!」
忌々しそうに、ダンケルが怒鳴り返した。
見れば周囲には、天井や壁のなれの果てだろう瓦礫がドスドスと床に突き刺さっている。
拳大の小さなものから、大きなものは直径一メートルほどもあった。
暖はぞっとして体を震わせる。
どれか一つでも当たっていれば、暖の命は間違いなく消えていた。
さらに見れば、瓦礫の散乱する部屋のあちこちに警護の魔族に守られた正妃とモノアの姿も見えた。
イノトとブラットも、どうやら無事のようである。
『隷属を誓ったお前がついているのだ。この程度の衝撃でウララを危険に遭わせることなどないであろう?』
万が一にもそんなことになったらただではおかないと言わんばかりに、ギオルはダンケルを睨め付けた。
ダンケルはチッと舌打ちする。
「例えそうでもやり過ぎだ! 無事を確信しているなら、こんな騒ぎを起こす必要はないだろう!?」
文句を言われギオルはニヤリと笑った。鋭い牙がむき出しになり大きな口が裂ける。
迫力満点の竜の笑みに、モノアが「ヒッ!」と、息をのむ。
『いささか出遅れたからな。年甲斐もなく、我も焦ってしまった』
ギオルの言葉を聞いたダンケルは「は?」と一瞬呆けた。
暖もパチパチと目を瞬く。
「……出遅レタ?」
ギオルは、はっきりそう言った。
(いったい、誰が誰に出遅れたの?)
『そうだ。まだ会っておらんか? ……みな一足先に魔界入りを果たしておるはずだがな』
みなというのは誰なのか?
予想はしっかりつくのだが、考えたくなくて、暖とダンケルは顔を見合わせる。
「……マサカ、ネ?」
「……まさか、な?」
ハハハと力なく笑い合った。
その時、外からドドッ! ドォ~ン! と音が聞こえてくる。
『ふむ。身の程知らずにも我を攻撃する魔族がおるようだ。――――丁度良い。魔王を踏み潰す前に軽く肩慣らしをしておくか。なにせ実戦は百年ぶりだから感を取り戻さねばならぬ』
言うなりギオルは長い首を返した。
『――――直にみなも来るだろう。それまでウララをしっかり守っておれよ。我が竜玉の契約者にかすり傷一つ負わせてみろ、お前の命はモチロン、魔族全ての命も保証できぬぞ』
一方的に命じると巨大な竜は嬉々として飛び立っていった。
やることなすこと言うことまでも、とんでもなさ過ぎる竜である。
「…………りゅ、竜玉の契約者?」
風通しのよくなった後宮の天井を呆然と見上げる暖に、上ずった声がかかった。
声の主はモノアで、彼女は料理長に体を支えられ二人そろって一つ目をこれ以上ないほどに見開いている。
「エット。……ハイ。ソウミタイ」
おずおずと、暖は答えた。
「そういうことは、もっと早く言いなさい!!」
モノアの後ろから、正妃が憤怒の表情で怒鳴った。
もっともな正論に、返す言葉のない暖だった。
「な! なんだ!? まさか、これは竜の咆哮! ……なっ? 俺の結界は破られていないぞ! ウララ、お前何か感じたか!?」
焦って、ダンケルが問いかけてくる。
聞かれた暖は、考え込みながら小首を傾げた。
「ソウ言ワレレバ……チョット、フワッ、シタカモ?」
なんだか風を感じたなと思った暖だ。
「え? まさか、そのくらいで!?」
ダンケルは呆気にとられた。
同じタイミングで絹を引き裂くような女性の悲鳴があがる。
「キャァ~ッ! ブラット! しっかりして」
叫んだのは魔王の側妃のイノトだった。
彼女が慌てて駆け寄る先では、彼女の息子のブラットがいつの間にか背中から壁に叩きつけられている。
見れば、強固なはずの壁にはブラットを中心に蜘蛛の巣みたいなヒビが大きく広がっていた。
当然ブラットは、ぐったり伸びている。
「大丈夫!? いったい誰が、この子を!」
イノトの問いかけに答えて「うぅ~」とうなされる声が聞こえた。
どうやらブラットは死んではいないようだ。
――――無駄に丈夫な魔族である。
誰と問われても、この状況では答えは一つだろう。
「当たったどうかもわからない攻撃だったのに……報復魔法、強すぎだろう」
呆然とダンケルは呟いた。
彼の腕の中、暖もコクコクと首を縦に振る。
(……倍返しなんてもんじゃないもの。やり過ぎだわ)
ブラットの惨状もそうだが、何よりこの咆哮。
(この声って――――)
暖がそう思った瞬間、後宮の城ごと揺れていたような震動が激しくなる。
ガラガラガラと大きな音が響いて、ドドォ~ォォォン!! と大衝撃が襲ってきた。
暖を庇うため、ダンケルは痛いほどに強く彼女を抱きしめる。
ダン! ダン! と直ぐ近くに何かが落ちる音がした。
「危ないだろうぉっ!!」
頭上で怒鳴るダンケルの声につられて上を見上げれば……そこには、魔界の空が広がっていた。
「――――へ?」
後宮の天井が見事に無くなっている。
すっかり見通しのよくなった空を背景に、角のような二本の鋭い突起のあるゴツゴツのウロコに覆われた巨大な頭が現れた。
「ギオル!」
『無事か? ウララ』
グワングワンとギオルの大声が辺り一帯に響く。
「今、あんたのせいで、無事でなくなるところだったぞ!」
忌々しそうに、ダンケルが怒鳴り返した。
見れば周囲には、天井や壁のなれの果てだろう瓦礫がドスドスと床に突き刺さっている。
拳大の小さなものから、大きなものは直径一メートルほどもあった。
暖はぞっとして体を震わせる。
どれか一つでも当たっていれば、暖の命は間違いなく消えていた。
さらに見れば、瓦礫の散乱する部屋のあちこちに警護の魔族に守られた正妃とモノアの姿も見えた。
イノトとブラットも、どうやら無事のようである。
『隷属を誓ったお前がついているのだ。この程度の衝撃でウララを危険に遭わせることなどないであろう?』
万が一にもそんなことになったらただではおかないと言わんばかりに、ギオルはダンケルを睨め付けた。
ダンケルはチッと舌打ちする。
「例えそうでもやり過ぎだ! 無事を確信しているなら、こんな騒ぎを起こす必要はないだろう!?」
文句を言われギオルはニヤリと笑った。鋭い牙がむき出しになり大きな口が裂ける。
迫力満点の竜の笑みに、モノアが「ヒッ!」と、息をのむ。
『いささか出遅れたからな。年甲斐もなく、我も焦ってしまった』
ギオルの言葉を聞いたダンケルは「は?」と一瞬呆けた。
暖もパチパチと目を瞬く。
「……出遅レタ?」
ギオルは、はっきりそう言った。
(いったい、誰が誰に出遅れたの?)
『そうだ。まだ会っておらんか? ……みな一足先に魔界入りを果たしておるはずだがな』
みなというのは誰なのか?
予想はしっかりつくのだが、考えたくなくて、暖とダンケルは顔を見合わせる。
「……マサカ、ネ?」
「……まさか、な?」
ハハハと力なく笑い合った。
その時、外からドドッ! ドォ~ン! と音が聞こえてくる。
『ふむ。身の程知らずにも我を攻撃する魔族がおるようだ。――――丁度良い。魔王を踏み潰す前に軽く肩慣らしをしておくか。なにせ実戦は百年ぶりだから感を取り戻さねばならぬ』
言うなりギオルは長い首を返した。
『――――直にみなも来るだろう。それまでウララをしっかり守っておれよ。我が竜玉の契約者にかすり傷一つ負わせてみろ、お前の命はモチロン、魔族全ての命も保証できぬぞ』
一方的に命じると巨大な竜は嬉々として飛び立っていった。
やることなすこと言うことまでも、とんでもなさ過ぎる竜である。
「…………りゅ、竜玉の契約者?」
風通しのよくなった後宮の天井を呆然と見上げる暖に、上ずった声がかかった。
声の主はモノアで、彼女は料理長に体を支えられ二人そろって一つ目をこれ以上ないほどに見開いている。
「エット。……ハイ。ソウミタイ」
おずおずと、暖は答えた。
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モノアの後ろから、正妃が憤怒の表情で怒鳴った。
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